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デジタルハーツホールディングスは調整一巡して反発期待、19年3月期大幅増収増益・増配予想
- 2018/7/9 06:52
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
デジタルハーツホールディングス(ハーツユナイテッドグループが18年7月1日付で商号変更)<3676>(東1)は、ソフトウェアをテストして不具合を検出するデバッグ事業を主力として、事業ドメイン拡大の成長戦略を加速している。19年3月期大幅増収増益・増配予想である。株価は地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、調整一巡感して反発を期待したい。なお8月10日に第1四半期決算発表を予定している。
■デバッグ事業が主力、ゲームデバッグの国内シェア1位
18年7月1日付でハーツユナイテッドグループがデジタルハーツホールディングスに商号変更した。
ソフトウェアをテストして不具合を検出するデバッグ事業(コンシューマゲームリレーション=CS、デジタルソリューションリレーション=DS、アミューズメントリレーション=AM)を主力に、総合ゲーム情報サイト運営などのメディア事業、ゲーム開発・CG映像制作などのクリエイティブ事業、その他(システム開発など)も展開している。
エンターテインメント分野のゲームデバッグで国内シェア1位である。8000名を超える登録テスター、全国15拠点のネットワークを強みとして、100万件を超えるデバッグ検出実績を誇っている。
18年3月期売上構成比(連結調整前)はデバッグ事業82%、メディア事業4%、クリエイティブ事業10%、その他5%だった。なお19年3月期からセグメント区分を、エンターテインメント事業(従来のゲームデバッグ、クリエイティブ、メディア)と、エンタープライズ事業(従来のシステムテスト、その他のシステム開発・ITサポート)に変更する。
■事業ドメイン拡大の成長戦略を加速
アウトソースニーズの拡大という環境変化に対応し、事業ドメイン拡大の成長戦略を加速する方針だ。エンターテインメント分野では、ゲームを中心にデバッグサービスの収益機会を拡大するとともに、クリエイティブメディアやカスタマーサポートの分野にも事業を拡大する。またゲームデバッグでのIT技術、豊富な人材、ノウハウを活用して、システムテスト、ITサポート、セキュリティといったエンタープライズ分野の新市場開拓も加速している。
目標数値として3年を目標に遅くとも5年後に、売上高500億円(エンターテインメント向け事業250億円、エンタープライズ事業のシステムテスト事業100億円とITサポート・セキュリティ事業100億円、および海外事業50億円)と、EBITDA100億円の達成を目指している。M&Aやアライアンスも積極活用し、人によるテストと自動化・AIによる効率的なテストを組み合わせた総合的なソリューションを実現する方針だ。
18年2月スタジオベントスタッフ社からゲーム攻略本制作事業を譲受、オプト社とゲーム攻略サイト企画・運営に係る業務提携、18年4月GNTと業務提携およびベトナムにおけるテスト専門会社設立で合意、NTT東日本と協業してセキュリティソリューションサービス「DH Secure」の提供を開始した。
18年6月には米国セキュリティベンチャー2社(クラウドソーシングセキュリティサービスのSynack社、AIによる高拡張型異常検知システムのAella Data社)と提携し、エンタープライズ分野における事業拡大に向けてセキュリティ事業に本格参入すると発表した。なお18年5月に資本業務提携で基本合意(出資比率15%)したバルテスの株式取得は6月29日から8月31日に変更した。
■19年3月期大幅増収増益・増配予想
19年3月期の連結業績予想は、売上高が18年3月期比21.0%増の210億円、営業利益が26.7%増の22億円、経常利益が24.8%増の22億24百万円、純利益が27.7%増の15億33百万円としている。先行投資を継続しながら過去最高の売上高と営業利益を目指す。
セグメント別売上高の計画は、エンターテインメント事業が6.5%増の165億83百万円、エンタープライズ事業が2.3倍の44億16百万円としている。配当予想1円50銭増配の年間13円(第2四半期末6円50銭、期末6円50銭)で、予想配当性向は18.5%となる。
エンターテインメント事業では、GC(ゲームコンソール)やMS(モバイルゲーム)の売上増、および原価改善で下期に向けて粗利率改善を図る。また海外子会社の構造改革を継続実施する。エンタープライズ事業では、先行投資の成果として稼働率向上による増収増益の実現を目指す。成長を加速させるためのアライアンスも推進する。
なお上期は投資フェーズで、下期から収益に貢献する見込みとしている。通期ベースで好業績を期待したい。
■株主優待制度は毎年3月末に実施
株主優待制度は毎年3月31日現在の1単元(100株)以上所有株主に対して実施している。1単元以上~2単元未満所有株主に対しておこめギフト券3kg分、2単元以上所有株主に対しておこめギフト券6kg分を贈呈する。
■株価は調整一巡して反発期待
5月16日に第三者割当割当予定先はドイツ銀行ロンドン支店)による第4回~第6回新株予約権の発行、および新株予約権買取契約(ターゲット・イシュー・プログラム「TIP」)締結を発表した。新株予約権数は合計4万800個で、潜在株式数は合計408万株となる。
株価は4月の戻り高値圏1800円台から反落し、地合い悪化も影響して7月5日の1441円まで水準を切り下げた。
7月6日の終値1483円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS70円34銭で算出)は約21倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間13円で算出)は約0.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS154円61銭で算出)は約9.6倍である。時価総額は約354億円である。
週足チャートで見ると、大勢1400円~1900円近辺のボックスレンジ下限に接近した形だ。調整一巡してレンジ下限から反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)