カーリットホールディングスは調整一巡期待、19年3月期1Q大幅営業増益で通期も2桁営業増益予想

 カーリットホールディングス<4275>(東1)は、化学品事業、ボトリング事業、産業用部材事業を展開している。19年3月期第1四半期は電池受託評価試験や半導体用シリコンウェーハなどが好調に推移して大幅営業増益だった。通期も2桁営業増益予想である。株価は7月の戻り高値圏から反落し、第1四半期業績にも反応薄の形だが、調整一巡して反発を期待したい。

■化学品、ボトリング、産業用部材を展開

 M&Aを積極活用して規模拡大と事業多様化を推進し、化学品事業(産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、危険性評価試験、電池受託評価試験、塩素酸ナトリウム、ロケットの固体推進薬原料、電気二重層キャパシタ用電解液、イオン導電材料など)、ボトリング事業(飲料のボトリング加工)、産業用部材事業(半導体用シリコンウェーハ、耐火・耐熱金物、ばね・座金など)を展開している。

 18年3月期のセグメント別(その他・消去前)の売上高構成比は化学品45%、ボトリング38%、産業用部材17%、営業利益構成比は化学品57%、ボトリング31%、産業用部材12%だった。

■中期経営計画「礎100」で事業基盤確立を推進

 中期経営計画「礎100」では、18年の創業100周年を迎え、次の100年企業の礎となる事業基盤確立を推進している。目標数値として18年度売上高540億円、営業利益24億円、営業利益率4%、連結配当性向20~30%、さらに中長期目標として売上高1000億円企業を掲げている。

 基本戦略には、成長基盤強化(新商品・新規事業の創出と育成、M&Aや資本・技術提携)、収益基盤強化(経営資源の有効配分、新商品開発のスピードアップ)、グループ経営基盤強化(グループシナジーの最大化、子会社・事業の再編・統廃合、R&Dの新体制構築、海外展開の強化、CSR経営の推進)を掲げている。

 注力分野の電池受託評価試験分野では17年11月東レリサーチセンターと業務提携した。新商品・新規事業の創出と育成に関してはロケットの固体推進薬、キャパシタ用部材・原料、茶殻から有用成分を抽出する技術、光学用途シリコン、ゲルマニウム精製事業などの開発・事業化を推進している。

■19年3月期1Q大幅営業増益で通期も2桁営業増益予想

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比4.3%増の540億円、営業利益が18.3%増の24億円、経常利益が14.9%増の25億円、純利益が0.5%減の15億円としている。配当予想は18年3月期と同額の年間12円(期末一括)としている。18年3月期には創業100周年記念配当2円が含まれているため普通配当ベースでは2円増配となる。予想配当性向は18.9%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比4.4%増の124億71百万円、営業利益が52.8%増の3億51百万円、経常利益が47.0%増の4億58百万円、純利益が39.2%増の2億88百万円だった。

 ボトリング事業が定期修繕の影響で赤字だったが、化学品事業の電池受託評価試験や産業用部材事業の半導体用シリコンウェーハなどが好調に推移して大幅営業増益だった。化学品事業は2.3%増収で43.8%増益、ボトリング事業は1.4%増収で赤字が拡大、産業用部材事業は12.6%増収で33.0%増益だった。

 通期のセグメント別(連結消去前)計画は、化学品の売上高が6.4%増の240億円で営業利益が27.3%増の13億80百万円、ボトリングの売上高が0.5%減の192億円で営業利益が22.3%減の4億60百万円、産業用部材の売上高が6.9%増の90億円で営業利益が77.5%増の4億10百万円としている。ボトリングはコーヒー缶の漸減傾向などで低調だが、化学品で電池受託評価試験、産業用部材でシリコンウェーハ、耐火・耐熱金物などが好調に推移して2桁営業増益予想である。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高23.1%、営業利益14.6%だが、通期ベースでも好業績を期待したい。

■株主優待制度は毎年6月末に実施

 株主優待制度は毎期末(3月31日)時点の株主を対象として実施している。なお19年3月期末から優待内容を変更し、保有株式数および保有期間に応じてギフトカードを贈呈する。

■株価は調整一巡期待

 株価は7月26日の戻り高値1149円から反落し、第1四半期の大幅増益に対しても反応薄の形で水準を切り下げた。8月10日には983円まで調整した。

 8月17日の終値は925円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS63円36銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は約1.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1085円11銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約222億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、調整一巡して反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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