パイプドHDは売り一巡感、19年2月期大幅減益・減配予想を織り込み

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 パイプドHD<3919>(東1)は情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業、広告事業、ソリューション事業、および社会イノベーション事業を展開している。19年2月期は先行投資負担などで大幅減益・減配予想としている。株価は新株予約権発行も嫌気して急反落したが、売り一巡感を強めている。大幅減益・減配予想を織り込んだ可能性がありそうだ。

■情報資産プラットフォーム事業などを展開

 国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業(情報資産プラットフォーム「スパイラル」によるデータ管理などのクラウドサービス提供)、広告事業(アフィリエイトASP一括管理サービスなど)、ソリューション事業(インターネット広告制作やWebシステム開発の請負、BIMコンサルティング、デジタルCRMなど)、社会イノベーション事業(「政治山」や「I LOVE 下北沢」の運営など公益性の高い事業)を展開している。

 18年2月期セグメント別売上構成比は情報資産プラットフォーム事業70%、広告事業4%、ソリューション事業25%、社会イノベーション事業1%である。

 情報資産プラットフォーム事業は、契約数増加に伴って月額サービス収入が拡大するストック型の収益構造である。なお広告事業の売上高は、広告枠の仕入高を売上高から控除する純額表示(ネット表示)としている。

■中期経営計画2020のテーマは「リ・イノベーション」

 中期経営計画2020ではテーマに「リ・イノベーション」を掲げている。重点戦略として、リアルビジネスとの接点の強化、イノベーティブな事業への挑戦、グループ全体の採用・育成の強化、グループ各社の情報資産の有効活用を推進する。目標数値は20年2月期売上高73億円、営業利益17億円としている。

 17年3月には予約顧客管理システムのプラットフォーム提供や、ヘルスケア業界に特化したコミュニティサイト運営を行っているクロスリンクの第三者割当増資を引き受けた。17年12月には電子地域通貨プラットフォームを提供する新会社エルコインを設立した。

 18年2月にはメディコムおよびトライベック・ストラテジーの2社と共同で、業界初となる製薬企業向けマーケティングオートメーションパッケージ「BtoD」の開発を発表した。またO2Oアプリ「NEARLY」を提供するipoca社の第三者割当増資引き受けを発表した。

 18年3月にはエルコインの子会社シモキタコインの設立を発表した。エルコインが提供する電子地域通貨プラットフォームにおける発行事業者第1号として、下北沢で行われるイベントや商業施設等で利用される電子地域通貨を発行する。

 また4月26日には、子会社の美歴が資本業務提携パートナーの募集を開始するとリリースしている。

■19年2月期大幅減益・減配予想、20年2月期の収益改善期待

 19年2月期連結業績予想は、売上高が18年2月期比12.8%増の58億円、営業利益が33.4%減の5億円、経常利益が34.6%減の4億90百万円、純利益が34.5%減の3億円としている。配当予想は9円減配の年間12円(第2四半期末4円、期末8円)とした。予想配当性向は30.4%となる。

 売上面では情報資産プラットフォーム事業やソリューション事業が堅調に推移するが、18年2月期実績90名、19年2月期予定95名という積極的な人材採用などの先行投資負担で大幅減益予想である。ストック収益の積み上げで20年2月期以降の収益改善を期待したい。

■株価は失望売り一巡感

 4月10日に第三者割当(マッコーリー・バンク・リミテッド)による第5回新株予約権・第6回新株予約権の発行を発表した。潜在株式数は合計50万株となる。

 株価は戻り高値圏1600円近辺から急反落したが、1100円近辺で売り一巡感を強めている。大幅減益・減配予想を織り込んだ可能性がありそうだ。

 5月10日の終値1019円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS39円46銭で算出)は約26倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS311円51銭で算出)は約3.3倍である。時価総額は約83億円である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えている。売られ過ぎ感の強い水準だ。反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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