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パシフィックネットは調整一巡期待、19年5月期大幅増益予想
- 2018/7/20 06:41
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
パシフィックネット<3021>(東2)は、法人向けにIT機器の調達・導入、ネットワーク構築、運用・保守、データ消去、引取回収をワンストップで提供するLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスを強化し、フロー型からストック型への収益構造転換を推進している。18年5月期は大幅増益だった。そして19年5月期も大幅増益予想である。株価は動意づく場面があったが、決算発表を機に急反落して安値圏に回帰した。調整一巡を期待したい。
■IT機器のLCMサービスを強化
法人向けにPC・タブレット・モバイル等のIT機器の調達・導入、キッティング(事前設定)、ネットワーク構築、運用・保守、使用済みIT機器の引取・回収、データ消去・消去証明書発行、リユース・リサイクルを行うLCM(ライフサイクルマネジメント)サービスを強化している。
店舗部門を縮小し、法人向けLCMサービスの強化によって、使用済みIT機器の引取・回収、データ消去、再生、リユース販売中心の「フロー型」から、新品IT機器の長期レンタル型の調達・導入、キッティング、運用・保守を中心とした「ストック型」への収益構造転換を推進している。
15年10月2B(トゥー ビー)を設立してBtoB専門総合通信サービス事業に進出、17年6月M&Aアドバイザリ・仲介サービス事業を行う子会社エムエーピー(MAP)を設立、17年12月音声ガイド用無線レシーバー「イヤホンガイド」レンタル・販売のケンネットを子会社化、18年7月子会社エムエーピーが有料職業紹介事業(人材紹介事業)を開始した。
なお18年9月1日付で子会社の2Bを吸収合併し、ストック中心の収益構造への変革をスピードアップさせる。
■18年5月期大幅増益、19年5月期も大幅増益予想
18年5月期の連結業績は、売上高が17年5月期比4.6%減の44億31百万円、営業利益が2億38百万円(17年5月期は16百万円)、経常利益が2億38百万円(同29百万円)、純利益が1億58百万円(同6百万円の赤字)だった。配当は1円増配の年間20円(期末一括)とした。配当性向は65.2%である。
支店・店舗統廃合の影響で全体として減収だが、LCMサービスの受注拡大、案件受注の選別による収益管理の強化、新・東京テクニカルセンターによる付加価値・生産性の向上、支店・店舗統廃合によるコスト削減などで大幅増益だった。
LCM事業は売上高が6.9%増の16億88百万円で営業利益が5.6%増の2億91百万円だった。積極的な営業展開、収益性向上のためのレンタル用資産の入れ替え、広告宣伝の強化、技術系人材の拡充などの施策を推進して増収増益だった。
リユース事業は売上高が14.3%減の26億25百万円で営業利益が2.8倍の2億69百万円だった。LCM事業による収益重視戦略に転換しているため、使用済みパソコン入荷台数減少や店舗閉鎖で減収だが、新・東京テクニカルセンター設置による生産性向上、支店・店舗統廃合によるコスト削減などで大幅増益だった。
コミュニケーション・デバイス事業(18年2月から連結開始したケンネットのイヤホンガイド製造・販売・保守サービス)は、売上高が1億円で営業利益が15百万円だった。観光需要が好調だった。その他事業(17年6月設立したエムエーピー)は4件成約し、売上高が28百万円で営業利益が4百万円だった。
19年5月期連結業績予想は、売上高が18年5月期比1.5%増の45億円、営業利益が30.3%増の3億10百万円、経常利益が26.0%増の3億円、純利益が26.5%増の2億円としている。配当予想は1円増配の年間21円(期末一括)としている。予想配当性向は54.3%である。
売上面では店舗撤退の影響で全体として小幅増収にとどまるが、利益面ではLCM事業の拡大と連結子会社の増収の効果、さらに構造改革や戦略的投資の効果で大幅増益予想としている。好業績を期待したい。
■新中期経営計画で21年5月期経常利益5億円目標
18年7月策定の新中期経営計画「SHIFT2021」では、基本方針をストック中心へのさらなる収益構造改革、LCMサービス事業の飛躍的拡大、M&Aによる成長のスピードアップ、東証1部へのステップアップとして、目標値には21年5月期売上高55億円、経常利益5億円、純利益3億30百万円、ROE12%以上を掲げた。
■株価は調整一巡期待
株価は動意づいて7月13日に968円まで急伸したが、決算発表を機に急反落して安値圏700円台に回帰した。調整一巡を期待したい。
7月19日の終値は772円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS38円65銭で算出)は約20倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間21円で算出)は約2.7%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS364円94銭で算出)は約2.1倍、時価総額は約40億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)