ハウスドゥが優先株を償還、新株発行で資本を入れ替え配当負担など大きく改善へ

■財務基盤も強化されリバースモーゲージ保証事業で金融機関との提携拡大に弾みが

 ハウスドゥ<3457>(東1)は4日の取引終了後、2017年に発行したA種優先株式の取得(全額償還)と全額消却、および新株式の発行(普通株式:公募一般募集)と売出し、そして、更なる成長に向けた経営諮問委員会の設置を発表した。

 優先株を全額償還・消却することにより、優先配当の負担や普通株への転換による希薄化の潜在的な要因がなくなる。新株発行との関連は、事実上、資本の入れ替えになる形で、優先株の償還に要する資金(A種優先株300株:約31億6400万円)は、新株式の発行などによって調達する資金(手取概算61億4175万円)の一部を充当する。残額はハウス・リースバック事業の物件取得資金の一部に充当する。同社では、優先配当の負担がなくなることなどにより、当期純利益を8%押し上げる要因になるとした。

 これらの実施予定日は、新株発行の発行価格決定日が18年6月12日から15日までの間のいずれかの日。払込日は18年6月19日から同22日までの間のいずれかの日(ただし発行価格等決定日の5営業日後の日)。優先株の取得日・消却日は、ともに6月25日。

 これにより、成長投資のための内部留保を確保するとともに、自己資本比率の向上、資本の質の向上による財務基盤の強化が進む。金融機関に対する信用力を高め、成長ドライバーの一つであるリバースモーゲージ保証事業において、提携金融機関の拡大に弾みがつく可能性が強まることになる。また、今回の新株式発行、および株式の売出し完了後は、株式の分布状況の改善などが進むため、「留保金課税」の適用対象外になる予定とした。

■RIZAPグループ経営諮問委員の一橋大学大学院・藤田勉氏を招聘

 また、同社は4日の取引終了後、一橋大学大学院・経営管理研究科・特任教授で、一橋大学大学院フィンテック研究フォーラム代表などを現任している藤田勉氏を7月1日付で経営諮問委員として招聘し、経営諮問委員会を設置すると発表した。

 同氏は、シティグループ証券株式会社顧問(前取締役、副会長)、株式会社グローバルIoTテクノロジーベンチャーズ会長のほか、RIZAP(ライザップ)グループ<2908>(札幌A)の経営諮問委員も現任する。RIZAPグループは、積極的なブランド戦略とM&Aなどにより、株価も2017年5月頃の500円前後から11月にかけて3000円台まで大幅高した実績があり、ハウスドゥの事業展開も今後、折に触れて注目を集める可能性が出てきた。

 ハウスドゥの4日の株価は5160円(40円安)となった。18年1、2月は3000円前後だったが、連続最高益の好業績予想などを背景に次第に騰勢を強め、5月中旬には6350円まで3ヵ月間で2倍強の値上がりとなった。直近はこの高値から1ヵ月近く調整基調だが、値幅は微調整の範囲にとどまっており、日柄的にも、上昇期間のあとに来る調整期間として順当な微調整とみることができるようだ。18年5月、中期経営計画(17年6月期~19年6月期)の数値目標を大幅に増額修正し、19年6月期の予想1株利益は従来目標を79%引き上げて232円89銭の見込みとした。これに基づく株価PERは22.2倍になり、今期・18年6月期の予想1株利益127円34銭に基づくPER40.1倍からみると、計算上は株価も同レベルの水準訂正に進む余地があることになる。(HC)

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