【翻訳センターの東社長にインタビュー】グループ企業の拡大と並行してシナジーの最大化など着実に進む

翻訳センターの東社長

■機械翻訳も積極的に取り込み事業領域の拡大を図る――東郁男社長に聞く

翻訳センター<2483>(JQS)は、専門性の高い企業向け翻訳サービスを主力として、通訳や国際会議運営なども展開し、2018年3月期業績は売上高、利益ともに連続最高を更新した。売上高は6年連続アジア地域でNo.1になる。翻訳業界では最初の株式上場会社。1986年の設立以来、ここまで企業を成長させてきた東郁男(ひがしいくお)社長(写真)は、18年6月の定時株主総会と役員会をもって会長職に就く予定だが、約2年ぶりに本紙のインタビューに応じて下さった。

■みらい翻訳に出資、メディア総合研究所をグループ化

――17年10月に株式会社みらい翻訳(東京都渋谷区)の株式13%取得と、株式会社メディア総合研究所(東京都渋谷区)の株式100%取得を発表しました。

【東社長】 第三次中期経営計画の重点施策は(1)顧客満足度向上のための分野特化戦略のさらなる推進、(2)ビジネスプロセスの最適化による生産性向上、(3)ランゲージサービスにおけるグループシナジーの最大化、と3つあったが、それぞれで成果を上げたとみている。この成果を踏まえて、今期スタートした第四次中期経営計画で新たな取り組みを始めている。こうした中長期の成長に向けた取り組みの一環として、(株)メディア総合研究所、(株)みらい翻訳への出資がある。(株)みらい翻訳は機械翻訳エンジンを開発しており、大株主は株式会社NTTドコモ<9437>(東1)だ。機械翻訳については日本最高の技術開発力を持っている。こうした企業と組むことによって、翻訳業務の生産性向上や、翻訳技術の更なる向上につながると期待している。

また、グループシナジーの最大化についても、株式会社アイ・エス・エス(注:通訳、人材派遣・紹介、国際会議運営などを展開)や株式会社パナシア(注:新薬開発の承認申請資料を作成するメディカルライティング事業を展開)、株式会社外国出願支援サービス(注:外国出願用の特許明細書の作成から出願手続きの支援業務)とのクロスセリングなど、グループ力を発揮できつつあるのではないかと思っている。

■翻訳のニーズ拡大、多様化にも積極的に対応

――機械翻訳を活用した業務展開についてはいかがですか。

【東社長】 機械翻訳の研究は進めてきていたが、2016年にグーグル翻訳の精度が飛躍的に上がり、当社も本格的な活用に向け動き出した。現在、機械翻訳については法人向けの製品として、(株)みらい翻訳の「MiraiTranslator」の販売をグループで行っている。また、八楽株式会社との提携による「compath」というクラウド型自動翻訳システムも新たな需要に対応できるサービスとして展開しており、実績を上げつつある。

翻訳の需要は今後ますます拡大し、かつ多様化するだろう。当社も従来は製造業のお客様が中心だったが、サービス業でも翻訳に関する需要が増加傾向にある。また経済のグローバル化進展に伴い、社内文書やメールなど多様なニーズに対応する必要がある。

■コンベンション事業は大きな国際会議を確実にこなし想定以上に

――コンベンション事業は伊勢志摩サミット後の反動減が心配されていますが…。

【東社長】 コンベンション事業は想定以上に成果を上げている。2017年3月期はサミットをはじめとし国際会議が多い年だったことに加え、それまで続けてきた営業努力の成果が連結業績に貢献した。2018年3月期はその反動減で減収となったが、大規模国際会議の運営成功は自信になり、(株)アイ・エス・エスの評価も高まった。これからも国際会議で実績を重ね事業を成長させていきたい。

――3月末を基準日として株式分割を行いました。

【東社長】 マーケットでの流動性アップを意識して実施した。当社の個人株主比率は50%を超えているが、株式分割を契機により投資しやすい環境を整え、投資家層の拡大を図っていきたい。

――ありがとうございました。

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