パシフィックネットは調整一巡期待、18年5月期大幅増益予想

 パシフィックネット<3021>(東2)は、法人向けにIT機器の調達・導入、ネットワーク構築、運用・保守、データ消去、引取回収をワンストップで提供するLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスを強化し、フロー型からストック型への収益構造転換を推進している。6月14日には子会社2Bの吸収合併を発表した。18年5月期大幅増益予想である。株価は高値圏から反落して水準を切り下げたが調整一巡を期待したい。なお7月13日に18年5月期決算発表を予定している。

■IT機器のLCMサービスを強化

 法人向けにPC・タブレット・モバイル等のIT機器の調達・導入、キッティング(事前設定)、ネットワーク構築、運用・保守、使用済みIT機器の引取・回収、データ消去・消去証明書発行、リユース・リサイクルを行うLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスを強化している。

 LCMサービスの強化によって、使用済みIT機器の引取・回収、データ消去、再生、リユース販売中心の「フロー型」から、新品IT機器の長期レンタル型の調達・導入、キッティング、運用・保守を中心とした「ストック型」への収益構造転換を推進している。

 15年10月2B(トゥー ビー)を設立してBtoB専門総合通信サービス事業に進出、17年6月M&Aアドバイザリ・仲介サービス事業を行う子会社エムエーピー(MAP)を設立した。

 17年11月には取締役会で、店舗部門の縮小と法人向けLCM事業のさらなる強化の方針を決議している。店舗部門は市場動向把握のための一部店舗を残して順次閉店する。17年12月にはガイド用無線レシーバーを中心としたレンタル・販売・保守サービスを展開するケンネットを子会社化した。18年2月には有料職業紹介事業(人材紹介事業)の開始を発表した。

 なお6月14日、通信・セキュリティ・IT機器レンタル・クラウドサービスという総合的なITサービスの受注拡大を加速させるため、子会社の2Bを18年9月1日付で吸収合併すると発表した。吸収合併により、ストック中心の収益構造への変革をスピードアップさせる。

■18年5月期大幅増益予想

 18年5月期連結業績予想は、売上高が17年5月期比3.7%減の44億70百万円、営業利益が2億10百万円(17年5月期は16百万円)、経常利益が2億11百万円(同29百万円)、純利益が1億51百万円(同6百万円の赤字)としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比2.8%減の32億94百万円で、営業利益が1億31百万円の黒字(前年同期は26百万円の赤字)、経常利益が1億33百万円の黒字(同13百万円の赤字)、純利益が91百万円の黒字(同34百万円の赤字)だった。

 LCMサービスの受注拡大、選別受注による収益管理強化、新たな東京テクニカルセンターによる付加価値・生産性の向上、支店・店舗統廃合によるコスト削減などの効果で黒字化した。

 LCM事業は売上高が8.0%増の12億56百万円で営業利益が5.0%減の2億20百万円だった。積極的な営業展開で増収だが、東京テクニカルセンター生産能力拡大、収益性向上のためのレンタル用資産入れ替え、イベント出展やWeb広告宣伝強化、技術系人材拡充など投資負担で減益だった。

 リユース事業は売上高が9.0%減の20億26百万円で営業利益が9.8倍の1億67百万円の黒字だった。一部店舗の廃止、LCM事業による収益重視戦略の結果として使用済みIT機器の入荷台数が減少して減収だが、東京テクニカルセンター設置による生産性向上、在庫回転率向上などの効果で損益が改善した。その他事業は売上高が23百万円で営業利益が1百万円だった。

 通期ベースでも収益性重視での受注案件絞り込みや、一部支店・店舗統廃合などで減収だが、東京テクニカルセンター設置による生産性向上、一部支店・店舗統廃合による販売関連経費の圧縮など構造改革の効果で大幅増益予想である。第4四半期から新規連結する子会社ケンネットも寄与する。好業績を期待したい。

 なお配当予想(18年5月22日公表)は1円増配の年間20円(期末一括)としている。配当性向は68.6%となる。

■株価は調整一巡期待

 株価は06年来高値圏1200円台から反落して水準を切り下げている。6月14日には803円まで下押した。ただし売られ過ぎ感も強めている。

 6月14日の終値は809円、前期推定連結PER(会社予想のEPS29円17銭で算出)は約28倍で、前期推定配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は約2.5%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS353円49銭で算出)は約2.3倍、時価総額は約42億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、調整一巡を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■更新前のスーパーコンピュータの約4倍の計算能力  富士通<6702>(東証プライム)は2月21日…
  2. ■両社の資源を有効活用しSDGsに貢献  伊藤忠商事<8001>(東証プライム)グループのファミリ…
  3. ■純正ミラーと一体化し、左後方の視界を広げる  カーメイト<7297>(東証スタンダード)は、純正…
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■投資と貯蓄の狭間で・・・  岸田内閣の「資産所得倍増プラン」は、「貯蓄から投資へ」の流れを目指し…
  2. ■「ノルム(社会規範)」解凍の序章か?植田新総裁の金融政策正常化  日本銀行の黒田東彦前総裁が、手…
  3. ■「日経半導体株指数」スタート  3月25日から「日経半導体株指数」の集計・公表がスタートする。東…
  4. ■投資家注目の適正株価発見ツール  日銀の価格発見機能が不全になる可能性がある中、自己株式取得が新…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る