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マーキュリアインベストメントは下値固め完了感
- 2018/6/8 08:39
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
マーキュリアインベストメント<7190>(東1)は、ファンド運用および自己投資を展開している。収益は成功報酬などで変動する特性が強い。18年12月期は計画超だった17年12月期の反動で減収減益予想だが、第1四半期の進捗率は順調である。株価は下値固め完了感を強めている。
■ファンド運用事業および自己投資事業を展開
国内外投資家の資金を投資事業組合等のファンドを通じて運用するファンド運用事業、および自己資金を運用する自己投資事業を展開している。
05年10月あすかDBJ投資事業有限責任組合(1号ファンド)を組成、13年8月ADC Fund 2013(2号ファンド)を組成、16年8月マーキュリア日本産業成長支援投資事業有限責任組合(3号ファンド)を組成した。
なお3号ファンドは18年4月30日をもって募集を完了した。予定を上回る総額213億円でクローズした。投資は4社合計77億円を実行している。16年に投資実行した木材加工機械・金属加工機械製造販売のシンクスは、同業の世界大手である欧州ビエッセ社と業務提携している。
香港の子会社Spring Asset Management Limitedが管理・運営するSpring REITは13年12月香港証券取引所に上場している。
投資先の発掘に関しては独自のネットワークに加えて、国内外で広いネットワークを有し、また主要株主でもある日本政策投資銀行、伊藤忠商事、および三井住友信託銀行とのアライアンスで、多様な収益機会を捕捉している。
■クロスボーダーを基本コンセプトとして成長分野中心に投資・運用
投資先の企業価値向上を通じて投資家に対するリターンの最大化を実現するべく取り組んでいるが、決して短期的な利益を追求せず、クロスボーダーを基本コンセプトとして成長性や収益性に着目し、世界に広がる成長分野での有望な投資対象の発掘や成長可能性に対する投資を中心に、成長投資戦略、バリュー投資戦略、バイアウト・承継投資戦略、不動産投資戦略、キャッシュ・フロー投資戦略などに基づく運用を行っている。また今後は、成長が見込まれるオルタナティブ投資分野におけるリーディングカンパニーを目指すとしている。
成長投資戦略、バリュー投資戦略、バイアウト・承継投資戦略は、成長ステージや承継ステージに位置する企業などのエクイティ・ホルダーとなり、経営陣とともに事業成長や将来を考えた企業価値向上を図ることで、投資家のリターンを高める。
不動産、航空機リース、インフラファンドなどのキャッシュ・フロー投資戦略は、物が使用される対価として支払われるキャッシュ・フローに着目し、それを確実に受け取ることができる金融商品とすることで、投資家に安定的なリターンを提供する。
18年3月にはタイ現地法人(バンコク子会社)を設立した。またグループ会社のビジネスマーケットが事業課題解決支援プラットフォーム「ビズマ(BIZMA)」の運用を開始した。
■新規投資の実行と新ファンドの立ち上げを推進
今後の戦略として、新規投資の実行と新ファンドの立ち上げで成功報酬の最大化を推進する。香港Spring REITも新たな資産の組み入れを推進する。05年10月組成あすかDBJ投資事業有限責任組合(1号ファンド)は成功報酬獲得ステージに入っているため、投資案件のExitによる成功報酬の最大化を目指す。
新ファンドでは航空機リースファンドを総額50億円でクローズした。18年3月には、ファンド運営上のパートナーであるDVB Bank SE等との最終契約を行い、運用ステージに入った。さらにタイ・バンコク不動産開発プロジェクトへの不動産メザニン投資、再生可能エネルギー施設に対する投資、人工衛星のライドシェアビジネスを目指す米LO社に対する投資などを推進する。
■収益はファンド運用事業の成功報酬によって変動する特性
ファンド運用事業の収益は、ファンド管理運営業務の対価として運用資産残高と報酬料率に応じて受け取る管理報酬、および運用実績の良否によって変動する成功報酬である。自己投資事業の収益は、当社が管理運営を行うファンドへの自己投資に伴う持分損益の取り込み、および直接投資対象からの配当金・売却益である。
したがって営業収益および利益は、ファンド運用事業の成功報酬や自己投資事業の売却益の発生によって変動する特性が強い。
利益還元については配当性向30%程度を目安とするが、成功報酬等による損益への影響が大きいため、単年度損益の影響を抑制し、配当の安定性を高めるために、当面は対象利益指標を修正当期純利益(5年平均の親会社株主に帰属する当期純利益、13年12月期以前は未監査のため除く)を目安とする。そして今後は当期純利益の成長を通して配当水準を引き上げることを目指すとしている。
■18年12月期減収減益予想だが1Q進捗率順調
18年12月期連結業績予想は、営業収益が17年12月期比5.3%減の40億円、営業利益が10.3%減の20億円、経常利益が9.4%減の20億円、純利益が9.4%減の13億50百万円としている。
第1四半期は、営業収益が前年同期比6.1%減の19億91百万円、営業利益が7.1%減の12億19百万円、経常利益が7.2%減の12億07百万円、純利益が8.5%減の8億22百万円だった。
営業収益の内訳は、ファンド運用管理報酬5億52百万円、ファンド運用成功報酬14億35百万円、自己投資・その他3百万円だった。既存ファンドで成功報酬を計上した。3号ファンドでは、ぺんてる(株)への新規投資を実行した。また(株)ツノダの非公開化を完了した。
通勤ベースでも既存ファンドにおける成功報酬の獲得を目指す。計画超だった17年12月期の反動で減収減益予想だが、第1四半期の進捗率は順調である。なお配当予想は1円増配の年間18円(期末一括)としている。
■株価は下値固め完了感
株価(17年12月18日付で東証2部から東証1部に市場変更)は水準を切り下げたが、3月安値993円を割り込むことなく、1000円台で下値固め完了感を強めている。
6月7日の終値1104円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS78円33銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間18円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS605円13銭で算出)は約1.8倍である。時価総額は約191億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。下値固め完了して出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)