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JPホールディングスは売り一巡して反発期待、新経営体制でグループの企業価値向上を目指す
- 2018/7/9 06:55
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
JPホールディングス<2749>(東1)は総合子育て支援カンパニーである。6月26日開催の定時株主総会・取締役会において代表取締役が交代し、7月3日には新経営体制でグループの企業価値向上を目指す方針をリリースした。株価は6月の年初来高値から反落して水準を切り下げたが、売り一巡して反発を期待したい。
■保育園業界の最大手、グループ力を活かした総合子育て支援カンパニー
保育園業界最大手で、グループ力を活かした総合子育て支援カンパニーである。保育園・学童クラブなどを運営する子育て支援事業を主力として、保育所向け給食請負事業、英語・体操・リトミック教室請負事業、保育関連用品の物品販売事業、研究・研修・コンサルティング事業なども展開している。
18年3月末の運営施設数(16年9月子会社化したアメニティライフ含む)は、保育園183(認可保育園・公設民営11、認可保育園・民設民営148、東京都認証保育所21、その他認可外保育園3)、学童クラブ71、児童館12、民間学童クラブ5、海外幼稚園1、合計272園・施設(17年3月末比21園・施設増加)である。首都圏中心に展開している。
収益は既存施設の稼働率、新規施設の開園、保育士待遇改善に伴う人件費の増加、補助金の増減などが影響する。また新規施設の開園は概ね4月だが、稼働率が上昇する期後半に向けて収益が拡大する傾向もある。
なお6月26日開催の定時株主総会・取締役会において代表取締役が交代し、7月3日には新経営体制でグループの企業価値向上を目指す方針をリリースした。新経営体制移行の狙いとして、5項目(役員報酬の大幅な減額、ステークホルダーとの良好な関係の構築、グループ全体の営業力と組織力の強化、保育品質の一層の向上施策の実現、人事制度の見直し)を掲げている。
■保育士確保に向けて待遇改善や職場環境整備を推進
大幅な賃上げなどの保育士待遇改善や職場環境整備を推進し、保育士の確保と社会的に評価される賃金制度の構築を目指している。
保育士の業務負担軽減、保育士と保護者のコミュニケーション強化に向けた取り組みの一環として、日本保育サービスが運営する全国の保育園に、ソフトバンクグループのhugmo(ハグモー)社の保育クラウドサービス「hugmo」を導入している。18年5月にはhugmo社と共同で、午睡中の園児の体動異常を検知するIoTセンサーを共同開発すると発表している。
■新規事業で新学童クラブや海外展開などを推進
新規事業分野では、補助金を申請せず料金設定の面で自由度が高い新タイプの民間学童クラブ「AEL(アエル)」を展開し、18年3月にはAELが学習教室「ガウディア」のFCに加盟した。
コンサルティング事業は、子育て支援施設の新規開発・運営のコンサルティングを展開する。18年3月期の契約済みは17件、新規契約見込みは5件である。
海外はベトナムにおいて、中間層共働き世帯をターゲットに幼稚園事業を展開している。17年9月ダナン市(100%出資現地法人が運営するCOHAS DA NANG)とホーチミン市(現地企業とのFC契約によるCohas Kids)に幼稚園を開園した。
■19年3月期予想は非開示だが新規開設順調で増収増益見込み
19年3月期の連結業績・配当予想は非開示としている。ただし新規開設予定の合計21施設のうち、18年4月時点で保育園15園、学童クラブ4園を開設済みである。企業主導型事業所内施設2園(いずれも沖縄県)は、18年8月以降に開園予定である。新規施設開設が順調で増収増益が見込まれる。
■待機児童解消政策が追い風の事業環境に変化なく、中期的に収益拡大期待
都市部を中心に保育サービスの需要は高水準であり、待機児童解消に向けて保育士待遇改善、保育所運営補助金拡大、各種規制緩和などの政策が進展している。国や東京都の待機児童解消政策が追い風となる事業環境に変化はなく、中期的に収益拡大が期待される。
■株主優待制度は毎年9月末
株主優待制度は毎年9月末日現在の5単元(500株)以上保有株主を対象として実施している。公平な利益還元という観点から16年度に一旦廃止したが、旧優待制度を見直し、保有株式数および保有期間に応じた還元の基準を定めて17年9月末の対象株主から再開した。
■株価は売り一巡して反発期待
株価は6月の年初来高値420円から反落し、代表取締役交代に伴う不透明感や地合い悪化の影響で7月5日の340円まで水準を切り下げた。
7月6日の終値は351円、時価総額は約308億円である。週足チャートで見ると26週移動平均線が接近している。売り一巡して反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)