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ジャパンフーズは売り一巡感、19年3月期1Qは一時的要因で減益だが通期2桁増益・増配予想
- 2018/8/8 06:25
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
ジャパンフーズ<2599>(東1)は飲料受託生産の国内最大手である。中期的に「日本一のパッカー」を目指している。19年3月期第1四半期は新製品対応設備工事関連など一時的要因の影響で減益だったが、通期は新規商材獲得などで2桁増益・増配予想である。株価は戻り高値圏から急反落したが売り一巡感を強めている。
■飲料受託生産の国内最大手、フレキシブルな生産が強み
伊藤忠商事<8001>系で飲料受託生産の国内最大手である。主要得意先はサントリー食品インターナショナル<2587>、伊藤園<2593>、アサヒ飲料などの大手飲料メーカーで、品目別では炭酸飲料と茶系飲料、容器別ではペットボトル飲料を主力としている。
連結子会社JFウォーターサービスは水宅配・ウォーターサーバーメンテナンス事業を展開している。また国内で水宅配フランチャイズ事業を展開するウォーターネット、および中国で清涼飲料受託製造事業を展開する東洋飲料(東洋製罐と合弁)を持分法適用関連会社としている。自社ブランド商品は本社工場がある千葉県産の農林水産物を使用した商品「おいしい房総サイダー」シリーズなどを販売している。
本社工場の炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン(EラインおよびTライン)では、さまざまな容器(ペットボトル、瓶、缶)の飲料を生産している。市場環境や顧客ニーズの変化に対応したフレキシブルで効率的な生産が強みだ。
■「日本一のパッカー」目指す
中期経営計画「“JUMP+2018”-躍動-」では、成長戦略の方向性・キーワードを「戦略的パートナーシップ」「自立自発」「100年企業」「イノベーション」とした。そして2つの成長戦略は、コアビジネス(国内飲料受託製造事業)の収益拡大と、新規ビジネス(海外飲料受託製造事業、国内水宅配事業、自社ブランド商品)の着実な推進としている。
コアビジネスでは「名実ともに日本一のパッカー」を目指し、品質向上の追求、ローコストオペレーション(生産効率・稼働率・原単位の向上)の徹底、新規商材の取り込みを積極推進する。設備投資では総合S&Bの第1フェーズとして、本社工場内に工場建屋、ペットボトルブロー成型機、炭酸常温充填ラインを新設・稼働した。
新規ビジネス分野(海外飲料受託製造事業、国内水宅配事業、自社ブランド商品)では、戦略的パートナーシップも活用して業容拡大を目指している。ウォーターネットは黒字が定着し、中国の東洋飲料も17年度に経常黒字を達成した。またJFウォーターサービスも顧客が着実に増加している。
■上期(4月~9月)繁忙期、下期(10月~3月)閑散期の収益構造
個人消費や天候などの影響を受けやすく、飲料業界全体が夏場の上期(4~9月)に繁忙期、冬場の下期(10~3月)に閑散期となって生産量が減少するため、下期は営業損益が赤字となる収益構造だ。
なお16年3月期から一部飲料メーカーとの取引形態が、有償支給(顧客指定の原材料を購入し、加工料+原材料費で売上計上する方法)から、無償支給(顧客指定の原材料を受給し、加工料を売上計上する方法)に変更された。このため見かけ上の売上高は大幅に減少しているが、実質的な売上高である加工料収入に影響はない。
■19年3月期1Qは一時的要因で減益だが通期2桁増益・増配予想
19年3月期連結業績予想は売上高が18年3月期比9.1%増の162億円、営業利益が10.8%増の9億90百万円、経常利益が10.5%増の10億60百万円、純利益が10.9%増の7億30百万円としている。
第1四半期は売上高が0.3%増の45億76百万円、営業利益が34.1%減の6億78百万円、経常利益が34.8%減の6億69百万円、純利益が34.7%減の4億62百万円だった。国内飲料受託製造事業において、新製品対応設備工事に伴うライン停止、包材軽量化に伴う生産効率低下などの影響で受託製造量が9.1%減の1260.1万ケースとなり、新ラインの経費負担増も影響して減益だった。
通期ベースでは新規商材獲得などで増収・2桁増益予想である。経常利益はコアセグメントで9億60百万円、新規セグメントで1億円の計画である。第1四半期の減益は一時的要因によるものであり、第2四半期以降の挽回に期待したい。配当予想は18年3月期比3円増配の年間30円(第2四半期末10円、期末20円)で、予想配当性向は19.8%となる。
■競争力強化で中期成長期待
飲料業界全体が天候の影響を受けやすいことに加えて、大手飲料メーカーの再編や内製拡大による受託製造量減少を懸念する見方もあるが、夏場の繁忙期と冬場の閑散期という季節間の需要格差が大きい業界のため、大手飲料メーカーにとって内製拡大は設備投資や固定費負担の面でリスクが大きい。また飲料メーカーは経営効率化の観点からも、経営資源の重点をマーケティング分野にシフトする動きを強めている。
このため飲料受託生産の役割や存在感は一段と高まっている。そして当社は飲料受託生産の最大手として、高品質でフレキシブルな生産対応が可能な強みを発揮することが期待される。さらに一段の競争力強化に向けた投資の成果により、受託製造数量増加、プロダクトミックス改善、コストダウンが進展して中期成長が期待される。
■株主優待制度は毎年3月末に実施
株主優待制度は、毎年3月31日時点の1単元(100株)以上所有株主を対象として、自社製品詰め合わせセットなどを贈呈している。
■株価は売り一巡感
株価は第1四半期の減益を嫌気して7月30日の戻り高値1615円から急反落したが、1400円台で売り一巡感を強めている。
8月7日の終値は1470円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS151円36銭で算出)は約10倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間30円で算出)は約2.0%、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1725円23銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約75億円である。
週足チャートで見ると52週移動平均線が下値を支える形だ。売り一巡して反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)