日本エンタープライズは下値固め完了感、事業ポートフォリオ再構築で19年5月期の収益改善期待

 日本エンタープライズ<4829>(東1)は、店頭アフィリエイトサービス事業や中国での携帯電話販売事業を譲渡し、事業ポートフォリオ再構築を推進している。19年5月期の収益改善に期待したい。株価は下値固め完了感を強めている。なお7月11日に18年5月期決算発表を予定している。

■事業ポートフォリオ再構築を推進

 クリエーション事業(交通情報、ライフスタイル、エンターテインメントなどのモバイルコンテンツをキャリアの定額制サービスで配信するコンテンツサービス、およびビジネスサポートサービス、太陽光発電など)と、ソリューション事業(システム受託開発・運用サービス、店頭アフィリエイトを中心とした広告代理サービス、海外サービスなど)を展開している。

 事業ポートフォリオ再構築で18年2月、店頭アフィリエイトサービス事業をテレステーションに譲渡した。また18年3月、中国で携帯電話販売事業を展開する連結子会社の因特瑞思の出資金持分を売却した。因特瑞思の100%子会社である瑞思創智も譲渡先に移動して事業撤退した。

 中期成長に向けて、ネイティブアプリの開発力強化、ゲームコンテンツ市場への本格参入、法人向け業務支援サービスの早期収益化、成長分野のM2M/IoTへの事業領域拡大などを推進する。

 コンテンツサービスではヘルスケアアプリ「女性のリズム手帳」、総合電子書籍サービス「BOOKSMART」、フリマアプリ「フリマjp」、交通情報サービス「ATIS交通情報サービス」などの拡大を推進し、ビジネスサポートサービスではチャットアプリ「Fivetalk」などを核としてEC関連の受託拡大を推進する。

 ビジネスサポートサービスでは、18年2月子会社の会津ラボとエナリス<6079>が福島県の再生可能エネルギー関連技術実証支援事業の一環として、ブロックチェーンと「SMART PLUG」を活用した「高齢者見守りサービス」の実証試験を開始した。

 18年3月には子会社の会津ラボが、福島県の「自動運転に係る情報基盤の構築およびまちなか巡回車両の実用化に向けた実証実験」第2期の申請に向けて、福島トヨペットと協業すると発表した。

■18年5月期減収・営業減益予想

 18年5月期連結業績予想(1月31日に売上高、営業利益、経常利益を減額、純利益を増額修正)は、売上高が17年5月期比16.5%減の40億40百万円、営業利益が24.5%減の1億45百万円、経常利益が横ばいの2億30百万円、純利益が10.5%増の1億10百万円としている。配当予想は17年5月期と同額の年間2円(期末一括)としている。予想配当性向は73.8%となる。

 キャリアプラットフォーム向けコンテンツ市場の縮小、豊洲市場への移転延期に伴う鮮魚EC「いなせり」への影響、中国における携帯電話販売の不採算販売抑制の影響、店頭アフィリエイトサービスの事業譲渡などで減収・営業減益見込みである。経常利益は営業外での補助金収入増加で横ばい、純利益は店頭アフィリエイトサービスの事業譲渡益計上で増益見込みである。

 なお第3四半期累計は、売上高が前年同期比18.4%減の29億90百万円、営業利益が67.2%減の73百万円、経常利益が41.8%減の1億42百万円、純利益が10.2%増の66百万円だった。クリエーション事業はコンテンツサービスの減少などで16.2%減収、ソリューション事業は広告代理サービスの市場縮小や海外の減少で20.4%減収だった。売上総利益は19.5%減少した。営業外では補助金収入68百万円、特別利益では事業譲渡益1億43百万円を計上した。

 事業ポートフォリオ再構築で19年5月期の収益改善を期待したい。

■株価は下値固め完了感

 株価は安値圏でモミ合う形だが、210円~220円近辺で下値固め完了感を強めている。

 6月4日の終値223円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS2円71銭で算出)は約82倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間2円で算出)は約0.9%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS122円14銭で算出)は約1.8倍である。時価総額は約91億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、下値固め完了して出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展) 

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. 【先人の教えを格言で解説!】 (犬丸正寛=株式評論家・平成28年:2016年)没・享年72歳。生前に…
  2. ■2024年度上半期163件で過去最多更新  人手不足による倒産が急増している。帝国データバンクの…
  3. ■新たなモビリティ社会実現に向けた取り組み加速  トヨタ自動車<7203>(東証プライム)は10月…
2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

ピックアップ記事

  1. ■化粧品大手は業績下方修正も、電鉄各社は上方修正で活況  トランプ次期大統領の影響を受けない純内需…
  2. どう見るこの相場
    ■金利敏感株の次は円安メリット株?!インバウンド関連株に「トランプ・トレード」ローテーション  米…
  3. ■金利上昇追い風に地銀株が躍進、政策期待も後押し  金利上昇の影響を受けて銀行株、特に地方銀行株の…
  4. ■トリプルセット行、ダブルセット行も相次ぐ地銀銀株は決算プレイで「トランプトレード」へキャッチアップ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る