【アナリスト水田雅展の銘柄分析】クリナップは15年3月期減収減益の織り込み完了して戻り歩調

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 システムキッチン大手のクリナップ<7955>(東1)の株価は戻り歩調の展開だ。15年3月期減収減益見通しの織り込みを完了して、16年3月期の収益改善を期待する動きだろう。低PBRも評価材料であり、高値圏回帰の動きが本格化しそうだ。

 厨房部門(システムキッチン)を主力として、浴槽・洗面部門(システムバスルーム・洗面化粧台)も展開している。

 中期経営計画では「ザ・キッチンカンパニー」の確立を掲げ、システムキッチン「S.S.」「クリンレディ」「ラクエラ」「コルティ」を軸とした商品ラインナップの充実、ブランド力の強化、中高級システムキッチンの市場シェア上昇、全国のショールーム(101拠点)への集客強化、総合競争力の強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携強化、リフォーム需要の取り込み、トータルコストの低減、そして海外事業の戦略的推進などを重点施策としている。

 なお全国101ヶ所のショールームへの集客を強化するため、体験型ショールームへの転換を進めている。3月13日には新潟ショールームを移転オープンした。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(11月7日に減額修正)は売上高が前期比6.8%減の1200億円、営業利益が同59.4%減の36億円、経常利益が同62.2%減の32億円、純利益が同73.8%減の13億円、配当予想(5月8日公表)が記念配当5円を落として年間20円(第2四半期末10円、期末10円)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比5.7%減収、同50.0%営業減益、同50.8%経常減益、同67.4%最終減益だった。消費増税に伴う新設住宅着工戸数減少など事業環境が厳しく減収減益で、純利益は厚生年金基金解散損失引当金繰入額の計上も影響した。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)319億24百万円、第2四半期(7月~9月)284億53百万円、第3四半期(10月~12月)288億39百万円、営業利益は第1四半期19億68百万円、第2四半期5億49百万円、第3四半期11億13百万円である。第2四半期がボトムとなった可能性がありそうだ。

 通期ベースでも新設住宅着工戸数の減少など事業環境が厳しく、輸入原材料の価格上昇なども影響して減収減益見通しだが、通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.4%、営業利益が100.8%、経常利益が107.2%、純利益が108.0%で、利益は通期見通しを超過達成している。通期業績に増額の可能性がありそうだ。また消費増税の影響一巡などで来期(16年3月期)の収益改善が期待される。

 食住イベントやリフォームフェアの開催によるブランド力向上、ショールーム全面リニューアルによる集客力強化、会員登録制組織「水まわり工房」加盟店との連携などの販売強化施策が奏功して、システムキッチンの市場シェアは上昇基調である。原価低減の効果なども寄与して中期的には収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、1月の直近安値圏820円~830円から切り返して戻り歩調の展開だ。足元では940円台まで戻している。15年3月期の減収減益見通しの織り込みを完了して、16年3月期の収益改善を期待する動きだろう。

 3月20日の終値946円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS30円64銭で算出)は30~31倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1301円25銭で算出)は0.7倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると26週移動平均線を突破し、13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いた。強基調へ転換したようだ。0.7倍近辺の低PBRも評価材料であり、高値圏回帰の動きが本格化しそうだ。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る