インテージHDの18年3月期の売上高は500億円、純利益は30億円を突破し、いずれも過去最高
- 2018/5/31 11:27
- 決算発表記事情報
■投資・R&Dの費用が嵩み営業利益は減益だが、当初計画より23百万円上振れ
インテージHD<4326>(東1)の18年3月期の売上高は500億円、純利益は30億円を突破し、いずれも過去最高となった。
18年3月期連結業績は、売上高504億99百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益40億23百万円(同5.7%減)、経常利益43億11百万円(1.9%減)、純利益30億50百万円(同6.2%増)となった。
営業利益は減益となったが、これは、投資・R&Dの費用をつぎ込んだためであり、当初計画通りで、計画より23百万円上振れた結果となった。
セグメント別の状況は、マーケティング支援(消費財・ビジネス)では、カスタムリサーチの既存調査、官公庁案件などの売上高は好調に推移した。営業利益については、パネル調査の主力商品であるSRI(全国小売店パネル調査)のリニューアルやR&D活動など、データの価値向上、サービス領域の拡大を目指すための投資を進めたことで減益となった。その結果、売上高331億86百万円(同5.6%増)、営業利益21億65百万円(同9.3%減)と増収減益となった。
マーケティング支援(ヘルスケア)は、アスクレップの医薬品の製造販売後調査とアンテリオのプロモーション活動の評価サービスなどが好調に推移して増収となった。利益面については、前年まで発生していた大型案件が無くなった影響もあり、更に、価値向上のための投資もあり、減益となった。その結果、売上高110億70百万円(同3.5%増)、営業利益14億12百万円(同4.8%減)であった。
ビジネスインテリジェンスは、旅行業界、出版業界、ヘルスケア関連の受注が堅調であったことから、売上高62億43百万円(同6.5%増)、営業利益4億46百万円(同12.0%増)と増収2ケタ増益となった。
■2017年度の経営目標はほぼ達成
2017年度の経営目標は、連結営業利益率を8%水準まで、売上高R&D経費比率を2%水準まで引き上げることであった。
戦略ポイントとしては、成長ドライバー創出に向けた研究開発体制の整備、ビジネス領域の進化とデータ価値向上の実現、働き方改革へのチャレンジの3点を掲げていた。
それぞれを振り返ると、連結営業利益率、売上高R&D経費率は共に、R&DやSRIのリニューアル等、これからの成長に欠かせない投資として積極的に実施したことで、ほぼ計画通りに連結営業利益率8%、売上高R&D経費率2%となった。
成長ドライバー創出に向けた研究開発体制の整備については、17年4月にR&Dセンターを開設し、グループ間の垣根を超えた体制が構築され、テーマ別の研究などが活発に実施され、複数企業との共同研究もスタートしている。また、Intage Open Innovation Fundの投資先は10社を突破し、既存事業との関連性が強い分野から純投資案件まで幅広く実行している。更に、データサイエンティストの育成貢献のため、横浜市立大学と産学連携に関する基本協定を締結した。以上のように、研究開発体制の整備は順調に進んでいる。
ビジネス領域の進化とデータ価値向上の実現に向けた取組としては、次世代パネル構想として、主力製品であるSRIからCensus-Hybrid SRI(仮称)にリニューアルすることを発表して、それに対応するために、ビッグデータ高速処理基盤の検証も実施中であり、着々と進行中である。
働き方改革へのチャレンジについては、フルフレックス・リモートワークを一部グループ会社に導入したり、チーム、個人が成果を上げたりするために、働く時間と場所の自律的な選択を行える環境を整備する等、試行錯誤の状況である。
■今期18年度も第12次中期経営計画をベースとした各種施策を引き続き確実に実施・展開
今期18年度の取組としては、17年度策定の第12次中期経営計画をベースとした各種施策を引き続き確実に実施・展開していくとしている。
トピックスとしては、5月11日に発表されたアスクレップとアンテリオの経営統合がある。経営統合と合わせ、ヘルスケア領域のフォーメーションの再構築も行う。経営統合の予定日は、19年4月1日を予定している。
アスクレップは、主にCRО(医薬品開発業務受託機関)におけるPMS(製造販売後調査)を行っている。この既存事業に加え、新規サービスとして、難病・希少疾患の患者や家族向けコミュニケーション用アプリを活用した患者会支援サービスを行うなど新規事業領域にも挑戦している。一方のアンテリオは、ヘルスケア領域におけるカスタムリサーチ、パネル調査を行い高いシェアを誇っているこの事業に加え、医療消費者を中心とした新たなビジネスを追求するため、リーズンホワイトとの資本業務提携を17年4月に発表している。
アスクレップとアンテリオの経営統合により、シナジー効果を生み出し、生活者や医療消費者そのものへのサービスにも注力する。
次世代パネルのCensus-Hybrid SRI(仮称)については、各顧客からの要望に応え、データ提供の内容をより詳細なものにし且つ速報性を向上させる。これにより、既存顧客の活用機会を拡大する一方で、新規顧客の獲得を目指す。また、様々なビッグデータとの結合による新サービスの提供も考えている。開発スケジュールは、2018年までは、検討・開発段階であり、2019年からテストデータの提供を開始し、2020年から正式リリースとなる。
18年3月30日にビルドシステムの全株式を取得した。目的は、ビジネスインテリジェンスのセグメントにおける技術力を強化し、データ活用における新たな価値の創造をより一層推進していくためである。Javaに特化した技術者がおり、システム開発及び導入支援、クラウド基盤構築など行っている企業である。
Intage Open Innovation Fundは、5月時点で10社を超える企業に対して約13億円を投資している。インテージグループの既存事業及び新規事業領域におけるアライアンス、先端技術分野における共同D&Rを目的に、国内外の有望なベンチャー企業を投資対象としている。
以上のような取り組みを実施することで、今期19年3月期連結業績予想は、売上高530億円(前期比5.0%増)、営業利益42億円(同4.4%増)、経常利益42億50百万円(同1.4%減)、純利益29億円(同4.9%減)を見込む。