【アナリスト水田雅展の銘柄診断】アルファは収益改善期待で下値切り上げ、賃金上昇による消費マインド改善も追い風

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 POP広告など総合販売促進のアルファ<4760>(JQS)の株価は、動意づいた3月2日270円から反落したが、動意前水準180円近辺まで戻ることなく、200円近辺を維持して下値切り上げの動きを強めている。15年春闘の賃金上昇で消費マインド改善が期待されていることも追い風であり、収益改善期待で高値圏を目指す展開だろう。

 POP広告やイベント関連商品など店舗販促用品の企画・製作を展開する総合販売促進企業である。メーカー・小売のタイアップ企画である消費者向け販促キャンペーンの受注や、デジタルサイネージ(デジタル技術を活用した広告媒体)を組み込んだ新販促商品・サービスの企画・提案営業を強化している。新商品では香りのプロモーションツール「かおるくん」が好調のようだ。

 中期的な収益力向上に向けて、ショッパー(買い物客)の購買行動やインサイト(深層心理)を捉えた「買い物コミュニケーション創造企業」を目指している。なおクリスマス・年末・年始商戦などで上半期(9月~2月)の構成比が高い収益構造である。

 今期(15年8月期)の業績(非連結)見通し(10月14日公表)は、売上高が前期比4.5%増の70億円、営業利益が同8.8%増の1億70百万円、経常利益が同2.9%増の1億65百万円、純利益が同0.6%増の70百万円、配当予想が前期と同額の年間5円(期末一括)としている。

 自社企画製品はeコマース(オンラインショップ)を利用した受注増加、別注製品は企画提案強化による消費者向け販促キャンペーンの受注増加、メーカーからの企画料・デザイン料など役務売上の増加、商品はイベント関連の受注増加を見込んでいる。

 第1四半期(9月~11月)は、中小スーパーの販促費削減傾向継続、前年の大口スポット受注の一巡、装飾物・演出物の受注減少などの影響で、前年同期比4.4%減収、25.4%営業減益、26.4%経常減益、24.2%最終減益だった。

 しかし通期ベースでは、採算重視の取引推進や売上総利益率の改善なども寄与して営業損益改善が期待される。15年春闘で高額ベア回答が相次ぎ、賃金上昇で消費マインド改善が期待されていることも追い風となりそうだ。

 株価の動きを見ると、2月25日終値181円から動意づいて、3月2日には270円まで急伸する場面があった。その後は反落したが動意前水準である180円近辺まで戻ることなく、200円近辺を維持して下値切り上げの動きを強めている。

 3月18日の終値207円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS8円70銭で算出)は23~24倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は2.4%近辺、そして前期実績PBR(前期実績のBPS285円53銭で算出)は0.7倍近辺である。

 日足チャートで見ると上向きに転じた25日移動平均線が接近して切り返す動きだ。また週足チャートで見ると13週移動平均線が上向きに転じた。調整が一巡して強基調に転じた可能性がありそうだ。低PBRも評価材料であり、収益改善期待で高値圏を目指す展開だろう。

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