【編集長の視点】加賀電子は年初来安値から3連騰、1Q決算発表を前に13期ぶり最高純益更新を期待し売られ過ぎ訂正

 加賀電子<8154>(東1)は、前日10日に23円高の2596円と3営業日続伸して引け、7月5日につけた年初来安値2454円からの底上げを加速させた。同社株は、今年8月7日に今2019年3月期第1四期(2018年4月~6月期、1Q)決算の発表を予定しており、前期決算を開示した今年5月9日に未定としていた今3月期の予想業績については、市場コンセンサス通りに13期ぶりに過去最高を更新するとの期待を強め、売られ過ぎ訂正買いが増勢となった。7月19日~20日に開催される「SoftBank World 2018」に出展することも、ハイテク株人気を高めている。

■期中に2回の上方修正、2回の増配をした前期の業績推移再現の期待も

 同社の今3月期業績は、事業環境の変化が激しく不確定要素が大きく予想業績を算定することは困難として記載せず、その代わりに今期を最終年度とする中期経営計画の目標数値を掲げ、売り上げ2900億円(前期比22.9%増)、経常利益100億円(同14.4%増)の達成に取り組む方針を明らかにした。この予想業績非開示に加え、中期経営計画の経常利益が、市場コンセンサスをやや下回ることも響いて、2592円安値まで下落し、子会社の新工場建設などでいったん3000円台へリバウンドしたものの、米国の中国向けの追加制裁関税発動による全般相場急落が波及して年初来安値2454円へ再調整した。

 この株価の大幅調整は、逆からみれば同社の業績に対して市場の期待が高い裏返しでもある。これは、同社が、前期業績を期中に2回も上方修正し、配当も2回増配し、さらに成長戦略として新事業分野開拓のため積極的なM&Aを相次いで推進してきたためだ。現に市場コンセサスでは、今2019年3月期業績を売り上げ2450億円(前期比3.8%増)、営業利益105億円(同29.3%増)、経常利益110億円(同25.8%増)、純利益80億円(同23.2%増)と観測し、また東洋経済会社四季報最新号は、純利益を73億円としており、いずれも2006年3月期の過去最高(72億7200万円)を13期ぶりに更新するとしている。8月7日の1Q決算発表時の業績ガイダンスが注目を集めよう。

 なお「SoftBank World 2018」では、GENETUS製QUECTELモジュール搭載のIoTボードや各種センサー類などを出展し、最先端分野への取り組みや高開発実績を内外に大々的にアピールする。

■絶対高値期日の6カ月を経過し低PER・PBR修正で全値戻しが加速

 株価は、年初来高値3160円から日柄で絶対高値期日の6カ月を通過し、値幅的にも年初来安値まで22%の下落率と日柄・値幅調整の一巡感を強め、枯れ切った状況にある。投資採算的にも、前期実績ベースでもPERは10倍そこそこ、PBRはちょうど1倍、配当利回りは2.69%と投資魅力は満載であり、年初来高値から同安値までの調整幅の3分の1戻し目前のここからは、まず半値戻しの2800円台をクリアし全値戻しに拍車をかけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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