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ハウスドゥは調整一巡、18年6月期大幅増収増益・増配予想で19年6月期も収益拡大基調
- 2018/7/18 08:22
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ハウスドゥ<3457>(東1)は、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す不動産テック企業である。積極的な事業展開で18年6月期大幅増収増益・増配予想である。19年6月期も収益拡大基調だろう。株価は調整一巡して上値を試す展開を期待したい。なお8月13日に18年6月期決算発表を予定している。
■住まいのワンストップサービスを展開する不動産テック企業
市場ニーズに対応した「住まいのワンストップサービス」を展開し、FinTechを活用した不動産流通ソリューションで業界変革を目指す不動産テック企業(不動産×IT)である。
不動産流通事業で創業し、リフォーム事業、不動産売買事業、不動産売買仲介「HOUSEDO」FC加盟店に各種サービスを提供するフランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産担保ローン事業、金融機関と提携したリバースモーゲージ保証事業へと展開し、業容を拡大している。
17年11月ハウス・リースバック契約の高齢単身者を対象とした定期訪問サービス「みまもりDo!」開始、住宅ローン借入審査シミュレーションアプリ配信開始、17年12月日本M&Aセンター<2127>と企業提携仲介契約締結、欧米の不動産流通先進国をモデルとした不動産営業の登録型エージェント制度開始、18年2月空室・空き家の問題を解決するタイムシェアリング事業「タイムルームクラウド」開始、千葉県船橋市エリアで不動産賃貸・仲介・コンサルティングを営む京葉ビルドを子会社化した。
18年3月には、ハウス・リースバックで取得した個人住宅など収益不動産物件を対象に不動産特定共同事業法スキームによる匿名組合方式の不動産ファンド「HLBファンド1号」を組成、賃貸不動産仲介事業の新ブランド「RENT Do!(レントドゥ!)」1号店の渋谷恵比寿店をオープンした。18年4月にはパーク24<4666>の子会社であるタイムズ24社と業務提携した。
■ストック収益型事業へシフト
市場ニーズに対応した「住まいのワンストップサービス」を提供しながら、収益構造も、人員の増員が必要な労働集約型事業(不動産流通事業、リフォーム事業、不動産売買事業)から、ロイヤリティー収入、賃貸収入、金利収入などが積み上がるストック収益型事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、および不動産担保ローン事業やリバースモーゲージ保証事業などの不動産金融事業)に重点シフトしている。
17年6月期の収益構造は、売上高構成比では労働集約型70.7%、ストック収益型31.1%だが、営業利益(連結調整前)構成比は労働集約型37.4%、ストック収益型63.3%だった。ストック収益型事業が収益柱に成長している。
18年3月末時点の全国「ハウスドゥ」FC加盟契約数は512店舗だった。FC加盟店舗数の中期的な目標は国内1000店舗、アジア5万店舗としている。18年3月末時点のハウス・リースバック保有物件数は595件、保有総額は86億61百万円だった。首都圏・中部・近畿の3大都市圏で約9割を占めている。18年6月期末の計画は累計保有物件数863件、保有総額116億52百万円としている。不動産金融事業の担保融資とリバースモーゲージ保証の合計件数は183件、担保融資残高は45億円だった。
■18年6月期大幅増収増益・増配予想
18年6月期の連結業績予想(5月2日に増額修正)は、売上高が17年6月期比25.6%増の211億59百万円、営業利益が67.6%増の20億93百万円、経常利益が72.3%増の19億円、純利益が69.6%増の12億51百万円としている。ストック収益型事業が伸長して大幅増収増益予想である。配当予想(5月2日に期末12円増額修正)は17年6月期との比較で19円増配の年間39円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は30.6%となる。
第3四半期累計は売上高が前年同期比15.9%増149億10百万円、営業利益が42.6%増の13億29百万円、経常利益が47.1%増の11億92百万円、純利益が43.9%増の7億42百万円だった。
フランチャイズ事業における加盟店舗数の増加、ハウス・リースバック事業における不動産ファンドへの売却によるキャピタルゲインなど、ストック収益型事業への重点シフトが奏功して大幅増収増益だった。売上総利益率は40.7%で3.1ポイント上昇、販管費比率は31.8%で1.4ポイント上昇した。
フランチャイズ事業は14.6%増収で18.5%増益、ハウス・リースバック事業は31.7%増収で54.8%増益、不動産金融事業は2.5倍増収で2.0倍増益だった。ハウス・リースバック事業の新規取得保有物件数は209件、累計保有物件数は595件、売却物件数は40件だった。また不動産売買事業は12.7%増収で2.0倍増益、不動産流通事業は8.6%増収で13.9%増益、リフォーム事業は2.6%増収で57.7%増益と、いずれも好調に推移した。
通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が70.5%、営業利益が63.5%、経常利益が62.7%、純利益が59.3%である。ストック収益型事業の伸長が加速して通期ベースでも好業績が期待される。
■中期経営計画の19年6月期目標値も大幅増額修正
中期経営計画における19年6月期の目標値も大幅に増額修正し、売上高266億11百万円、営業利益32億46百万円、経常利益30億円、純利益19億80百万円、EPS232円89銭とした。配当性向の目標は30%以上としている。
ストック収益型事業(フランチャイズ事業、ハウス・リースバック事業、不動産金融事業)への重点シフトが加速し、ハウス・リースバック事業においては不動産特定共同事業法スキームによる不動産ファンドへの売却、不動産金融事業においてはリバースモーゲージ保証事業も伸長する見込みだ。
■株主優待制度は毎年6月末に実施、18年7月1日付で株式2分割
株主優待制度は毎年6月30日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容は株主優待ポイント表に基づいて進呈されるポイントを、株主限定特設インターネット・サイト「ハウスドゥプレミアム優待倶楽部」において、食品や電化製品などと交換できる。
なお18年7月1日付で1株を2株に分割した。これに伴って18年7月1日以降の株主優待制度の基準(保有株式数と付与ポイント)が変更される。
■株価は調整一巡感
6月4日に公募増資を発表した。資金調達によって、A種優先株式の取得(強制償還)および消却、自己資本比率の向上、ストック型収益事業への資金投下による企業価値向上を目指す。なお6月25日にA種優先株式300株(30億円)の取得と消却が完了した。
株価(18年7月1日付で株式2分割)は5月の上場来高値3175円から反落したが、直近安値圏2200円近辺で下げ渋り、調整一巡感を強めている。
7月17日の終値2403円を指標面(1株当たり数値は18年7月1日付株式2分割換算後)で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS63円67銭で算出)は約38倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間19円50銭で算出)は約0.8%、前々期実績連結PBR(前々期実績の連結BPS163円35銭で算出)は約15倍である。時価総額は約466億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。調整一巡して上値を試す展開を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)