【編集長の視点】クレスコは1Q決算発表を先取り連続最高業績を見直して売られ過ぎ訂正買いが再燃し反発

 クレスコ<4674>(東1)は、前日24日に10円高の3165円と3営業日ぶりに反発して引け、7月2日につけた年初来安値3090円からの底上げを続けた。同社は、8月7日に今2019年3月期第1四半期(2018年4月~6月期、1Q)決算の発表を予定しており、これを先取りして今期通期業績が連続して過去最高を更新すると予想されていることを見直し売られ過ぎ訂正買いが再燃した。業務自動化を実現し「働き方改革」の有力なツールとなるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)プラットフォーム「UiPath」を展開している米国のUiPath社と今年7月4日にパートナー契約を締結したことや、7月24日開催の電子情報電子学会で画像診断の機械学習の共同研究成果を発表したことなども、業績期待を高めている。

■組込み型ソフトではカーエレクトロニクス、情報家電向けが好調推移

 同社の今2019年3月期業績は、売り上げ355億円(前期比6.5%増)、営業利益32億8000万円(同6.1%増)、経常利益35億8000万円(同2.5%増)、純利益24億1600万円(同9.7%増)と予想され、前期の過去最高業績を連続更新する。「デジタル変革をリードする」を企業ビジョンとするIT(情報技術)システム会社として、アプリケーション開発技術とITインフラ構築技術、組込み技術のコア技術にAI(人工知能)、ロボティクス、IoT(モノのインタネット化)などの先端技術を加えて事業領域を拡大しており、ソフトウェア開発事業では、人材、旅行、物流分野向けが続伸し、組込み型ソフトウェア開発事業ではカーエレクトロニクス、情報家電分野向けの受注が、好調に推移していることなどが要因となる。
 8月7日発表の今期1Q業績は、前期の1Q業績が2ケタ増益の好調な立ち上がりとなり、その後の第2四半期業績が、期初予想を上ぶれて着地し、株価がストップ高したベースとなっており、再現期待を高めて注目を集めている。

 なお、UiPath社とのパートナー契約は、人手不足の深刻化や働き方改革関連法の成立で、産業界が、業務の自動化や生産性の向上を迫られている事業環境下、国内で350社以上の導入実績のあるUiPath社のRPAプラットフォーム「UiPath」を認定リセラーとして今年7月から提供しているもので、新事業領域拡大を加速させるとともに、業績押し上げ要因としても期待を高めている。また電子情報通信学会の学会報告は、北里大学、宮田眼科病院との共同研究の成果を発表するもので、進行度の予測が難しい眼底疾患の円錐角膜の形状解析画像を機械学習による分類を試みることで、疾患の進行度を適切に判断し治療や進行の予防など早期の診断に役立てる。クレスコのAIによる画像解析技術とノウハウとが適用される。

■逆三尊形成の強力な底値シグナルを発信し低PER修正でまず3分の1戻しを目指す

 株価は、国内大手証券の投資判断・目標株価引き下げが響いて3145円へ下押し、前期配当の増配とともに下げ過ぎとして3840円までリバウンドして同調整幅をほぼ回復したが、その後の米中貿易摩擦激化に伴う世界同時株安に巻き込まれて再調整、年初来安値3090円へ突っ込んだ。この安値からは売られ過ぎとして再びリバウンドして年初来安値を頭(ヘッド)、6月26日安値、7月12日安値をそれぞれ肩(ショルダー)とするトリプル・ボトム(逆三尊)を形成し、強力な底値シグナルを発信している。株式需給的にも、年初来高値4875円から6カ月が経過して絶対高値期日が一巡し、投資採算的にもPERは14倍台、配当利回りも2.02%と評価不足となっている。当面の上値目標として、年初来高値から同安値までの調整幅の3分の1戻し水準の3600円台奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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