- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- シルバーライフは4月高値に接近、18年7月期増収増益予想で上振れ余地、中期的にも収益拡大基調
シルバーライフは4月高値に接近、18年7月期増収増益予想で上振れ余地、中期的にも収益拡大基調
- 2018/6/29 06:46
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
シルバーライフ<9262>(東マ)は高齢者向け配食サービスを展開している。後期高齢者向けに特化していること、FC本部として調理済み食材販売を主力としていること、商品開発・製造・配達を一気通貫で展開していることなどを特徴・強みとしている。18年7月期はFC加盟店が順調に増加して増収増益予想である。そして上振れ余地がありそうだ。高齢化の進展で中期的にも収益拡大基調が期待される。株価は4月の上場来高値に接近している。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。
■高齢者向け配食サービスを展開
17年11月東証マザーズに新規上場した。自分で調理することや買い物に行くことが困難な一人暮らしなど、要介護の高齢者向けの配食サービスを展開している。
販売(事業)区分は、FC本部として加盟店に調理済み食材を販売するFC加盟店事業、高齢者施設等に調理済み食材やチルド弁当を販売する高齢者施設等事業、宅配弁当業者などから相手先ブランドで冷凍弁当を受託製造・販売するOEM事業としている。
18年7月期第3四半期累計の事業別売上構成比は、FC加盟店事業73.8%、高齢者施設等事業16.4%、OEM事業9.8%である。主力のFC加盟店事業ではロイヤリティを受け取るが、大部分が調理済み食材の売上である。
特徴・強みとしては、要介護の後期高齢者向け配食に特化していること、普通食からやわらか食まで低価格かつ豊富なメニューを用意していること、FC本部として調理済み食材販売を主力としていること、配食サービスで求められる多品種ランダム生産に対応したフレキシブルかつローコスト製造のノウハウを蓄積していること、管理栄養士による商品開発から、自社工場(一部外注)による製造、冷凍・冷蔵倉庫における保管、FC加盟店による配達まで一気通貫で展開していること、さらに高齢者の自宅まで届けるFC加盟店の配達ネットワークを活用して周辺ビジネスにも展開できることなどがある。
■配食サービスの店舗数1位
主力のFC加盟店事業は、09年4月開始の「まごころ弁当」と、14年2月開始の「配食のふれ愛」の2ブランドで展開し、調理済み食材を販売している。18年3月には一部のFC加盟店において、オフィス向けランチ宅配弁当「楽らく弁当」の販売も開始した。
18年4月末時点のFC店舗数は「まごころ弁当」382店舗と「配食のふれ愛」232店舗の合計614店舗(17年7月期末比51店舗増加)である。配食サービスの店舗数として1位規模である。
FC加盟店にとっては低コストで簡単に開業できるというメリットがある。FC本部から仕入れた調理済み食材を盛り付けて配達するだけの簡単なオペレーションのため、調理経験や大型厨房設備が無くても開業できる。また来店型店舗でないため立地を問わない。このためFC加盟店は順調に増加している。
高齢者施設等事業はサービス名称「まごころ食材サービス」で、調理済み食材やチルド弁当を販売している。18年4月末時点の契約施設数は4117施設(17年7月期末比1331施設増加)である。民間配食業者の効率的な食材販売サービスへの需要が高まり、新規契約が増加基調である。なお配達はFC加盟店の配達ネットワークを利用している。
OEM事業は、宅配弁当業者などから相手先ブランドで冷凍弁当を受託製造している。18年3月にはヨシケイ開発(静岡市)と冷凍弁当の生産請負で合意した。2社目のOEM供給先となる。
■18年7月期増収増益予想で上振れ余地
18年7月期の非連結業績予想は、売上高が17年7月期比17.9%増の61億84百万円、営業利益が12.0%増の5億32百万円、経常利益が9.4%増の5億90百万円、純利益が1.8%増の3億84百万円としている。FC加盟店が順調に増加して増収増益予想である。
事業別売上高の計画は、FC加盟店事業が12.5%増の45億80百万円、高齢者施設等事業が35.6%増の10億01百万円、OEM事業が37.9%増の6億01百万円としている。FC加盟店事業の期末店舗数は615店舗~625店舗の想定である。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比24.8%増の47億39百万円、営業利益が21.7%増の4億30百万円、経常利益が19.1%増の4億80百万円、純利益が12.7%増の2億99百万円だった。
事業別売上高はFC加盟店事業が17.8%増の34億97百万円、高齢者施設等事業が49.0%増の7億78百万円、OEM事業が51.0%増の4億64百万円だった。各事業とも新規顧客増加などで大幅伸長した。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.6%、営業利益が80.8%と順調である。FC加盟店や高齢者施設契約数が増加基調であること、OEM事業で新規顧客を獲得したことなどを考慮すれば、通期予想に上振れ余地がありそうだ。
■中期的に収益拡大基調
成長戦略としては、積極的なFC加盟店の募集、セカンドブランドである「配食のふれ愛」による店舗網の拡大、高齢者施設等向け新規開拓と継続契約へのフォロー、OEM販売先の新規獲得などを掲げている。店舗数は中期的に1500店舗を目指している。販売チャネルの増加による食材販売の増加を目指す戦略だ。
高齢化が進展して後期高齢者人口が増加し、在宅介護へのシフトも追い風となって配食サービスの利用者の増加が予想される。また高齢者施設等においても、調理者不足に伴って外部委託の需要が高まっている。事業環境は良好であり、中期的にも収益拡大基調が期待される。
なお18年4月に新工場(仮称:第2関東工場)建設用地の取得を発表している。将来の需要増加を見込んで生産能力を増強する。総投資額(土地、建物、設備)14億円で、18年着工、20年完成予定としている。
■株価は4月高値に接近
株価は5月の直近安値圏3000円近辺から切り返し、6月28日には5500円まで上伸した。戻り歩調で4月の上場来高値5890円に接近している。6月28日の終値は5430円、今期予想PER(会社予想のEPS77円91銭で算出)は約70倍、時価総額は約285億円である。週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインだ。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)