- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- フライトホールディングスは急動意、19年3月期は大型案件で大幅増収増益予想、キャッシュレス化の流れが追い風
フライトホールディングスは急動意、19年3月期は大型案件で大幅増収増益予想、キャッシュレス化の流れが追い風
- 2018/5/22 06:21
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
フライトホールディングス<3753>(東2)は、電子決済ソリューションなどのサービス事業を主力としている。19年3月期は電子決済ソリューション大型案件が寄与して大幅増収増益予想である。また三井住友カードと包括加盟店契約を締結した。キャッシュレス化の流れを追い風として収益拡大を期待したい。株価は急動意の形となった。上値を試す展開が期待される。
■電子決済ソリューションが主力
傘下のフライトシステムコンサルティングがシステム開発・保守などのコンサルティング&ソリューション(C&S)事業、および電子決済ソリューションなどのサービス事業、イーシー・ライダーがB2B(企業間取引)に特化したECサイト構築システムなどのECソリューション事業を展開している。海外は電子決済ソリューションの本格展開に向けて米国と台湾に準備会社を置いている。
18年3月期のセグメント別売上高構成比は、C&S事業が38%、サービス事業が55%、ECソリューション事業が6%だった。収益面ではサービス事業の大型案件によって大きく変動する特性が強い。
■C&S事業はPepper関連を強化
C&S事業では、ソフトバンクロボティクスの人型ロボットPepperの法人モデル「Pepper for Biz」に関して、17年2月新サービスとしてコンテンツマネージメントソリューション「Scenaria」をジエナ社と共同開発した。そしてロボアプリ開発者を支援する「Pepperパートナープログラム」において「ロボパートナー」認定を取得している。またソフトバンクと日本IBMが共同で行う「IBM Watson エコシステムプログラム」に参画し、ビジネスおよびテクノロジーパートナーに選定されている。
また医療分野でAIとロボットを活用するため、東京慈恵医科大学先端医療情報技術研究講座およびジェナ社と、医療機関で「Pepper」を使ったコミュニケーションシステムに関する共同研究を行っている。
■サービス事業は電子決済ソリューションのマルチ決済端末など展開
サービス事業は電子決済ソリューション分野で、スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「incredist」シリーズと、スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」を展開している。電子決済事業に関して複数暗号鍵の切り替えに関する特許、無線を使った複数機器の設定に関する特許、複数加盟店の切り替えに関する特許を取得している。
スマートデバイス決済専用アプリ「ペイメント・マイスター」は、iPhoneやiPadをクレジットカード決済端末に利用する大企業向け国内初のBtoB決済ソリューションである。10年9月に提供開始し、高級ホテル・レストラン・観光タクシー・旅行代理店など幅広い業種に導入されている。
スマートデバイス決済専用マルチ電子決済端末「incredist」シリーズは全国のソフトバンクショップ、ドコモショップに導入されている。
マルチ電子決済端末「incredist premium」は磁気クレジットカード決済、EMV(接触型ICクレジットカード)決済、コンタクトレスEMV(ICカード国際規格EMV技術を用いた非接触IC決済対応クレジットカード)決済、および日本独自の電子マネー決済に対応している。またMastercardなど国際6ブランドのコンタクトレスEMV認定が完了している。
18年3月には据置型でタブレット不要・プリンタ内蔵のマルチ決済装置「incredist Trinity」を18年7月から出荷開始すると発表した。
5月7日には三井住友カードとの包括加盟店契約の締結を発表した。三井住友カードの代行として、加盟店の開拓・加盟店契約締結・管理を行い、決済金額に応じた手数料収入を得る。従来の決済装置および決済ソリューションの販売に加えて、継続的に手数料収入が得られるストック型収益源となる。
■19年3月期は大型案件で大幅増収増益予想
18年3月期連結業績は、売上高が17年3月期比33.3%減の21億05百万円、営業利益が88.5%減の68百万円、経常利益が91.5%減の48百万円、純利益が90.5%減の38百万円だった。
C&S事業は堅調に推移したが、主力のサービス事業において17年3月期の大型案件の反動に加えて、多機能モバイル決済端末「incredist」導入に係る複数の大型案件が、顧客のプロジェクト進捗の都合により、本格導入が19年3月期に後ろ倒しとなった。
19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比18.8%増の25億円、営業利益が4.0倍の2億70百万円、経常利益が5.2倍の2億50百万円、純利益が4.4倍の1億70百万円としている。後ろ倒しとなった複数の大型案件(下期に売上計上見込み)が寄与して大幅増収増益予想である。
■キャッシュレス化進展を追い風に収益拡大期待
日本では経済産業省の指針として、訪日観光客の利便性向上も視野に入れて、20年までに日本国内で接触型ICクレジットカード(EMV)決済を100%実現できるよう推進している。キャッシュレス化進展の流れが追い風であり、磁気クレジットカード、接触型ICクレジットカード(EMV)、非接触型ICクレジットカード(コンタクトレスEMV)、および日本独自の電子マネーに対応している強みを活かして中期的に収益拡大を期待したい。
■株価は急動意
株価は急動意の形だ。800円近辺でモミ合う形だったが、三井住友カードとの包括加盟店契約締結発表を機に動意づき、19年3月期大幅増収増益予想も好感して、5月21日には1533円まで上伸した。
5月21日の終値は1486円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS17円98銭で算出)は約83倍、時価総額は約141億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線と26週移動平均線がいずれも上向きに転じて基調転換を確認した形だ。目先的な過熱感は強いが、上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)