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生化学工業は19年3月期大幅減益予想だが売り一巡
- 2018/6/14 06:27
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
生化学工業<4548>(東1)は関節機能改善剤アルツが主力の医薬品メーカーである。19年3月期は国内での薬価改定の影響、円高の影響、受取ロイヤリティーの減少で大幅減益予想としている。株価は売り一巡感を強めている。底打ちして反発を期待したい。
■関節機能改善剤アルツなど糖質科学分野が主力の医薬品メーカー
糖質科学分野が主力の医薬品メーカーで、国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け単回投与関節機能改善剤Gel-One、米国向け3回投与関節機能改善剤VISCO-3、米国向け5回投与関節機能改善剤SUPARTZ-FX、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、LAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。
■新薬開発は糖質科学分野に焦点
研究開発は糖質科学分野(糖鎖や複合糖質を研究する科学分野)に焦点を絞り、開発中の新薬には腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603(コンドリアーゼ)、変形性膝関節症改善剤SI-613(NSAID結合ヒアルロン酸)、ドライアイ治療剤SI-614(修飾ヒアルロン酸)がある。
腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603は、日本で18年3月製造販売承認を取得した。日本における独占的販売契約を締結している科研製薬<4521>から18年8月発売予定である。
また16年8月にはスイスのフェリング社と、SI-6603の日本を除く全世界におけるライセンス契約を締結している。フェリング社から今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり、最大で90百万米ドルのマイルストーン型ロイヤルティを受領する。
なお米国で実施したSI-6603第3相臨床試験について、17年11月に主要評価項目である投与後13週での下肢痛軽減において統計学的に有意な改善効果が認められなかったと発表したが、18年2月には米国における第3相臨床試験(追加試験)の開始を発表している。本追加試験における症例登録開始は19年3月期第1四半期を予定している。
変形性膝関節症治療剤SI-613は米国を含めたグローバル展開を目指す製品と位置付けている。17年2月日本で第3相臨床試験を開始、17年6月米国で第2相臨床試験を開始した。また17年9月小野薬品工業<4528>と日本における共同開発・販売提携に関する契約を締結した。小野薬品から契約締結一時金として20億円を受領するとともに、今後の開発や販売等の進捗に応じて複数年にわたり最大で総額100億円のマイルストーン型ロイヤルティを受領する。
なお17年9月に日本で、SI-613の腱・靱帯付着部症を対象とした後期第2相臨床試験(SI-613-ETP)を開始した。
ドライアイ治療剤SI-614は、米国・欧州で15年1月第2・3相試験が終了し、次相試験について検討中である。
■19年3月期は薬価改定や円高影響などで大幅減益予想
19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.9%減の281億円、営業利益が71.9%減の4億円、経常利益が57.8%減の22億50百万円、純利益が56.7%減の17億円としている。想定為替レートは1米ドル=105円、為替感応度(1円変動時の影響額)は売上高で約1億10百万円、営業利益で約55百万円としている。
事業別売上高の計画は、国内医薬品が9.8%減の145億50百万円、海外医薬品が7.2%減の66億円、医薬品原体が5.5%減の9億50百万円、LAL事業が1.2%増の60億円としている。
研究開発費は減少(16.2%減の70億50百万円)するが、国内薬価改定や円高影響で、減収および原価率上昇(3.8ポイント上昇の46.9%)を見込み、大幅営業減益予想である。経常利益と純利益は受取ロイヤリティーの減少(18年3月期は小野薬品から一時金20億円受領)も影響する。
なお中期経営計画の経営目標値(19年3月期売上高320億円、営業利益25億円、経常利益45億円)は計画未達となる見込みだ。
19年3月期の配当予想は、18年3月期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。予想配当性向は86.6%となる。
■株価は売り一巡して底打ち
株価は19年3月期大幅減益予想を嫌気して急落したが、1500円近辺で売り一巡感を強めている。
6月13日の終値1582円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円03銭で算出)は約53倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連の結BPS1306円37銭で算出)は約1.2倍である。時価総額は約899億円である。
週足チャートで見ると安値圏の下ヒゲで底打ち感を強めている。反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)