【編集長の視点】加賀電子は続落も新工場建設に新規M&Aなど相次ぐ成長戦略を見直し突っ込み買い妙味

株式市場 銘柄

 加賀電子<8154>(東1)は、今2019年3月期に入って、今年5月29日に国内5拠点目となる新工場の建設を発表し、次いで6月4日にはセキュリティ関連のベンチャー企業Secual(東京都渋谷区)への出資を公表と成長戦略を相次いで発動しており、突っ込み買い妙味を示唆している。業績実態面でも低PERに放置され、テクニカル的にも、25日移動平均線から約7%のマイナスかい離と売られ過ぎであり、逆行高期待を高めよう。

■国内5拠点体制が完成しマザー工場として海外EMS2工場との連携も強化

 新工場は、同社の100%子会社・加賀マイクロソリューション(東京都渋谷区)が、約12億円を投資して福島県須賀川市に建設、今年11月に着工し、2019年7月に竣工・稼働開始を予定している。電子部品のEMS(開発・生産受託)工場の山形工場が、手狭となっているため一部生産を移管、国内5拠点目として建設し従業員約50名を採用して国内生産機能を強化するとともに、マザー工場として中国、マレーシアに展開している海外2生産拠点との連携も強める。
 また同工場建設は、経済産業省の「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」の指定事業にも選定され、業績期待も高めている。同社の今2019年3月期業績は、電子部品を取り巻く事業環境の変化が激しく不確定要素が大きいため業績予想は困難として非開示とされ、代わって今2019年3月期が最終年度となる「中期経営計画2018」の目標数値の売上高2900億円(前期比22.9%増)、経常利益100億円(同14.4%増)の達成に取り組むとした。今回の新工場建設は、補助金収入の計上など業績上乗せ要因としても注目される。

 一方、Secualの子会社化は、IoTを活用したスマートセキュリティ製品の開発・製造とスマートセキュリティ、サービスを展開する同子会社との連携で防犯セキュリティ性の高いスマートホーム化を手軽に実現し、さらに加賀電子の各種センサーやゲートウェイの需要を創出するなど相乗効果が生まれてくる。同社は、成長戦略の一環として3年間で50億円のM&Aを実施する中期経営計画を推進中で、相次ぐM&Aが業績上ぶれに早期寄与することになる。

■PERは11倍、配当利回りは2.6%と売られ過ぎ歴然で25日線奪回から年初来高値を目指す

 株価は、配当権利を落としてつけた年初来安値2477円から、同安値が1株純資産2571円を下回って売られ過ぎと評価し、さらに同社M&A先の米ベンチャー企業の医療用システムの米食品医薬品局(FDA)承認も続いて2800円台までリバウンドした。その後の5月には、今期業績予想の非開示で再び2592円へ下ぶれたが、売られ過ぎ訂正買いが再燃し、新工場建設やM&Aも加わって3030円の戻り高値まで買い直された。足元では、全般相場の大幅続落とともに、5月安値近辺へ往って来いとなったが、PERは前期実績ベースで11倍台、配当利回りは2.65%と売られ過ぎを示唆している。まず25日線水準の2800円台奪回で弾みをつけ、年初来高値3160円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■開発者や投資家に加え、警鐘を鳴らす識者やアーティストも選出、多様な視点でAIの未来を問う  米T…
  2. 【効率化の先に広がる新しい働き方のルール】 ■広がり始めた「AI格差」  生成AIの利用が急速に…
  3. ■R35 GT-R最終生産、累計4万8000台が築いた伝説  日産自動車<7201>(東証プライム…
2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ピックアップ記事

  1. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  2. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…
  3. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  4. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…
  5. ■自民党総裁選と連立問題が相場を左右、短期急伸と急落を交錯  高市トレードは、まるで「超高速エレベ…
  6. ■東京市場、リスクオンとリスクオフが交錯、安全資産関連株に注目  週明けの東京市場は、米国株反発に…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る