寿スピリッツは目先的な売り一巡して出直り期待、19年3月期1Q大幅営業増益で通期も2桁営業増益予想

 寿スピリッツ<2222>(東1)は「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げ、首都圏エリア展開強化や商品プレミアム化などの重点施策を加速している。19年3月期第1四半期は大幅営業増益だった。そして通期も2桁営業増益予想である。株価は第1四半期決算発表後に年初来安値を更新する場面があったが、目先的な売り一巡して出直りが期待される。

■「お菓子の総合プロデューサー」として地域限定ブランド菓子を展開

 地域限定ブランド菓子の製造・販売を主力とする持株会社である。全国各地のお菓子のオリジナルブランドとショップブランドを創造する「お菓子の総合プロデューサー」を企業ビジョンに掲げている。さらにWSR(ワールド サプライジング リゾート)宣言を経営スローガンに掲げ、中期経営目標を売上高経常利益率20%としている。

 主要子会社(セグメント)はケイシイシイ、寿製菓・但馬寿、シュクレイ、九十九島グループ、販売子会社(東海3社、中国・九州4社、関西2社)である。シュクレイはフランセを17年4月吸収合併して生産直販型会社に移行した。

 18年3月期の販売チャンネル別売上構成比は、通信販売6.8%(うちルタオ通販5.4%)、店舗販売(直営店舗、催事)44.2%、卸売(駅・空港・高速道路SAなどの小売店、代理店卸、OEM)45.8%、海外3.1%、その他0.1%である。駅・空港・高速道路SAなど交通機関チャネルでの土産品としての販売比率が高いことも特徴である。またクリスマス・年末年始・バレンタイン・ホワイトデー商戦などで下期の構成比が高くなる季節特性がある。

■首都圏WSR化展開など重点施策が大幅伸長

 重点施策として、プレミアム・スイーツブランドの創出と育成(地域・チャンネル特性にマッチした商品開発推進、主力商品リニューアルによるバージョンアップと価格改定、販路開拓やリアル店舗と通販の融合、新業態店の拡大)、インバウンド対策の強化(国内主要国際空港における免税売店等への販売強化、直営店舗での免税対応強化)、首都圏でのWSR化展開(シュクレイの多ブランド展開推進や販路拡大、グループ各社による期間限定店舗展開の推進など)、海外展開、生産性向上による製造採算改善などを推進している。

 重点施策の18年3月期売上高は、国内主要国際空港でのインバウンドが17年3月期比77.2%増の34億72百万円、海外(台湾現地法人売上高+韓国・香港向けロイヤルティ含む国内出荷売上高)が48.6%増の11億56百万円、シュクレイ(首都圏WSR化)が24.5%増の115億47百万円と大幅伸長している。

 なお18年6月には、栃の実に含まれているポリフェノールの光障害に対する網膜保護作用について、国際学術誌Nutrients 10巻(2018年)に掲載予定とリリースしている。この研究成果を基盤として、新たなアイケア素材の開発を推進する計画だ。

 また8月1日にはシュクレイが、東京駅銘品館東京南口店に「CARAMEL GHOST HOUSE」をオープンした。

■19年3月期1Qは大幅営業増益、通期も2桁営業増益予想

 19年3月期の連結業績予想は売上高が18年3月期比8.6%増の406億円、営業利益が15.7%増の58億円、経常利益が15.9%増の58億50百万円、純利益が8.1%増の38億20百万円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間35円(期末一括)で、予想配当性向は28.5%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比8.6%増の86億01百万円で、営業利益が55.1%増の8億29百万円、経常利益が52.4%増の8億35百万円、純利益が7.8%減の5億10百万円だった。

 純利益は前年同期の税負担が一時的に低かった反動で減益だったが、首都圏での展開や主要都市空港でのインバウンド販売などの重点施策が奏功し、ケイシイシイやシュクレイの好調が牽引して大幅営業・経常増益だった。売上総利益率は56.3%で1.8ポイント上昇、販管費比率は46.6%で1.1ポイント低下した。

 重点施策の売上高はインバウンド売上が47.7%増の11億32百万円、海外売上が18.0%減の2億15百万円、首都圏WSR化のシュクレイが21.4%増の27億18百万円だった。

 セグメント別には、ケイシイシイが生産移管に伴うグループ向け売上の減少をインバウンド売上の好調でカバーして2.9%増収、シュクレイが直営店・催事・卸売の好調で21.4%増収、寿製菓・但馬寿が生産移管に伴うグループ向け売上の減少で2.5%減収、販売子会社が売場拡大などで5.0%増収、九十九島グループが大手テーマパーク向けOEM取引中止の影響で9.3%減収だった。

 通期ベースでもシュクレイの収益拡大が牽引して2桁営業増益予想である。重点施策の遂行と現場力の向上などで過去最高益の連続更新を目指すとしている。なおグループ全体の製造キャパシティ拡大に向けて、寿製菓・但馬寿のグループ向け製造売上の一部を他のグループ製造拠点に移管する。

 重点施策の売上計画はインバウンドが26.7%増の44億円、海外が12.5%増の13億円、シュクレイが16.0%増の134億円としている。セグメント別の売上計画はケイシイシイが5.6%増収、シュクレイが16.0%増収、寿製菓・但馬寿が横ばい、販売子会社が4.6%増収、九十九島グループが10.0%増収、その他が2.9%減収としている。売上総利益率は0・9ポイント上昇の57.8%、販管費比率は横ばいの43.5%の計画である。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は低水準の形だが、クリスマス・年末年始・バレンタイン・ホワイトデー商戦などで下期の構成比が高くなる季節特性があるためネガティブ要因とはならない。通期ベースでも好業績が期待される。

■株主優待は毎年3月末

 株主優待制度は、毎年3月末現在の100株以上~500株未満所有株主に対して2000円相当の自社グループ製品、500株以上~1000株未満所有株主に対して4000円相当の自社グループ製品、1000株以上所有株主に対して4000円相当のグループ製品+3000円相当の直営店舗利用優待券(代替商品送付可)を贈呈する。

■株価は目先的な売り一巡して出直り期待

 株価は第1四半期決算発表後の8月6日に年初来安値となる4825円まで調整する場面があったが、その後は反発の動きを強めている。

 8月7日の終値は5140円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS122円75銭で算出)は約42倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間35円で算出)は約0.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS497円16銭で算出)は約10倍、時価総額は約1600億円である。

 週足チャートで見ると安値圏で陽線を立てた。目先的な売り一巡して出直りが期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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