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PALTEKは調整一巡して反発期待、18年12月期減益予想だが上振れ余地
- 2018/7/18 08:17
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
PALTEK<7587>(東2)は半導体輸入商社で、高収益のソリューション事業の拡大を加速している。18年12月期はFPGAの一部取引形態変更の影響などで減益予想だが、需要が高水準であり、円安も寄与して上振れ余地があるだろう。株価は世界初の「8K360度VRリアルタイム映像処理装置」開発を材料視して動意づく場面があったが、買いが続かず急反落して年初来安値を更新する展開だ。調整一巡して反発を期待したい。
■半導体事業を主力にソリューション事業なども展開
ザイリンクス社のFPGA(PLDの一種で設計者が手元で変更を行いながら論理回路をプログラミングできるLSI)を主力に特定用途IC、汎用IC、アナログ、メモリなどを扱う半導体事業、試作ボードや量産ボードなどを受託設計・開発・製造(ODM)するデザインサービス事業、および新規事業としてのソリューション事業(ビデオソリューション、IoTソリューション、物流ソリューション、エネルギーソリューションなど)を展開している。海外は香港に拠点展開している。
主要仕入先は、FPGAがザイリンクス社、汎用ICがNXPセミコンダクターズ社、マイクロチップテクノロジー社、アナログがリニアテクノロジー社、メモリがマイクロンテクノロジー社である。用途別には産業機器向けを主力としてFA機器、通信機器、放送機器、医療機器、車載機器向けなどに展開し、センサ分野ソリューションも強化している。主要販売先はNEC<6701>、京セラ<6971>、オリンパス<7733>などである。
■FPGAビジネスの取引形態変更で高収益性ビジネスの拡大を加速
18年1月からFPGAビジネスの取引形態を変更した。一部の主要大手顧客への販売活動のうち、販売・物流オペレーション業務のみを当社が担当し、それ以外のFPGA活用ニーズの調査・案件発掘・案件獲得・技術サポートに関する業務はザイリンクス社が担当する。この変更によって売上総利益率が低下するが、売上高に影響は無い。主要大手顧客以外の顧客については、従来どおり当社が全ての販売業務を担当する。
また今回の一部取引形態変更を機に、主要大手顧客向けFPGAビジネスに携わっていた営業・技術サポート等の経営資源を、戦略的にソリューション事業、デザインサービス事業、FPGAベースのソリューション事業、成長市場向けの半導体ビジネスにシフトする。高収益ビジネスの拡大を加速させる方針だ。そして中期計画の目標値20年12月期売上高400億円以上、営業利益率5%以上の達成を目指すとしている。
デザインサービス事業では、画像圧縮技術やFPGA設計ノウハウなどをベースとして、医療機器や産業機器の分野の売上が拡大している。
ソリューション事業では、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)、乳幼児向け呼吸見守りシステム、紙梱包資材システムなど、新規分野の拡販を推進する方針だ。
なお18年4月には、無線に特化した組み込み用途アナログ・デジタル基板およびワイヤレスモジュール開発のウィビコムを子会社化した。受託開発ビジネスを強化する。
18年6月には、NTTドコモ<9437>およびベクトリジーと共同で、世界初の「8K360度VRリアルタイム映像処理装置」を開発した。FPGAコンピューティングを活用することで8Kリアルタイム処理が可能になった。
■仕入値引きドル建て債権評価額が為替によって変動する収益特性
一部の主要仕入先に対して保有する仕入値引きドル建て債権評価額が為替によって変動し、売上総利益の増減に影響を与える収益特性がある。ドル高・円安は売上総利益押し上げ要因、ドル安・円高は売上総利益押し下げ要因となる。為替影響は15年12月期が4億31百万円の売上総利益増加要因、16年12月期が5億30百万円の売上総利益減少要因、17年12月期が22百万円の売上総利益増加要因だった。
■18年12月期減益予想だが上振れ余地
18年12月期連結業績予想(5月8日に売上高と営業利益を増額修正)は、売上高が17年12月期比5.1%減の314億円、営業利益が46.0%減の5億60百万円、経常利益が63.1%減の4億円、純利益が61.6%減の2億70百万円としている。配当予想は3円減配の年間10円(期末一括)としている。予想配当性向は40.6%となる。
第1四半期は、売上高が前年同期比13.0%増の87億41百万円、営業利益が41.9%減の2億09百万円、経常利益が69.4%減の1億34百万円、純利益が73.3%減の79百万円だった。半導体事業がFPGA、汎用IC、メモリの好調で13.8%増収と牽引し、全体も2桁増収だが、為替の円高影響やFPGAの一部取引形態変更の影響で大幅減益だった。
売上総利益率は11.2%で3.7ポイント低下した。仕入値引きドル建て債権評価額が売上総利益1億48百万円減少要因(前年同期は1億02百万円増加要因)だった。為替影響を除く実力ベースの売上総利益率は12.9%で0.7ポイント低下した。FPGAの一部取引形態変更などが影響した。販管費比率は8.8%で1.4ポイント低下した。営業外では為替差益1億円(前年同期は為替差損29百万円)を計上した。
通期ベースでも、FPGAの一部取引形態変更による影響(売上総利益5億円程度減少を想定)などで減益予想である。ただし半導体事業においてFPGAおよびメモリ製品の売上が好調に推移している。円安も寄与して上振れ余地があるだろう。
■株主優待制度は12月末に実施
株主優待制度は毎年12月31日現在100株以上保有株主を対象として、保有株式数と継続保有期間に応じてクオカードを贈呈(詳細は会社HPを参照)する。
■株価は調整一巡して反発期待
株価は世界初の「8K360度VRリアルタイム映像処理装置」開発を材料視して動意づく場面があったが、買いが続かず急反落して年初来安値を更新する展開だ。7月9日には547円まで下押した。その後は下げ渋りの動きを強めている。
7月17日の終値575円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS24円65銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS867円35銭で算出)は約0.7倍である。時価総額は約68億円である。調整一巡して反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)