加賀電子は売られ過ぎ感、19年3月期1Q減益だが通期は中期計画目標達成目指す

日インタビュ新聞ロゴ

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。19年3月期第1四半期は減収減益だった。通期予想は第2四半期決算時に次期中期経営計画と併せて公表予定だが、中期計画最終年度の目標達成を目指すとしている。株価は売られ過ぎ感を強めている。売り一巡して反発を期待したい。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)20%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)6%だった。

■中期計画で19年3月期経常利益100億円目標

 中期経営計画2018では、16年3月期~19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25~35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。

 17年10月には託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。

 18年2月にはウェアラブルコミュニケーションデバイス開発・販売のBONXに出資、18年3月には、出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得した。米国での販売は18年7月、日本での販売は19年前半を予定している。

 18年5月には子会社の加賀マイクロソリューションが、国内生産機能強化に向けて福島県須賀川市に新工場を建設すると発表した。18年6月にはIoTを活用したスマート・セキュリティ・サービス「Secual」を展開するSecualへの出資を発表した。

 なお連結子会社の加賀コンポーネントについては18年10月特別清算結了予定である。連結業績への影響は軽微である。

■19年3月期1Q減益だが、通期は中期計画目標値の達成目指す

 19年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比1.2%減の554億93百万円、営業利益が28.7%減の14億89百万円、経常利益が23.8%減の16億79百万円、純利益が34.4%減の11億48百万円だった。

 EMSビジネスにおける医療機器関連の主要顧客の製品切り替えに伴う生産調整の影響、部品販売ビジネスにおける家電製品関連の主要顧客の生産調整の影響、PC・周辺機器販売ビジネスにおける市場低迷の影響、EMSビジネスで立ち上げ期にある海外新工場における費用の先行などで減益だった。ただし計画水準としている。

 通期の連結業績予想は、不確定要素が大きく現時点では業績予想を算定することが困難な状況にあるため、第2四半期決算時に次期中期経営計画と併せて公表予定としているが、電子部品事業を中心に受注環境が良好であり、中期経営計画最終年度の目標値(売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8.0%以上)の達成を目指すとしている。第2四半期以降の挽回を期待したい。

 配当予想は年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。18年3月期と同額だが、18年3月期の年間70円(第2四半期末30円、期末40円)には特別配当10円(第2四半期末5円、期末5円)を含んでいるため、普通配当ベースでは増配となる。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は第1四半期業績を嫌気する形で急落し、2500円近辺でのモミ合いから下放れの形となった。8月16日には年初来安値となる2002円まで下押した。ただし日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%を超えて売られ過ぎ感を強めている。

 8月20日の終値は2032円、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は約3.4%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2571円79銭で算出)は約0.8倍、時価総額は約583億円である。売り一巡して反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■内蔵インヒールで自然な足長効果、フォーマルからビジネスまで対応  青山商事<8219>(東証プラ…
  2. ■デュアル周波数対応で通信の安定性を確保  世界的なDX進展を背景に京セラ<6971>(東証プライ…
  3. ■リアルタイム文字起こしと自動要約で議事録作成を効率化  シャープ<6753>(東証プライム)は2…
2025年4月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

ピックアップ記事

  1. ■低PER・高配当利回り、不動産・銀行株が市場を牽引  3月の東京都区部消費者物価指数が前年比2.…
  2. ■新年度相場のサブテーマは「物価」?!  米国のトランプ大統領は、「壊し屋」と奉る以外にない。その…
  3. ■新年度相場の初動として注目される値上げ関連銘柄  4月予定の値上げは、原材料価格上昇や物流費増加…
  4. どう見るこの相場
    ■トランプ関税懸念も『総論弱気、各論強気』の市場展開  「トランプ・ディール(取引)」と「トランプ…
  5. ■名変更会社の局地戦相場の待ち伏せ買いも一考余地  今年4月1日以降、来年4月1日まで社名変更を予…
  6. ■あの銘柄が生まれ変わる!市場を揺るがす社名変更、次なる主役は?  「トランプ・トレード」が、「ト…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る