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巴工業は06年来高値圏、18年10月期予想に再増額余地
- 2018/7/2 06:27
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
巴工業<6309>(東1)は、機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開している。18年10月期は増額修正して利益横ばい予想である。さらに再増額余地がありそうだ。株価は06年来の高値圏だ。1倍割れの低PBRも見直して上値を試す展開が期待される。
■機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開
遠心分離機械を中心とする機械製造販売事業、合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を展開している。
17年10月期のセグメント別売上構成比は機械製造販売事業25%、化学工業製品販売事業75%、営業利益構成比は機械製造販売事業24%、化学工業製品販売事業76%だった。また地域別売上構成比は日本79%、アジア17%、その他4%だった。
収益面では、機械製造販売事業が設備投資関連のため、第2四半期(2月~4月)および第4四半期(8月~10月)の構成比が高くなりやすい特性がある。
■18年10月期は増額して利益横ばい予想、さらに再増額余地
18年10月期連結業績予想(5月29日に増額修正)は、売上高が17年10月期比4.6%増の430億円、営業利益が0.4%減の21億90百万円、経常利益が0.9%減の22億円、純利益が0.9%減の14億90百万円としている。配当予想は17年10月期と同額の年間45円(第2四半期末22円50銭、期末22円50銭)としている。予想配当性向は30.1%となる。
機械製造販売事業は国内官需向け大型工事や海外向け案件の一部繰り延べの影響で計画を下回るが、化学工業製品販売事業において工業材料分野の住宅・建設用途向け材料、電子材料分野の半導体製造用途向け商材など、収益性の良い商材が伸長する。
第2四半期累計は売上高が前年同期比6.8%増の209億23百万円、営業利益が23.6%増の13億19百万円、経常利益が28.6%増の13億46百万円、純利益が33.1%増の8億89百万円だった。
機械製造販売事業、化学工業製品販売事業とも好調に推移して大幅増益だった。売上総利益率は22.4%で0.4ポイント上昇、販管費比率は16.0%で0.6ポイント低下した。営業外費用では為替差損益が改善した。
セグメント別に見ると、機械製造販売事業は売上高が8.6%増の52億23百万円、営業利益が37.6%増の3億55百万円だった。国内官需向け部品・修理、国内民需向け機械、装置・工事、海外向け装置・工事、部品・修理が伸長し、国内官需向け中心に機械販売の収益性が向上した。
化学工業製品販売事業は売上高が6.2%増の157億円、営業利益が19.2%増の9億63百万円だった。工業材料分野の自動車向けや住宅・建設用途向け材料、機能材料分野の半導体製造装置向け材料、電子材料分野の半導体製造用途向け搬送用商材、香港拠点の樹脂販売、深圳のコンパウンド事業が伸長し、製品ミックス改善も寄与した。
通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が48.7%、営業利益が60.2%、経常利益が61.2%、純利益が59.7%である。通期予想に再増額余地がありそうだ。
■株主優待制度は10月末に実施、ワインを贈呈
株主優待制度は、毎年10月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して、ワイン(当社関連会社取扱商品)1本を贈呈する。
■株価は06年来高値圏
株価は6月5日に年初来高値2418円まで上伸した。17年9月の2312円を突破して06年来の高値圏だ。その後は一旦反落したが自律調整の範囲だろう。
6月29日の終値2300円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS149円32銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2706円72銭で算出)は約0.8倍である。時価総額は約242億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインだ。1倍割れの低PBRも見直して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)