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LIFULLは目先的な売り一巡、18年9月期大幅増益予想、Mitulaを買収して成長加速目指す
- 2018/5/21 06:31
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
LIFULL<2120>(東1)は、不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営など不動産情報サービス事業を主力に、生活関連領域への事業展開を加速している。18年9月期(12ヶ月決算、17年9月期は6ヶ月決算)大幅増益予想である。またMitulaを買収して成長加速を目指す。株価はMitula買収発表を機に急落したが、目先的な売り一巡して出直りを期待したい。
■不動産情報サービスが主力、生活関連領域への事業展開を加速
17年4月ネクストがLIFULLに社名変更し、ブランド名も変更した。LIFULLは、世界中のあらゆるLIFE(暮らし、人生)をFULL(満たす)という意味の造語である。
日本最大級の掲載件数を誇る不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営が主力のHOME‘S関連事業、14年買収したスペインのTrovitが展開する世界最大級のアグリケーションサイト「Trovit」運営などの海外事業、その他事業(LIFULL介護、LIFULL引越しなどの運営)を展開している。なお収益面では、不動産情報サービス事業を主力としているため、1~3月が繁忙期となる季節要因がある。
■世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニーを目指す
スローガンに「世界一のライフデータベース&ソリューション・カンパニー」を掲げ、LIFULL HOME‘SやTrovitを通じて世界の不動産や暮らしに関するデータを蓄積し、先端技術を活用することで中期的な成長を目指している。
17年11月東南アジアでIoT家具ブランドを運営するKAMARQ HOLDINGS(シンガポール)に出資、17年12月外国人不動産投資家向け日本不動産投資ポータルサイト「Property LIFE」を開始、18年1月中国最大級の不動産仲介会社HO melinkと国際不動産投資分野で業務提携、18年3月家具ベンチャーのKAMARQ(シンガポール)と業務提携、ブロックチェーン技術を活用した不動産投資プラットフォーム運営のBitOfProperty(シンガポール)に出資した。
5月9日にはMitula(Mitula Group Limited)を完全子会社化するための友好的買収手続き開始合意を発表した。18年9月株式取得完了予定である。TrovitとMitulaはスペインを主要拠点としてアグリゲーションサイトを運営しているため、両社の強みを活かせる新しい組織を構築して成長を加速させる方針だ。
なおリソース集中戦略を進めるため不採算事業のLIFULL HOME‘Sリフォームを18年9月末終了予定、LIFULL Remodelを18年終了予定、海外事業のリソースをTrovitとMitulaに集中するためLIFULL豪州とLIFULLドイツを撤退予定としている。
また中期経営計画の定量目標(売上収益500億円台、EBITDA率20%前後)について、決算期変更に伴ってターゲットを20年3月期から20年9月期に変更した。Mitula買収に伴う業績および中期経営計画への影響は適時開示予定としている。
■国内中古住宅市場活性化への取り組みも加速
国内では中古住宅市場活性化への取り組みも加速している。17年1月JGマーケティング(現LIFULL Social Funding)を子会社化し、不動産投融資型クラウドファンディング事業を展開している。
民泊関連では17年6月、楽天<4755>と共同で楽天LIFULL STAYを設立した。民泊サイト「Vacation STAY」を運営する。17年12月には楽天LIFULL STAYが世界最大のオンライン宿泊予約サイト運営のBooking B.V.と業務提携、18年3月には楽天LIFULL STAYが韓国で宿泊施設予約プラットフォームを提供するYanolja社と業務提携した。
空き家の活用では、国土交通省の全国版空き地・空き家バンク構築運営に関するモデル事業「LIFULL HOME‘S 空き家バンク」によって、全国の空き家バンクのプラットフォーム化を目指している。また楽天LIFULL STAYと共同で空き家活用を通じた地域活性化連携協定を、17年12月岩手県釜石市、18年3月宮崎県日南市、岡山県総社市と締結している。
■18年9月期(12ヶ月決算)大幅増益予想
18年9月期(17年10月~18年9月の12ヶ月決算、IFRS)の連結業績予想は、売上収益が410億円、EBITDA(償却前営業利益)が60億16百万円、営業利益が50億円、親会社所有者帰属純利益が34億78百万円としている。配当予想は未定だが、配当性向20%を基準に実施するとしている。
17年9月期が6ヶ月決算だったため前年同期間(16年10月~17年9月)との比較で見ると、売上収益は27.7%増収、EBITDAは54.0%増益予想である。顧客数が順調に増加して大幅増収増益予想である。サービス別の売上収益はHOME‘S関連事業が24.3%増の334億41百万円、海外事業が44.8%増の48億34百万円、その他事業が45.9%増の27億23百万円の計画としている。
第2四半期累計は売上収益が176億69百万円、EBITDAが30億33百万円、営業利益が24億92百万円、親会社所有者帰属純利益が15億72百万円だった。前年同期間との比較で、売上収益が9.3%増収、EBITDAが28.0%増益、親会社所有者帰属純利益が44.4%増益だった。
HOME‘S関連事業においてはARPAが向上施策の途上で想定を下回ったが、顧客数が14.3%増と順調に増加した。コスト面ではその他事業の事業開発に関わる人件費や間接コストが増加したが、本社移転関連費用の一巡やTrovitにおける人件費改善も寄与して大幅増益だった。
サービス別の売上収益は、HOME‘S関連事業が8.7%増の148億05百万円、海外事業が対ユーロの為替影響やLIFULL Tech Vietnamの新規連結などで12.4%増の18億19百万円、その他事業がLIFULL seniorやLIFULL SPACEの好調などで12.9%増の10億45百万円だった。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は、売上収益が43.1%、EBITDAが50.4%、親会社所有者帰属純利益が45.2と概ね順調である。通期ベースでも好業績を期待したい。
■株価は目先的な売り一巡して出直り期待
株価はMitula買収発表を機に急落し、さらに第2四半期累計業績発表に対してもネガティブ反応だったが、5月16日の直近安値680円から切り返して目先的な売り一巡感を強めている。
5月18日の終値755円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS29円30銭で算出)は約26倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS161円96銭で算出)は約4.7倍、時価総額は約897億円である。
日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて売られ過ぎ感を強めている。また週足チャートで見ると安値圏の下ヒゲで目先的な売り一巡感を強めている。出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)