【アナリスト水田雅展の銘柄分析】エフティコミュニケーションズは下値固め完了して出直り、高配当利回りや中期成長力を評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 LED照明・OA機器販売などのエフティコミュニケーションズ<2763>(JQS)の株価は下値固めが完了して切り返しの動きを強めている。15年3月期大幅営業増益見通し、低PER、高配当利回り、さらに中期成長力を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。

 13年6月にTOBで光通信<9435>の連結子会社となり、法人向けLED照明・OA機器・スモールサーバー販売などの法人事業、一般消費者向け光ファイバー回線サービス取次販売やドコモショップ運営などのコンシューマ事業を展開している。LED照明や空調などオフィスの環境・省エネ関連商材を重点分野と位置付けて、商品ラインナップの拡充、定額保守サービスなどストック型収益の積み上げを強化している。

 さらに中期成長に向けた重点戦略として、環境商材戦略、M&A・新規事業戦略、既存事業の強化戦略、海外戦略、プラットフォーム事業戦略を推進している。

 M&A・新規事業戦略では13年10月ネットワークセキュリティ機器製造のアレクソン、11月ビジネスホン・OA機器販売のグロースブレイブジャパン、12月ノンフロン新自然冷媒ガス販売・施工のニューテックを子会社化、スマートフォン・タブレット端末で決済・プラットフォーム事業を展開する子会社ViewPointを設立した。

 環境商材戦略ではLED照明に加えて、ニューテックのノンフロン新自然冷媒ガス販売・施工を強化する方針だ。15年1月にはニューテックとハウステンボス・技術センター(長崎県佐世保市)が自然冷媒ガス販売契約を締結した。ハウステンボス・技術センターがエアコン使用時間の長い医療機関、老人保健施設、宿泊施設、工場、商業施設など向けに販売する。

 プラットフォーム事業戦略ではスマホカード決済サービス「ペイコレ」や、子会社ViewPointが14年7月開始した中古車個人取引サイト「mieruCAR(ミエルカ)」を強化する方針だ。また海外戦略では14年7月設立したタイ子会社をASEAN地域への事業展開拠点として、LED照明など環境商材の販売を推進する方針だ。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月14日公表)を据え置いて、売上高が前期比6.0%増の380億円、営業利益が同27.6%増の48億円、経常利益が同21.6%増の50億円、純利益が同5.5%増の28億円としている。配当予想(11月7日に増額修正)は年間70円(第2四半期末30円、期末40円)で、13年10月1日付の株式100分割を考慮すると実質的に前期比20円増配となる。

 法人事業ではLED照明やスモールサーバーなどの販売が好調に推移し、ストック型収益の積み上げが進展する。コンシューマ事業では光ファイバー回線サービス拡販でストック型収益を積み上げ、ドコモショップの運営効率向上も寄与する。純利益はアレクソンの負ののれん発生益一巡で小幅増益にとどまるが、大幅営業増益見通しだ。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比2.2%減収、同16.9%営業増益、同17.7%経常増益、同10.1%最終増益だった。前期第1四半期(4月~6月)にはハイブリッド・サービス<2743>が連結対象だったため見かけ上は減収だが、法人事業が同19.2%増収、コンシューマ事業が同12.6%増収といずれも好調に推移し、人件費増加など先行投資費用を吸収して大幅増益だった。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)82億33百万円、第2四半期(7月~9月)88億68百万円、第3四半期(10月~12月)87億73百万円で、営業利益は第1四半期9億28百万円、第2四半期10億13百万円、第3四半期10億77百万円となった。ストック型収益の積み上げが寄与して営業損益は拡大基調だ。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が68.1%、営業利益が62.9%、経常利益が65.6%、純利益が72.0%とやや低水準だったが、第4四半期(1月~3月)の挽回が期待される。中期的にもストック型収益の積み上げや積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、1月~2月の安値圏1800円台での下値固めが完了して切り返しの動きを強めている。23日は終値で2000円台を回復し、さらに24日は2096円まで上伸する場面があった。

 3月24日の終値2085円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS240円00銭で算出)は8~9倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は3.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS720円01銭で算出)は2.9倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となって上伸し、週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。強基調に転換する動きであり、15年3月期大幅営業増益見通し、低PER、高配当利回り、さらに中期成長力を評価して出直りの動きが本格化しそうだ。

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