【アナリスト水田雅展の銘柄分析】P&Pホールディングスはモミ合い上放れて出直り

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 販売支援や物流業務請負などを展開するP&Pホールディングス<6068>(JQS)の株価は、320円近辺でのモミ合いから上放れて出直りの動きが本格化している。20日は345円まで上伸した。15年3月期業績下振れ懸念の織り込みが完了し、3月期末一括で3%台の高配当利回りも注目点だ。14年7月の350円は射程圏であり、16年3月期の収益改善期待で14年1月の387円を目指す展開だろう。

 12年10月に持株会社へ移行して、モバイル関連の販売支援を中心とするSPO(セールス・プロセス・アウトソーシング・サービス)事業、倉庫・物流拠点作業やコンビニエンスストア棚卸サービスなどのBYS(バックヤードサポート・サービス)事業、コールセンターを中心とする人材派遣・紹介のHR(ヒューマンリソース・サービス)事業、その他事業(WebSPOサービス「もにったー」など)を展開している。

 13年4月にSPO事業強化に向けて流通向け建築・内装施工の子会社P&Pデザイン(PPD)を設立、13年6月に小売・流通向けセールス・プロモーションや伊藤ハム<2284>向け人材派遣の藤栄テクノサービス(現ジャパンプロスタッフ)(JPS)を子会社化、13年10月に経理アウトソーシング事業のリラインを子会社化した。

 中期成長に向けてSPO事業では、特定建設業許可を取得した子会社PPDの販売用什器作成や店頭売場作りを拡大し、店頭販売に関する支援をトータルプロデュースすることで高収益化を推進している。BYS事業はネット通販市場の拡大や大手コンビニエンスストアの新規出店などが追い風だ。またHRサービスでは利益貢献が見込めない事業に関して見直しを進めている。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月9日公表)は売上高が280億円~300億円(前期比7.1%増~14.7%増)、営業利益が6億円~7億50百万円(同8.8%増~36.0%増)のレンジ予想で、経常利益と純利益の見通しは非開示としている。配当予想(5月13日に増額修正)は前期比1円増配の年間11円(期末一括)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比0.7%減収、同2.6%営業減益、同10.1%経常増益、同47.3%最終減益だった。大手コンビニエンスストア向け棚卸サービスなどBYSサービスが好調に推移したが、SPOサービスやHRサービスがやや低調だった。経常利益は保険解約返戻金が寄与して増益、純利益は事業整理損などを計上して減益だった。

 四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)65億13百万円、第2四半期(7月~9月)61億76百万円、第3四半期(10月~12月)64億73百万円、営業利益は第1四半期45百万円、第2四半期81百万円、第3四半期2億26百万円である。営業損益は第3四半期に大幅改善した。

 通期見通し下限値に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が68.4%、営業利益が58.7%とやや低水準で、連結月次業績(売上高)は15年2月が前年同期比9.7%減収、14年4月~15年2月累計が同1.8%減収とやや低調だ。このため15年3月期業績は下振れに注意が必要だが、営業損益は第3四半期に大幅改善しており、第4四半期(1月~3月)も収益改善が期待される。

 来期(16年3月期)については、BYS事業はネット通販市場の拡大に伴って物流拠点作業、大手コンビニエンスストアの出店拡大に伴って棚卸サービスが好調に推移するだろう。SPOサービスにおけるキャンペーン獲得営業の強化、グループシナジーを最大限に発揮したワンストップ販売促進支援サービスへの転換も寄与する。さらにコスト面では新基幹システム導入や子会社リラインを活用した業務効率化も寄与して収益改善が期待される。

 なお重点施策の一つとして、将来の東証1部市場への上場を見据えて東証2部市場への上場申請の検討を開始し、内部統制の確立、コンプライアンスの強化、届出書類の整備・精査を推進する方針としている。

 株価の動きを見ると、320円近辺でのモミ合いから上放れて出直りの動きが本格化している。3月20日には345円まで上伸した。15年3月期業績下振れ懸念の織り込みが完了して、16年3月期の収益改善を期待する動きだろう。

 3月20日の終値345円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPSは未公表のため営業利益予想のレンジ上限値を基に推定した連結EPS34円80銭で算出)は10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間11円で算出)は3.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS323円57銭で算出)は1.1倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインとなった。また週足チャートで見ると上向きに転じた13週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。強基調に転換した形だろう。3月期末一括で3%台の高配当利回りも注目点だ。14年7月の350円は射程圏であり、16年3月期の収益改善期待で14年1月の387円を目指す展開だろう。

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