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パイプドHDは下値切り上げ、19年2月期減益予想の織り込み完了
- 2018/8/6 07:48
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
パイプドHD<3919>(東1)は情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業や販促CRMソリューション事業などを展開している。19年2月期は減益予想だが、先行投資の発現やストック収益の積み上げで20年2月期以降の収益改善を期待したい。株価は19年2月期減益予想の織り込みが完了して下値を切り上げている。出直りを期待したい。
■情報資産プラットフォーム事業などを展開
国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として事業展開している。
セグメント区分は、情報資産プラットフォーム事業(スパイラルやBizBaseなどのクラウドサービス提供)、販促CRMソリューション事業(Webシステムの開発、ECサイトの構築・運営支援)、広告事業(インターネット広告代理販売)、xTech事業(ArchiTech:BIM事業、BeauTech:美歴、HRTech:オーダーメイド人材育成代行、FinTech:エルコイン)、社会イノベーション事業(政治山、I LOVE 下北沢、シモキタコインの運営)としている。
情報資産プラットフォーム事業は、契約数増加に伴って月額サービス収入が拡大するストック型の収益構造である。なお広告事業の売上高は、広告枠の仕入高を売上高から控除する純額表示(ネット表示)としている。
■中期経営計画で20年2月期営業利益17億円目標
中期経営計画2020ではテーマに「リ・イノベーション」を掲げている。重点戦略として、リアルビジネスとの接点の強化、イノベーティブな事業への挑戦、グループ全体の採用・育成の強化、グループ各社の情報資産の有効活用を推進する。目標数値は20年2月期売上高73億円、営業利益17億円としている。
17年3月には予約顧客管理システムのプラットフォーム提供や、ヘルスケア業界に特化したコミュニティサイト運営を行っているクロスリンクの第三者割当増資を引き受けた。17年12月には電子地域通貨プラットフォームを提供する新会社エルコインを設立した。
18年2月にはメディコムおよびトライベック・ストラテジーの2社と共同で、製薬企業向けマーケティングオートメーションパッケージ「BtoD」を開発した。またO2Oアプリ「NEARLY」を提供するipoca社の第三者割当増資を引き受けた。
18年3月にはエルコインの子会社としてシモキタコインを設立した。エルコインが提供する電子地域通貨プラットフォームにおける発行事業者第1号として、下北沢で行われるイベントや商業施設等で利用される電子地域通貨を発行する。18年4月には美歴が資本業務提携パートナーの募集を開始した。
■19年2月期減益・減配予想、20年2月期の収益改善期待
19年2月期連結業績予想は、売上高が18年2月期比12.8%増の58億円、営業利益が33.4%減の5億円、経常利益が34.6%減の4億90百万円、純利益が34.5%減の3億円としている。配当予想は9円減配の年間12円(第2四半期末4円、期末8円)としている。予想配当性向は30.4%となる。
第1四半期は、売上高が前年同期比0.7%増の13億26百万円で、営業利益が50.5%減の1億25百万円、経常利益が51.3%減の1億22百万円、純利益が62.3%減の63百万円だった。
売上面では情報資産プラットフォーム事業と広告事業が増収だが、販促CRMソリューション事業が減収となり、全体として微増収にとどまった。利益面では人材への先行投資に伴う人件費増加で減益だった。従業員数は432人で102人増加した。
通期ベースでも、売上面では情報資産プラットフォーム事業が堅調に推移するが、18年2月期実績90名、19年2月期予定95名という積極的な人材採用などの先行投資負担で減益予想である。
通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高22.9%、営業利益25.0%と順調である。19年2月期は減益予想だが、先行投資の発現やストック収益の積み上げで20年2月期以降の収益改善を期待したい。
■株価は下値切り上げ
18年4月に第三者割当(マッコーリー・バンク・リミテッド)による第5回新株予約権・第6回新株予約権を発行した。
株価は7月5日の年初来安値960円から徐々に下値を切り上げている。19年2月期減益予想の織り込みが完了したようだ。
8月3日の終値は1061円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS39円46銭で算出)は約27倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は約1.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS311円51銭で算出)は約3.4倍、時価総額は約86億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線を突破した。出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)