Jトラストの前3月期は大きく収益改善し今期は完全黒字化の見通し

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■日本・韓国・東南アジアで展開する金融3事業がいずれも順調に推移

 Jトラスト<8508>(東2)の2018年3月期の連結業績(この期からIFRS:国際財務報告基準を適用、5月14日発表)は、日本・韓国・東南アジア地域で展開する金融3事業がいずれも順調に推移し、総収入に当たる営業収益が762億6600万円(前期実績もIFRS基準にした場合の前期比14.8%増)となり、営業利益は23億5500万円(同2.8倍)と大幅に増加した。純利益(親会社の所有者に帰属する当期利益)は前期の約12億円の赤字から1億1400万円の赤字へと大幅に改善した。

■18年6月末から株主優待制度を導入し配当と併せ3ヵ月ごとに楽しみが

 配当は17年3月期と同額の年間12円(9月中間6円、3月期末6円)の予定とし、今期・19年3月期も同額の見込みとしたが、新たに今期から株主優待制度を導入し、毎年6月末、12月末の3単元以上を保有する株主に2500ポイントの「楽天ポイント」ギフトコードを贈呈するとした。

 同社グループは、国内では信用保証事業や債権回収事業、総合エンターテインメント事業、不動産事業などを行い、韓国ではJT親愛貯蓄銀行、JT貯蓄銀行、JTキャピタルなどが銀行事業や割賦・リース業を中心とするキャピタル事業などを展開し、東南アジア地域では、Jトラスト銀行インドネシアの銀行業とJトラストインベストメンツインドネシアが債権回収事業を展開する。

 この期は、経営資源の選択と集中を進める目的でエンターテインメントのアドアーズ社を売却した。一方、金融3事業(日・韓・東南アジアの金融事業)の営業利益は、17年3月期までは四半期ベースで赤字になることがあったが、18年3月期は全四半期とも黒字となった。

■国内金融事業はIFRS移行にともなう簿価修正差損を除けば順調

 国内金融事業は、信用保証残高が前期比で約65%増加し、初めて1400億円台を上回るなど好調に推移し、買取債権残高はパルティール債権回収において債権買取が順調に進んだほか、日本保証において武富士より承継した簿外債権が約1400億円となり、請求債権が9000億円を超えるなど、成長の源泉となる債権残高は共に増加している。よって、国内金融事業の営業収益は同7%減の91億2900万円、セグメント利益は同25%減の41億6700万円となったものの、高い利益率を維持しており、Jトラストグループの利益の基盤となっている。

 また、18年3月には、富裕層などが海外の不動産を購入する需要などに対応し、海外不動産担保ローン保証を米国ハワイ州、テキサス州で開始した。今後はネバダ、カリフォルニア州にも拡大する予定とした。

 韓国金融事業は大きく拡大し、営業戦略及びマーケティングの効果などにより、銀行業における貸出金は前期比12%増加して約2672億円となり、キャピタル業務では営業貸付金が同31%増加して約610億円となった。この部門の営業収益は同23%増加して358億5700万円となり、セグメント利益は同11%増加して35億5500万円となった。

 東南アジア金融事業は、銀行業において貸出の戦略的ポートフォリオを組み替えるなどのの入れ替えを進めたことで、貸出金残高は前期比1.3%増加し、907億83百万円となった。質的改善は図れたことで純金利収入の増加等により銀行業における営業収益が増加した一方で、IFRS移行にともない、Jトラストインベストメンツインドネシアにおいて簿価修正差損を計上したことにより、営業収益は同5%減少して135億7800万円となったが、セグメント利益は15億4500万円と黒字を計上した。

 総合エンターテインメント事業では、連結子会社KeyHolder(キーホルダー)<4712>(JQS)がアドアーズを売却したことにより、これに代わる新たな収益の柱の確立に向け、2018年4月にライブ・エンタメ事業及びテレビ制作事業の子会社をそれぞれ設立しており、今後、業容の拡大を図っていくとした。

■今期は貸付債権のポートフォリオ入れ替えも寄与し営業利益は約3倍に

 今期・19年3月期の見通しは、大きな経済成長が今後とも期待できるアジア地域において、事業を拡大するとともに、引き続き、銀行業を中心とした持続的な利益拡大を目指す。

 国内金融事業では、信用保証業務にリバースモーゲージ型不動産担保カードローンの保証や海外不動産担保ローンに対する保証といった新たな保証スキームが加わり、残高が順調に拡大しており、保証提携先金融機関(決算発表日現在で8行)をさらに増やし、保証業務提携や保証提携商品の拡大を図る。

 韓国金融事業では、総合金融サービスを展開する上でのインフラが整い、金融市場への規制強化の中でも、営業資産を着実に積み上げており、収益面でも3期連続で通期黒字を達成するなど、着実に事業規模の拡大が図れている。貸付債権のポートフォリオの入れ替えによる質の向上により、審査基準の見直しによる信用等級の高い優良案件を中心とした新規貸付の獲得や企業向け貸付の増加を図り、新商品の開発などに注力していく。

 今後、引き続き貸付債権のポートフォリオの入れ替えによる質の向上に加え、債権回収事業での利益拡大を目指す。

 東南アジア金融事業では、貸出資産の拡大に向けて、ブランドマーケティング戦略や、新たにM&Aをしたマルチファイナンス会社であるOlimpindo社の支店ネットワークおよびPOSを活用し、農機具ローンや白物家電、マイクロファイナンスを推進し、更に貸出拡大するほか、人事面では、営業社員の能力向上に向けた戦略や、コンプライアンス体制の強化等も行っていく。

 こうした施策を通じ、今期の業績見通しは、営業収益を833億7800万円(前期比9.3%の増加)とし、営業利益は70億7300万円(同約3倍)、親会社の所有者に帰属する当期利益は53億1800万円(黒字転換)、1株利益は51円64銭とした。

 なお、上記の前提として、為替レートは1SGD(シンガポールドル)=82.82円、1KRW(韓国ウォン)=0.092円、1IDR(インドネシアルピア)0.0086円/IDRとした。(HC)

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