Eストアーは戻り高値圏、19年3月期1Q大幅増益で通期上振れ余地、8月31日付で自己株式消却

 Eストアー<4304>(JQ)は、従来の主力だった販売システム構築支援からEC総合支援ソリューションへの転換を推進している。19年3月期第1四半期は大幅増益だった。通期は先行投資負担で減益予想だが上振れ余地がありそうだ。また8月31日付で発行済株式総数の約半分に相当する自己株式を消却する。株価は急動意の場面があり戻り高値圏だ。

■EC総合支援サービスを展開

 EC総合支援サービスを展開している。ヤフーショッピングや楽天市場といったECモール店ではなく、企業のEC本店向けを中心に、システム構築およびマーケティングサービスを提供する。ワンストップサービスが強みだ。

 システム構築分野は、販売系でショップサーブ(受注・決済・顧客管理などを一体化した通販システム)、販促系でEストアー・コンペア(デザイン効果を比較して売上増加や広告費削減に繋げるテストツール)や、Eストアー・クエリー(リピート受注を高めるためのメールCRM)を提供している。マーケティングサービス分野は、コンサルティングなどの調査・分析、店舗作りなどの制作代行、広告宣伝などの集客代行、受注管理などの運営代行を提供している。

 また8月7日には、クロストラスト(株)から事業を譲り受けて(株)クロストラストを設立し、8月6日付で電子認証サービスを開始したと発表している。

■マーケティングサービスと販促系システムを拡大

 成長戦略として、従来の主力だった販売システム構築支援から、EC総合支援ソリューションへの転換を推進している。価格競争が激しい販売系システムは、ECでのポテンシャルが見込める優良顧客に絞り込む。一方で、顧客EC店舗の販促を支援するマーケティングサービス、および新たな収益ブロックとしての販促系システムの育成・拡大に注力する方針だ。

 18年3月期売上構成比は、ストック売上(ECシステム月額利用料)が37%、フロウ売上(店舗売上高に連動する受注・決済手数料)が40%、マーケティングサービス(店舗販促支援アウトソーシングに係る役務提供料)が22%、メディア・その他が1%だった。

 販売系システムのショップサーブについては、ECでのポテンシャルが見込める優良顧客に絞り込んでいるため顧客店舗数が減少し、ストック売上の構成比も低下傾向である。ただし販売システムの受注単価は上昇傾向である。18年3月期末のショップサーブ顧客数は1万502件で17年3月期末比1088件減少したが、総合支援ソリューションの効果で1顧客店舗当たり業績は760万円で10%成長した

■19年3月期1Q大幅増益、通期減益予想だが上振れ余地

 19年3月期の非連結業績予想は売上高が18年3月期比9.8%増の55億40百万円、営業利益が4.1%減の5億31百万円、経常利益が8.7%減の5億31百万円、純利益が10.7%減の3億67百万円としている。配当予想は未定としている。

 販売系システムは数より単価を優先し、販促系システムの販売を本格化する。マーケティングサービスは拡販および効率化による利益率改善を推進する。ただし次の収益軸への道筋づくりなど積極的な先行投資負担で減益予想としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比1.0%減の12億06百万円だが、営業利益が33.5%増の1億44百万円、経常利益が35.1%増の1億43百万円、純利益が36.0%増の97百万円だった。販売システム構築支援からEC総合支援ソリューションへの転換を推進しているため微減収だが、人件費の減少などで大幅増益だった。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高21.8%、営業利益27.1%と順調である。通期減益予想だが、上振れ余地がありそうだ。

■株価は戻り高値圏

 8月9日に自己株式消却を発表した。8月31日付で自己株式516万5902株(消却前の発行済株式総数の50.02%)を消却する。消却後の発行済株式総数は516万1298株となる。

 株価は900円台でモミ合う展開だったが、第1四半期大幅増益や自己株式消却を好感して急動意の展開となり、8月13日に1384円まで急伸する場面があった。その後は一旦反落したが戻り高値圏だ。

 8月17日の終値は1156円、今期予想PER(予想EPSは純利益予想と自己株式除く発行済株式総数から算出した71円10銭を利用)は約16倍、前期実績PBR(前期実績BPS283円36銭で算出)は約4.1倍、時価総額は約119億円である。週足チャートで見るとやや乱高下する形だが、上値を試す展開を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展

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