- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- JSPは戻り歩調で1月高値に接近、19年3月期増収増益予想
JSPは戻り歩調で1月高値に接近、19年3月期増収増益予想
- 2018/6/13 06:29
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
JSP<7942>(東1)は発泡プラスチック製品の大手である。自動車部品用ピーブロックなど高機能・高付加価値製品の拡販を推進している。19年3月期は販売数量の増加、高付加価値製品の拡販、製品価格の改定などで増収増益予想である。株価は戻り歩調で1月高値に接近している。
■発泡プラスチック製品大手、高機能・高付加価値製品を開発・拡販
発泡プラスチック製品の大手である。押出発泡技術をベースとするポリスチレン・ポリエチレン・ポリプロピレンシートなどの押出事業(産業用包装材、食品用包装材、広告用ディスプレー材、住宅用断熱材など)、ビーズ発泡技術をベースとする発泡ポリプロピレン・発泡ポリエチレン・発泡性ポリスチレン製品などのビーズ事業(自動車衝撃緩衝材、家電製品緩衝材、IT製品輸送用通い函など)、その他事業(一般包材など)を展開している。
18年3月期のセグメント別売上高構成比は押出事業34%、ビーズ事業61%、その他5%、営業利益構成比(連結調整前)は押出事業26%、ビーズ事業72%、その他1%である。自動車部品用発泡ポリプロピレンのピーブロック(英名ARPRO)など高機能・高付加価値製品の拡販を推進している。
収益は販売数量、為替、原油価格、原料価格と販売価格の差であるスプレッド、プロダクトミックスなどが影響する特性がある。
■19年3月期増収増益予想
19年3月期の連結業績予想は、売上高が18年3月期比5.0%増の1200億円、営業利益が4.3%増の95億円、経常利益が6.3%増の98億円、純利益が2.1%増の70億円としている。販売数量の増加、高付加価値製品の拡販、製品価格の改定などで増収増益予想である。前提条件は為替が1米ドル=105円、1ユーロ=132円、1人民元=16.7円、原油価格(ドバイ)が1バーレル=65米ドルである。
セグメント別計画は、押出事業の売上高が8.0%増の421億61百万円で営業利益が11.2%増の29億35百万円、ビーズ事業の売上高が3.5%増の719億34百万円で営業利益が1.9%増の73億59百万円である。高付加価値製品の拡販を推進する。自動車部品用ピーブロックは欧米での採用が拡大する。その他事業は売上高が2.2%増の59億05百万円で営業利益が4.4%減の1億32百万円である。
配当予想は18年3月期と同額の年間50円(第2四半期末25円、期末25円)で、予想配当性向は21.3%となる。
■21年3月期営業利益110億円目標
長期ビジョン「VISION2027」および新中期経営計画「Deeper&Higher2020」を策定した。
目標数値は、新中期経営計画で21年3月期売上高1380億円、営業利益110億円、営業利益率8%、経常利益113億円、純利益79億円、そして長期ビジョンでは28年3月期売上高1800億円、営業利益180億円、営業利益率10%を掲げている。
新中期経営計画の21年3月期目標の前提条件は為替が1米ドル=113円、1ユーロ=133円、1人民元=17円、原油価格(ドバイ)が1バーレル=55米ドルである。セグメント別目標数値は、押出事業の売上高が467億64百万円で営業利益が33億76百万円、ビーズ事業の売上高が850億43百万円で営業利益が83億93百万円、その他事業の売上高が61億93百万円で営業利益が1億80百万円である。新規事業は計画に含めず、外数として売上高30億円を目指す。
基本方針は、差異化戦略(押出事業のスチレンペーパー、ミラボード、FPD関連保護材ミラマットエース、高断熱材ミラフォーム、ビーズ事業のピーブロック、エレンボールNEOなど)の推進、成長戦略(4つの成長エンジン=自動車部品、建築住宅断熱材、FPD関連保護材、新たな事業領域)の推進、人材育成やコーポレートガバナンス強化など経営基盤の強化としている。
3年合計の設備投資額は約300億円、減価償却費は約180億円の計画である。国内外での自動車部品用ピーブロックの拡販・用途開拓を目指し、生産能力を増強する。
自動車部品用ピーブロックは、自動車軽量化要求に対応する製品として需要が急速に拡大し、日系自動車メーカーのリアシートコア材などへの採用が広がっている。その他用途を含めたピーブロック販売数量は、21年3月期に18年3月期比約27%増を見込んでいる。中期成長ドライバーとして期待される。
■株価は戻り歩調で1月高値に接近
株価は下値を切り上げて戻り歩調だ。そして1月高値3980円に接近している。
6月12日の終値3560円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS234円82銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間50円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2667円72銭で算出)は約1.3倍である。時価総額は約1118億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を突破した。また13週移動平均線は上向きに転じている。上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)