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ヤマシタヘルスケアホールディングスは19年5月期減益予想だが保守的
- 2018/7/17 06:47
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ヤマシタヘルスケアホールディングス<9265>(東1)は、九州を地盤とする医療機器専門商社の純粋持株会社である。18年5月期は計画超の大幅増益・増配だった。19年5月期は減益予想だがやや保守的だろう。収益拡大を期待したい。株価は18年5月期業績・配当の上方修正を機に乱高下の展開となったが、戻りを試す展開を期待したい。
■九州を地盤とする医療機器専門商社、17年12月純粋持株会社へ移行
山下医科機械が17年12月1日付で純粋持株会社ヤマシタヘルスケアホールディングスを新設して新規上場した。
子会社の山下医科器械は九州を地盤とする医療機器専門商社で、医療機器の販売・メンテナンスおよび医療材料・消耗品の販売を展開している。なお山下医科器械の子会社だったイーピーメディック(整形インプラントの製造販売)およびトムス(医療機器販売、17年6月子会社化)を、18年6月1日付で持株会社の100%子会社とした。
17年9月には光通信<9435>と資本業務提携した。光通信の九州地区における医科向け「EPARK」事業を共同展開するため、第三者割当による自己株式処分で山下医科機械の4万7533株を光通信に割り当てるとともに、光通信の「EPARK」事業を展開するイーディライトの第三者割当増資を引き受けた。
収益面では医療機関の設備投資関連で、第2四半期(9月~11月)および第4四半期(3月~5月)の構成比が高い特性がある。利益還元については安定的な配当の継続を基本方針とし、配当水準として連結配当性向30%を基準としている。
■中期経営計画で21年5月期経常利益6億円目標
18年7月策定の新中期経営計画では、基本方針を「継続的な収益構造の確立に向けた事業会社の構造改革、および企業買収等によるヘルスケア領域でのグループ力向上を図る」として、目標値には21年5月期売上高605億円、営業利益5億30百万円、経常利益6億円を掲げた。
■18年5月期は計画超の大幅増益・増配、19年5月期も収益拡大期待
18年5月期の連結業績(7月3日に上方修正)は、山下医科機械の17年5月期実績(連結)との比較で、売上高が11.8%増の586億92百万円、営業利益が2.0倍の3億73百万円、経常利益が74.0%増の4億49百万円、純利益が2億20百万円(17年5月期は19百万円)だった。
大型設備案件の減少で一般機器分野における医療機器備品の売上が想定を下回ったが、SPD契約施設における医療機器消耗品の売上が堅調に推移し、低侵襲治療分野における内視鏡備品やサージカル遺品の売上が想定を上回った。新規連結したトムスにおける透析分野機器の売上が想定を上回ったこと、医療機器製造・販売事業においてイーピーメディックが開発した整形外科用インプラント製品の販売が想定以上に伸長したことも寄与して、計画超の大幅増収増益だった。
医療機器販売業の売上高内訳は、一般機器分野が5.2%減の86億33百万円、一般消耗品分野が4.3%増の213億24百万円、低侵襲治療分野が14.4%増の161億46百万円、専門分野(トムス含む)が55.8%増の104億84百万円、情報・サービス分野が1.0%増の17億51百万円だった。
19年5月期連結業績予想は、売上高が18年5月期比1.5%増の595億48百万円、営業利益が17.7%減の3億07百万円、経常利益が18.9%減の3億64百万円、純利益が9.1%減の2億円としている。診療報酬改定に伴う医療材料の販売価格引き下げ要求の高まりなどを考慮して減益予想としているようだが、やや保守的だろう。収益拡大を期待したい。
なお18年5月期の配当は7月3日と7月11日に上方修正して、17年5月期比16円増配の年間26円(期末一括)とした。配当性向は29.9%となる。19年5月期の配当予想は18年5月期比2円減配の年間24円(期末一括)としている。予想配当性向は30.0%となる。
■18年5月末から株主優待制度を導入
株主優待制度導入は、毎年5月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象に、保有株式数および継続保有期間に応じて、オリジナルクオカードを贈呈する。18年5月31日現在の株主を対象に、保有期間を1年未満として開始した
■株価は戻りを試す展開期待
株価は18年5月期業績・配当の上方修正を機に乱高下の展開となった。7月4日には1756円まで急伸して17年12月高値1775円に接近する場面があった。
7月13日の終値1545円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS78円51銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2457円18銭で算出)は約0.6倍である。時価総額は約39億円である。
週足チャートで見ると上下に長いヒゲを付けたが、26週移動平均線を突破して先高観を強めている。戻りを試す展開を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)