【編集長の視点】リコーリースは小反落も24期連続増配などのバリュエーションを手掛かりに下値に出遅れ株買いが継続

 リコーリース<8566>(東1)は、前日14日に5円安の3780円と2日ぶりに小反落して引けた。同社株は、今年4月3日につけた年初来安値3375円から400円超幅の上昇をしており、全般相場の先行きに警戒感が強まるなか目先の利益を確定する売り物が出た。ただ下げ幅は限定的で、下値には今2019年3月期業績が、連続過去最高の取扱高、営業資産を背景に増益転換して、配当も、24期連続の増配を予定しているバリュエーションを手掛かりに出遅れ株買いが続いている。テクニカル的にも、今年1月の年初来高値4165円から年初来安値までの調整幅の半値戻し水準までリバウンドしており、投資アノマリー的に「半値戻しは全値戻し」期待を高めている。

■総取扱高、営業資産残高は連続して過去最高を更新し長期金利上昇も追い風

 同社の今2019年3月期業績は、売り上げ3135億円(前期比3.0%増)、営業利益170億円(同2.7%増)、経常利益167億円(同1.7%増)、純利益114億円(同0.8%増)と予想されている。企業の設備投資が、堅調に推移するなか、ファイナンス・リースや集金代行サービスなどの金融サービス事業が続伸して、総取扱高が、前期比2.7%増の4020億円、営業資産残高が、同5.8%増の8803億円とそれぞれ連続して過去最高を更新することから、売り上げが同じく過去最高を続け、利益は、前期に積極化したITシステム投資や働き方改革などによる組織能力強化策などが寄与して増益転換する。また、世界的に金融政策の正常化が進んで、長期金利が上昇しており、営業資産利回りに好影響するようだと、増益転換幅の拡大も予想される。

 一方、今期配当は、年間80円(前期実績70円)を予定し、24期連続の増配となるが、同社は、中期的な配当性向目標を25%としており、この連続増配はさらに拡大することになりそうだ。なお今期の配当性向は、期初予想ベースで前期の19.3%から21.9%へアップする。

■低PER・PBR修正で「半値戻しは全値戻し」通りに年初来高値奪回へ再発進

 株価は、今年1月に米10年国債の利回りが、3年4カ月ぶりに2.65%まで上昇したことなどを材料に年初来高値4165円をつけ、世界同時株安の波及で3415円安値に調整、売られ過ぎ訂正と期末の配当権利取りで3710円にリバウンドし、配当権利落ちとともに年初来安値3375円に再調整した。同安値からは、今期業績の増益転換・連続増配予想に米10年国債の利回りが一時、3%台に乗せたことが加わり、3845円の戻り高値まで買い直された。足元では、イタリアの政局不安や米トランプ政権の保護主義的な通商政策が響いて全般相場が不透明化するなか、3535円まで下ぶれたが、即25日移動平均線を上抜く水準まで買い直された。この中段もみ合い場面は、年初来高値から年初来安値への調整幅の半値戻しをクリアしており、PER10倍台、PBR0.7倍、配当利回り2.11%のバリュエーション評価で相場格言の「半値戻しは全値戻し」通りに年初来高値奪回へ再発進しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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