【編集長の視点】加賀電子は1Q決算発表を先取りして今3月通期予想業績の早期開示を催促して急反発

 加賀電子<8154>(東1)は、前日7日に110円高の2588円と3営業日ぶりに急反発して引けた。東証第1部値上がり率ランキングでは第43位とトップ50位入りする高人気となり、今年7月23日につけた年初来安値2415円からの底上げを鮮明化させた。同社株は、前日7日の取引時間終了後に今2019年3月期第1四期(2018年4月~6月期、1Q)決算の発表を予定しており、この決算とともに期初に未定としていた今期通期予想業績の早期開示を催促して売られ過ぎ訂正買いが再燃した。今3月期通期純利益が、13期ぶりに過去最高を更新すると観測されていることも、買い手掛かりとなった。実際に前日大引け後に発表された今期1Q業績では、経常利益が前年同期に対しては減益となったが、四半期別では、前2018年3月期の第4四半期(2018年1月~3月期、4Q)実績に対しては増益でプラス着地しており、なお未定としている今3月期通期業績への期待を高めている。

■前日大引け後に発表の1Q経常利益は前期4Q実績に対してプラスで着地

 同社の今2019年3月期予想業績は、期初にエレクトロニクス業界の事業環境の変化が激しく不確定要素が大きく予想業績を合理的に算定することは困難として未定とした。これに変わって今期を最終年度とする中期経営計画の目標数値を掲げ、この達成を目指すとした。同目標値は、売り上げを2900億円(前期比22.9%増)、経常利益100億円(同14.4%増)とし、経常利益は、13期ぶりに過去最高を更新した前期に続く過去最高となる。

 これに対して、前日大引け後に開示された今期1Q業績は、前年同期比1.2%減収、28.7%営業減益、23.8%経常減益、34.4%純益減益と、V字回復した前年同期に対して減収減益転換して着地した。売り上げは、電子機器向けのEMS(生産受託)ビジネスが牽引してほぼ前年同期並みをキープしたが、同ビジネスで主要顧客の製品切り替えに伴う生産調整や、立ち上げ期にある海外工場への先行費用が響き減益転換した。

 ただ四半期別では、経常利益は16億7900万円と前期4Q実績の16億4700万円を上回り、純利益も、11億4800万円と同9億8000万円をオーバーしてプラス転換した。EMSビジネスでは、車載向けや空調機器向けが、情報機器事業では、住宅向けの家電販売ビジネスや商業施設のLED設置ビジネスがいずれも引き続き順調に推移したことが要因となった。このプラス・トレンドのために、なお未定とした今3月期通期業績への期待を高めているもので、市場コンセンサスでは純利益は、73億円~80億円とし2006年3月期の過去最高(72億7200万円)を13期ぶりに更新する観測されているだけに、早期開示が待たれている。

■投資セオリーの「三割高下につけ」でPER10倍台、PBR1倍割れの修正に再発進

 株価は、前期業績が期中に2回も上方修正され配当も2回増配されたことで昨年10月に上場来高値3780円まで買い進まれ、年明け後も3000円台で堅調に推移したものの、再三にわたる世界同時株安の直撃で下値を探り、今期予想業績を非開示としたことも響いて2500円台を試す展開が長引き、年初来安値2414円へダメ押しをした。上場来高値から36%の下落率と値幅調整一巡を示唆し、日柄調整も十分で、PERは前期実績ベースで10倍台、PBRは1倍割れ、配当利回りも2.89%と売られ過ぎとなっていた。前日には、投資セオリーの「三割高下につけ」通りに底上げに転じたもので、この余勢を駆って最高値から年初来安値への調整幅の3分の1戻しの2800円台奪回から半値戻しの3000円台回復へ弾みをつけよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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