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星光PMCは調整一巡感、CNF複合材料の商業生産本格化期待
- 2018/8/21 06:44
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
星光PMC<4963>(東1)は製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業を展開し、次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)など新分野開拓を推進している。18年12月期第2四半期累計は原材料価格上昇で減益だった。通期も減益予想だが、CNF複合材料の商業生産本格化を期待したい。株価は反発力の鈍い展開だが、7月の年初来安値を割り込むことなく調整一巡感を強めている。出直りを期待したい。
■製紙用薬品、印刷インキ用・記録材料用樹脂、化成品を展開
DIC<4631>の連結子会社で、製紙用薬品事業、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業、化成品事業(子会社KJケミカルズ)を展開している。17年12月期売上高構成比は製紙用薬品事業63%、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業21%、化成品事業15%だった。
高付加価値製品の拡販、中国事業の再構築、東南アジア市場への積極展開、植物由来の軽量・高強度の次世代素材セルロースナノファイバー(CNF)、導電性ナノ材料(銀ナノワイヤー)、水性インキ用コア・シェル・エマルション、アミドエーテル系溶剤、光学弾性樹脂(OCA)など、成長市場・新分野における新規開発品戦略を推進している。
新中期経営計画「CS VISION-2」では目標数値に、会社設立50周年の18年12月期売上高272億円、営業利益22億円、営業利益率8%以上を掲げている。
■CNF複合材料の商業生産本格化期待
次世代素材CNFは、すべての植物の植物細胞壁の骨格成分であるセルロースをナノサイズまで細かくほぐすことによって得られる繊維である。鋼鉄の5分の1の軽さで5倍以上強く、熱による変形が少ないなどの特徴がある。樹脂の補強材として機能させることで、自動車用樹脂の強度向上や金属部材からの置き換え、家電・モバイル機器の軽量化などでの需要が期待されている。
18年1月には、竜ヶ崎工場にあるCNF実証生産設備(パイロットプラント)の生産能力増強工事が完了し、CNF複合材料「STARCEL」ブランドでの商業生産・製品出荷を開始した。
18年6月には世界初のCNF強化樹脂応用製品の商品化を発表した。CNF複合材料「STARCEL」がアシックス<7936>の高機能ランニングシューズ製品のミッドソール部材の原材料の一部に採用された。また8月17日には2例目となるランニングシューズへの採用を発表している。商業生産の本格化を期待したい。
銀ナノワイヤーは、直径がナノサイズ、長さがミクロンサイズの繊維状の銀を溶液中に分散させて透明導電性電極を形成し、ウェアラブル端末や大型ディスプレイへの利用が期待されている。
■18年12月期2Q累計減益で通期も減益予想
18年12月期の連結業績予想は、売上高が17年12月期比3.3%増の259億20百万円、営業利益が9.9%減の20億円、経常利益が13.6%減の21億30百万円、純利益が19.5%減の16億10百万円としている。
拡販を推進して増収だが、原材料価格上昇、人件費や償却費等の増加で減益予想としている。配当予想は設立50周年記念配当2円を加えて年間16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。17年12月期比3円増配で予想配当性向は30.1%となる。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比6.6%増の125億64百万円、営業利益が3.4%減の9億52百万円、経常利益が9.3%減の10億08百万円、純利益が14.2%減の7億75百万円だった。製紙用薬品事業における差別化商品拡販などで増収だったが、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業における原材料価格上昇などで減益だった。
製紙用薬品は売上高が13.4%増の83億16百万円で営業利益が5.3%増の7億77百万円、印刷インキ用・記録材料用樹脂は売上高が2.5%増の25億79百万円で営業利益が9.1%減の1億22百万円、化成品は主力製品の輸出減少により売上高が13.8%減の16億67百万円で営業利益が30.5%減の2億10百万円だった。
通期のセグメント別計画は、製紙用薬品の売上高が4.8%増の166億75百万円で営業利益が3.9%減の15億94百万円、印刷インキ用・記録材料用樹脂の売上高が1.6%減の52億92百万円で営業利益が21.2%減の3億12百万円、化成品の売上高が4.2%増の39億53百万円で営業利益が7.0%減の4億63百万円としている。
第2四半期累計の進捗率は売上高48.5%、営業利益47.6%と概ね順調である。通期上振れを期待したい。またCNF複合材料の商業生産本格化を期待したい。
■株価は調整一巡感
株価は反発力の鈍い展開だが、7月の年初来安値978円を割り込むことなく調整一巡感を強めている。
8月20日の終値は1029円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS53円10銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は約1.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS776円56銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約316億円である。
週足チャートで見ると1000円近辺が下値支持線の形だ。調整一巡して出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)