【アナリスト水田雅展の銘柄分析】パシフィックネットは下値固め完了して戻り歩調、5月期末一括で2%台後半の配当利回りも評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 中古パソコン・モバイル機器などのリユース事業を展開するパシフィックネット<3021>(東マ)の株価は、500円近辺での下値固めが完了して戻り歩調の展開だ。足元では550円台まで戻して強基調に転換したようだ。今期(15年5月期)業績見通し増額の可能性や、5月期末一括で2%台後半の配当利回りを評価して出直り展開だろう。

 パソコン、タブレット端末、スマートフォンなど中古情報機器の引取回収・販売事業を主力として、レンタル事業も展開している。13年10月に旗艦店としてオープンした「PC-NETアキバ本店」など全国主要都市に9店舗を展開し、主要仕入先のリース・レンタル会社や一般企業からの引取回収を強化するとともに、生産性向上や業務プロセス効率化などで収益力を高めている。

 全国主要都市8箇所の引取回収拠点や、ISO27001(ISMS)およびプライバシーマークに準拠した情報漏洩防止のためのセキュリティ体制に強みを持ち、企業や官公庁のセキュリティ意識やコンプライアンス意識の向上に伴って中古情報機器の入荷台数が大幅に増加している。データ消去サービスなども奏功して顧客カバー率が一段と広がり、大手金融機関からの中古情報機器引取回収も本格化している。

 直近の話題としては、18日に、「リユーススマホ安心4パック」を3月21日より、パシフィックネットが運営する「PCNETアキバ本店(東京 秋葉原)」での店頭販売を開始することを発表している。今後、順次全国のPCNET 7店舗ならびにアールモバイル秋葉原店でも販売する。「リユーススマホ安心4パック」では、格安のリユーススマホもしくは新古品スマホに1年間の長期保証を付与、さらに昨今指摘されるスマートフォンを狙った脅威、ユーザーの情報搾取を目的としたAndroid向け不正アプリの急増や、フィッシング詐欺等のWebの脅威に対応する為、ウイルス対策ソフト(トレンドマイクロ社ウイルスバスター モバイル2年版)も添付している。加えて、スマホを手軽に使用できるようMVNOの格安SIMカード(OCNモバイルONEデータSIMパッケージ)をセットにした「格安・安心・安全」なパッケージとなっており、価格面でも14,800円(税込)からと廉価な価格設定となっている。

 14年8月には、レカム<3323>およびリステック(東京都中央区)との3社協業で中小企業向けサーバー機器レンタルサービスを開始し、法人向け格安スマートフォンのサービスも開始した。

 14年10月には企業・官公庁・自治体での使用済みIT機器の回収からデータ消去までの一連の作業を大幅に効率化する日本初のWebサービス「P-Bridge」の無償提供を開始した。IT資産管理ソフト大手エムオーテックス社とデータ連携し、当社の引取回収サービスの提供価値を高める戦略だ。なお2月17日には「P-Bridge」に関して特許出願したと発表している。ソリューション・プラットフォームと位置付けて新たなサービスも投入する方針だ。

 14年11月には、Windowsクラスルーム協議会の「Windowsクラスルーム包括プログラム」のサービスメニューとして「教育機関のお客様向けECOサービス」を展開すると発表した。教育現場におけるICT機器導入時・処分時のコスト削減サービスや、ICT機器処分時の情報漏洩などセキュリティリスクを軽減するサービスを教育機関向けに提供する。

 今期(15年5月期)の連結業績見通し(7月15日公表)は、売上高が前期比4.8%増の42億53百万円、営業利益が同5.4%増の3億円、経常利益が同1.2%増の3億11百万円、純利益が同6.3%減の1億71百万円、配当予想が前期と同額の年間16円(期末一括)としている。

 第2四半期累計(6月~11月)は前年同期比23.1%増収、19.7%営業増益、16.9%経常増益、29.1%最終増益で期初計画を上回る増収増益だった。米マイクロソフトのOS「ウインドウズXP」サポート終了に伴う入れ替え需要一巡や、消費増税の反動といったマイナス影響が想定よりも限定的だった一方で、中古スマートフォンや中古タブレット端末といった中古モバイル機器の引取回収、業者向け卸販売が大幅に増加している。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(6月~8月)11億50百万円、第2四半期(9月~11月)10億86百万円で、営業利益は第1四半期1億19百万円、第2四半期32百万円である。

 通期見通しに対する進捗率は売上高52.6%、営業利益50.3%、経常利益51.8%、純利益61.4%と概ね順調な水準だ。通期見通しについては市場動向や戦略投資などの状況を踏まえて精査中として前回予想を据え置いたが、顧客対応強化の効果で中古情報機器の引取回収・販売が順調に増加し、保守・サポートなど付帯サービス関連も拡大する。生産性向上や業務プロセス効率化も寄与して通期見通し増額の可能性があるだろう。

 株価の動きを見ると、1月16日に直近安値474円を付けたが、500円近辺での下値固めが完了して戻り歩調の展開だ。足元では550円台まで戻している。今期営業増益見通しを再評価する動きだろう。

 3月19日の終値553円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円23銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は2.9%近辺、実績PBR(前期実績の連結BPS352円83銭で算出)は1.6倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となり、週足チャートで見ると26週移動平均線を突破した。強基調に転換した可能性がありそうだ。今期業績見通し増額の可能性や、5月期末一括で2%台後半の配当利回りを評価して出直り展開だろう。

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