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ゼリア新薬工業は年初来高値圏、19年3月期増収増益予想
- 2018/7/2 06:29
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ゼリア新薬工業<4559>(東1)は、消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。19年3月期増収増益予想である。なお6月15日に新たな自己株式取得を発表している。株価は年初来高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。
■医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を展開
消化器分野が中心の医療用医薬品事業、および一般用医薬品のコンシューマーヘルスケア事業を展開している。収益面では薬価改定、ライセンス収入・ロイヤリティ収入、研究開発費、広告宣伝費などの影響を受けやすい。
18年3月期のセグメント別売上高構成比は医療用医薬品事業54%、コンシューマーヘルスケア事業46%、その他0%、営業利益構成比(連結調整前)は医療用医薬品事業26%、コンシューマーヘルスケア事業72%、その他3%だった。海外売上比率は26%である。
医療用医薬品事業は、潰瘍性大腸炎治療剤アサコールを主力として、H2受容体拮抗剤アシノン、亜鉛含有胃潰瘍治療剤プロマック、機能性ディスペプシア治療剤アコファイドなども展開している。子会社ティロッツ社は15年7月アストラゼネカ社から炎症性腸疾患(IBD)治療剤Entocortの米国を除く全世界における権利を取得し、16年11月国内でゼンタコートカプセルを発売した。17年5月には潰瘍性大腸炎治療剤アサコールの用法・用量を追加(開発番号Z-206、協和発酵キリンと共同開発)した。
コンシューマーヘルスケア事業は、ヘパリーゼ群、コンドロイチン群、ウィズワン群を主力として、日本で初めて月経前症候群の効能を取得した西洋ハーブ・ダイレクトOTC医薬品プレフェミン、連結子会社イオナ インターナショナルの「イオナ」ブランド化粧品なども、全国の薬局・薬店・ドラッグストアなどに販売している。
■消化器分野を最重点領域として新薬開発を推進
消化器分野を最重点領域と位置付けて、新薬開発を推進している。膵臓癌を適応症とする「Z-360」は日本を含むアジア地域でフェーズ2国際共同治験中、子宮頸癌を適応症とする「Z-100」は日本を含むアジア地域でフェーズ3国際共同治験中である。
18年3月にはビフォーファーマ社との高カリウム血症治療薬Veltassaの日本国内における独占的開発・販売契約を締結した。米国では15年12月から販売され、欧州では17年7月にEMA(欧州医薬品庁)から承認を取得している。またビフォーファーマ社から導入した鉄欠乏性貧血治療剤「Z-213」の国内製造販売承認を申請した。本剤は世界75ヶ国で承認を取得している。
海外は、中国で潰瘍性大腸炎を適応症として「Z-206」を承認申請中、欧州で潰瘍性大腸炎を適応症とする「TP05」を承認申請中である。自社開発「Z-338」は欧州で機能性ディスペプシアを対象としたフェーズ3を実施し、北米ではフェーズ2が終了している。
■19年3月期増収増益予想
19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比5.3%増の680億円、営業利益が7.7%増の52億円、経常利益が2.2%増の52億円、そして純利益が3.4%増の43億円としている。研究開発費の増加などを増収効果で吸収する見込みだ。好業績を期待したい。
19年3月期の配当予想は18年3月期と同額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)としている。予想配当性向は39.8%となる。
■株主優待は毎年9月末と3月末の年2回実施
株主優待制度は毎年9月末および3月末現在の株主に対して実施している。保有株式数に応じて自社グループ商品を贈呈する。
■株価は高値圏
17年6月16日発表の自己株式取得は18年6月15日に終了した。そして6月15日に新たな自己株式取得(上限130万株・30億円、取得期間18年6月18日~18年11月2日)を発表している。
株価は6月18日に年初来高値となる2478円まで上伸した。その後も高値圏で堅調に推移している。
6月29日の終値2397円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円36銭で算出)は約28倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1300円88銭で算出)は約1.8倍である。時価総額は約1273億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインだ。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)