アスカネットは調整一巡して出直り期待、19年4月期増収増益予想、AI事業で樹脂製プレートの供給拡大期待

 アスカネット<2438>(東マ)は遺影写真加工関連や写真集制作関連を主力としている。エアリアルイメージング(AI)事業では、安定した品質での試作に成功した樹脂製ASKA3Dプレートの供給拡大が期待される。19年4月期増収増益予想である。株価は戻り高値圏から反落したが、調整一巡して出直りを期待したい。

■写真加工関連を主力としてAI事業も育成

 葬儀社・写真館向け遺影写真合成・加工関連のメモリアルデザインサービス(MDS)事業、写真館・コンシューマー向けオリジナル写真集制作関連のパーソナルパブリッシングサービス(PPS)事業を主力として、空中結像技術を用いたエアリアルイメージング(AI)事業など新規事業も育成している。18年4月期の売上構成比はMDS事業42.8%、PPS事業55.4%、AI事業1.8%だった。

 17年2月人工知能搭載ソーシャルロボット「unibo」を開発・製造・販売するユニロボットに出資して資本業務提携、18年3月全身高速3Dスキャナーおよび3Dデータ処理システム開発・製造・販売のVRC社と資本業務提携した。

■葬祭市場のIT化「葬Tech」目指す

 MDS事業は葬儀関連、PPS事業はウエディング・卒業・入学イベント関連などが主力市場である。景気変動の影響を受けにくい特性や、下期の構成比が高い季節特性もある。

 MDS事業では葬祭市場のIT化「葬儀×TECH=葬Tech」を目指し、葬祭市場における豊富な顧客基盤も活用して、AI事業とのコラボ商品である「飛鳥焼香台」なども強化している。18年3月には葬儀社と喪主と会葬者を繋ぐサービス「tsunagoo」で新しい形の弔電サービスを開始した。

 PPS事業は、プロフェッショナル写真家向け(BtoB)の「アスカブック」と、一般消費者向け(BtoC)「マイブック」を主力としている。NTTドコモ<9437>向けOEM供給もサービス浸透で規模が拡大している。

■AI事業の樹脂製ASKA3Dプレートの供給拡大期待

 AI事業は18年1月、サービスブランドをASKA3D、プレート名をASKA3Dプレートに統一した。プレートだけで空中ディスプレイが可能となるシンプルな構造を特色として、サイネージ、車載、医療、操作パネル、飲食、アミューズメントなど多方面の業界・業種から注目されている。

 本格量産(ファブレス製造形態、自社ブランド販売)技術の確立に取り組み、18年4月には低コスト供給が可能な樹脂製ASKA3Dプレートの安定した品質での試作に成功した。そして6月からサンプル供給を開始する。19年4月期には月産1万個規模の量産体制確立を目指しており、供給拡大が期待される。

■19年4月期増収増益予想

 18年4月期の非連結業績は、売上高が17年4月期比8.6%増の59億04百万円、営業利益が1.5%減の7億88百万円、経常利益が1.1%減の7億95百万円、純利益が2.7%減の5億56百万円だった。配当は17年4月期と同額の年間10円(期末一括)とした。配当性向は30.1%である。

 AI事業における広告宣伝費、研究開発費、特許関連費用の増加などで微減益だったが、PPS事業におけるOEM供給の好調などで計画を上回った。売上総利益率は51.5%で0.2ポイント低下、販管費比率は38.1%で1.1ポイント上昇した。

 MDS事業は売上高が4.0%増の25億24百万円だが、営業利益が5.8%減の7億50百万円だった。売上面ではハード機器が好調に推移し、AI事業とのコラボ商品である「飛鳥焼香台」も寄与した。が、利益面では画像処理オペレーターの人件費や発送配達費の増加で減益だった。

 PPS事業は売上高が10.8%増の32億71百万円で、営業利益が18.3%増の7億78百万円だった。NTTドコモ向けOEM供給がサービス浸透で好調に推移し、稼働率上昇効果で大幅増益だった。

 AI事業は売上高が95.3%増の1億18百万円で、営業利益が2億50百万円の赤字(17年4月期は1億83百万円の赤字)だった。売上は小ロット案件が中心だった。コスト面では国内外の展示会出展のための広告宣伝費、研究開発費、特許関連費用などが増加した。

 19年4月期非連結業績予想は、売上高が18年4月期比3.5%増の61億11百万円、営業利益が2.2%増の8億06百万円、経常利益が1.9%増の8億11百万円、純利益が1.8%増の5億67百万円としている。配当予想は18年4月期と同額の年間10円(期末一括)としている。予想配当性向は29.7%となる。

 セグメント別売上高の計画は、MDS事業が2.9%増の25億99百万円、PPS事業が2.2%増の33億43百万円、AI事業が43.0%増の1億69百万円としている。

 MDS事業は、遺影写真加工収入の着実な積み上げ、額や葬儀演出ツールの伸長を見込むが、人件費率を高めに想定して利益横ばい計画である。PPS事業は、売上面ではOEMを中心に保守的な計画としている。また設備増強に伴って減価償却費が増加し、人件費や送料負担の増加も見込まれるため減益計画としている。

 AI事業では開発費の増加などを見込むが、ガラス製プレートおよび樹脂製ASKA3Dプレートのサンプル販売を計画し、増収効果で赤字が縮小する見込みだ。なお樹脂製ASKA3Dプレートの販売は不確定要素が大きいとしているが、上振れの可能性がありそうだ。供給拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年4月末に実施

 株主優待制度は毎年4月30日現在の株主に対して、所有株式数に応じて自社サービス(マイブック)割引利用券を贈呈している。

■株価は調整一巡して出直り期待

 株価は急伸した5月の戻り高値1964円から反落し、さらに19年4月期増収増益予想にもネガティブ反応の形で水準を切り下げた。6月19日には1516円まで調整した。ただし売られ過ぎ感を強めている。

 6月19日の終値1538円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS33円74銭で算出)は約46倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は約0.7%、前期実績PBR(前期実績のBPS297円45銭で算出)は約5.2倍である。時価総額は約269億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込む形だが、調整一巡して出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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