パシフィックネットの18年5月期の売上高は減少したものの、大幅増益でV字回復を達成

■持続的成長が可能なストック中心の収益・事業構造へ転換が奏功

 パシフィックネット<3021>(東2)は13日引け後、18年5月期連結業績を発表した。売上高は減少したものの、大幅増益でV字回復を達成した。

 同社は、収益の変動が大きなフロー中心から、持続的成長が可能なストック中心の収益・事業構造へ転換を進めている。具体的には、IT機器のライフサイクルの終わりの部分、すなわち使用済みパソコンの引取回収・販売に依拠していた収益構造を見直し、中長期レンタルやITサービスにより、 新規導入、運用管理、排出までのライフサイクル全般をワンストップで支援するLCM(ライフサイク・マネジメント)サービスを中心とする 事業構造への転換を進めている。

 そのような取り組みが奏功したことにより、18年5月期連結業績は、売上高44億31百万円(前年同期比4.6%減)と減収となったものの、営業利益2億38百万円(前年同期16百万円)、経常利益2億38百万円(同29百万円)、純利益1億58百万円(同△06百万円)と大幅増益となり、黒字転換となった。

■使用済みIT機器の入荷台数は減少したものの、収益性は大幅に向上

 LCM事業では、中長期レンタルはもとより、 各企業におけるIT機器導入時や運用時の作業に関するキッティングや保守・運用等の役務系ITサービス拡大に向けての積極的な営業を実施した。また、使用済みIT機器の引取回収・データ消去については、生産性の向上効果等により、使用済みIT機器の入荷台数は減少したものの、収益性は大幅に向上した。その結果、売上高16億88百万円(前年同期比6.9%増)、営業利益2億91百万円(同5.6%増)となった。

 リユース事業は、使用済みパソコンの入荷台数の減少、店舗の閉鎖等により売上高は減少したが、収益性の追求、生産性向上、コスト削減、在庫の圧縮による回転率の向上などにより、収益性は大幅に向上した。その結果、売上高26億25百万円(同14.3%減)、営業利益2億69百万円(同178.2%増)と減収ながら3ケタ増益。

■ケンネットは2018年2月末から連結開始で、売上高1億円、営業利益15百万円

 コミュニケーション・デバイス事業は、2017年12月に買収・完全子会社化し2018年2月末から連結開始となったケンネットが該当する。ケンネットは、観光業界を中心にイヤホンガイドの製造販売・保守サービスを展開しており、観光需要の高まりを受けて前年比で売上・利益とも拡大した。これに加え、ケンネット社買収に伴うM&Aアドバイザリ費用、デューデリジェンス費用、のれん償却費を計上したが、それを上回る業績を計上した結果、売上高1億円、営業利益15百万円となった。

 その他事業は、2017年6月に完全子会社として設立したM&Aアドバイザリ事業を行う株式会社エムエーピーが該当する。エムエーピーは、計4件の案件が成約した。その結果、売上高28百万円、営業利益04百万円となった。

 以上のように事業転換が順調に進むと共に、新規事業も好調な立ち上がりとなったことから、大幅増益とV字回復を達成することになった。

■19年5月期連結業績予想は5年ぶりの過去最高純利益達成となる見込み

 今19年5月期についても外部環境ではWindows10の入れ替え需要による市況の本格的回復、企業の働き方改革に関連したIT投資による市場拡大、内部環境では店舗事業撤退等によるコスト減少、LCM事業のさらなる拡大、連結子会社による収益貢献等を見込んでいる。

 その結果、19年5月期連結業績予想は、売上高45億円(前期比1.5%増)、営業利益3億10百万円(同30.3%増)、経常利益3億円(同26.0%増)、純利益2億円(同26.5%増)とこれまでの最高純利益であった14年5月期の1億83百万円を更新し、5年ぶりの過去最高純利益達成となる見込み。

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