【編集長の視点】トーセは年初来安値更新も3Q好決算評価にスマホゲームTV放映開始が相乗して突っ込み買いも一考余地

 トーセ<4728>(東1)

は、前日5日に66円安の959円と反落して引け、連日の年初来安値更新となった。日経平均株価が、4日続落し約3カ月ぶりの安値に落ち込み、9割近くの銘柄が下落する軟調相場のなか、同社株にポジション調整の売り物が出た。ただ後場寄り付き段階までは、この日5日の大引け後に発表予定の今2018年8月期第3四半期(2017年9月~2018年5月期、3Q)決算への期待や、同社が開発を受託した大型スマートフォンアプリ「千銃士」が、今年7月3日にテレビアニメとして放映が開始されたことを手掛かりに1000円台大台で下げ渋る動きも続けていた。実際に大引け後に発表された3Q業績は、営業利益が前年同期比2.1倍増益、純利益が同4.2倍増益とV字回復して着地しており、大きく下げた株ほど大きく戻すとする「リターン・リバーサル」期待の突っ込み買いも一考余地がありそうだ。

■3Q営業利益は2.1倍増益とV字回復し7月3日から「千銃士」もTV放映スタート

 同社の今8月期業績は、今年4月5日に第2四半期(2017年9月~2018年2月期、2Q)累計業績を上方修正する一方で、8月期通期業績を下方修正する好・不調が交錯する業績修正となった。売り上げは、2Q累計業績、通期業績ともスマートフォンゲームの大型化、開発期間の長期化に伴い顧客の要望により開発の中止、または開発完了のずれ込みでいずれも期初予想を下回ったが、2Q累計利益は、販管費削減効果で上方修正となった。これに対して通期利益は、開発売り上げの減少で売り上げ総利益が減少することに加え、人材獲得競争激化に伴って開発人員が想定以上に減少し、受注計画を見直したことにより下方修正された。

 これを受けて、前日大引け後に実際に発表された3Q業績は、前年同期比4.3%増収、2.1倍営業増益、25.7%経常減益、4.2倍純益増益とV字回復して着地した。複数のスマートフォン向けゲームで運営業務を着実に遂行したことで売り上げが増収転換し、営業利益は、東南アジア向けコンテンツ配信事業の先行費用が減少して大幅増益転換し、経常利益は、為替相場の変動で保有・運用外貨建資産に為替差損を計上して減益転換したが、純利益は、投資有価証券売却益8500万円を計上しV字回復した。なお8月通期業績は、4月の下方修正値を据え置き売り上げ46億2500万円(前期比1.7%減)、営業利益1億6400万円(同46.7%減)、経常利益2億300万円(同50.0%減)、純利益1億3400万円(同35.9%減)と見込み、配当も年間25円を予定している。大型スマホゲームでは、LINEとマーベラスから開発を受託した「千銃士」が、事前登録者数が100万人を突破して今年3月22日から配信を開始し、7月3日からTOKYO MX、サンテレビなど4局でTVアニメ化されて放映が開始されたことも、業績期待を高めよう。

■期末接近で2.6%の配当権利取りを手掛かり「リターン・リバーサル」に発進

 株価は、今期通期業績の下方修正が響いてストップ安し、25日移動平均線水準で下値を固める動きを続けてきたが、米中の貿易摩擦激化懸念で全般相場が調整色を強めるとともに下値を探り、年初来安値957円へ突っ込んだ。同安値は、年初来高値2195円から56%の下落、25日線からは15%超のマイナスかい離し、さらに配当利回りも2.61%と売られ過ぎが明らかである。期末接近の配当権利取りを手掛かりに「リターン・リバーサル」に発進し、まず1000円大台奪回で弾みをつけ、年初来高値2195円からの調整幅の3分の1戻し水準の1300円台回復を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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