ヨコレイは売り一巡感、18年9月期利益下方修正だが19年9月期の収益拡大期待

 ヨコレイ(横浜冷凍)<2874>(東1)は冷蔵倉庫の大手である。低温物流サービスの戦略的ネットワーク構築に向けて積極投資を継続し、食品販売事業はノルウェーHI社と資本業務提携して業容拡大戦略を推進している。18年9月期は利益を下方修正して減益予想となったが、19年9月期の収益拡大を期待したい。株価は年初来安値を更新したが、売り一巡感を強めている。低PBRも見直して反発を期待したい。

■冷蔵倉庫事業と食品販売事業を展開

 冷蔵倉庫事業および食品販売事業を展開している。17年9月期セグメント別売上高構成比は冷蔵倉庫事業16%、食品販売事業84%、営業利益(連結調整前)構成比は冷蔵倉庫事業74%、食品販売事業25%、その他1%だった。収益面では、冷蔵倉庫事業は倉庫稼働率、食品販売事業は水産品・畜産品・農産品の市況や季節要因の影響を受ける特性がある。

 冷蔵倉庫事業は低温物流サービスの戦略的ネットワーク展開に向けて積極投資を継続し、新物流センターが順次稼働して収益拡大に貢献している。17年6月には埼玉県・幸手物流センターが竣工、18年2月には東京羽田物流センター(18年3月物流総合効率化法の認定)が竣工した。これにより都内、横浜、圏央道沿線の12ヶ所の物流センターで首都圏を取り囲む物流網が完成した。

 また福岡市アイランドシティ港湾関連用地4工区E区画を取得(18年3月引き渡し予定)している。海外はASEAN地域へ積極展開し、タイヨコレイ全体の保管収容能力はタイ国内トップシェアである。

 食品販売事業はノルウェーの大手水産加工会社ホフセスインターナショナル(HI社)と包括的業務提携し、アトランティックサーモン等の加工製造販売など業容拡大を推進している。17年7月にはグループの水産会社アライアンスシーフーズが、マレーシアの海老養殖事業会社AGROBEST社と包括業務提携契約を締結し、海老養殖事業に参入した。

■中期経営計画で収益性強化を推進

 第6次3ヶ年中期経営計画「Growing Value 2020」では、目標値に20年9月期売上高1800億円、営業利益85億円、経常利益85億円、純利益53億円、ROE6.0%台、EBITDA130億円、自己資本比率40%以上を掲げている。

 収益性の一段の強化を推進する。事業別の目標値は、冷蔵倉庫事業が売上高283億円で営業利益66億円、食品販売事業が売上高1517億円で営業利益47億円としている。

■18年9月期利益予想を下方修正、19年9月期の収益拡大期待

 18年9月期の連結業績予想は、8月10日に利益を下方修正し、売上高が17年9月期比2.5%増の1630億円、営業利益が3.4%減の50億円、経常利益が6.1%減の51億円、純利益が10.7%減の30億円としている。配当予想は据え置いて3円増配の年間23円(第2四半期末10円、期末13円)としている。予想配当性向は42.4%となる。

 増益予想から一転して減益予想となった。冷蔵倉庫事業やノルウェーのトラウト養殖事業は堅調だが、国内の食品販売事業においてエビ、イカ、カニ等のコスト上昇を販売価格に転嫁できず、利益率が悪化した。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比10.4%増の1299億69百万円、営業利益が17.5%減の34億63百万円、経常利益が18.3%減の37億42百万円、純利益が15.8%減の23億54百万円だった。

 冷蔵倉庫事業は3.5%増収、4.9%増益と堅調だった。17年9月期に2つのセンターを閉鎖したことに伴う減収要因と、新設センター立ち上げ時の一時費用や減価償却費の増加という減益要因があったが、新設センターの稼働率向上やタイの子会社の業績回復などが寄与した。食品販売事業は11.8%増収、58.1%減益だった。海外事業や輸出は順調だったが、国内水産で主力商材のコスト上昇を販売価格に転嫁できず、利益下押し要因となった。

 18年9月期は一転して減益予想となったが、19年9月期の収益拡大に期待したい。

■株主優待は毎年9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月30日現在1000株以上保有株主を対象として実施している。優待内容は1000株以上~3000株未満保有株主に対して鮭切身詰め合わせ、3000株以上保有株主に対して北海道産ホタテ・いくらセットを贈呈する。

■株価は売り一巡感

 株価は下方修正を嫌気し、1000円近辺でのモミ合いから下放れて年初来安値を更新した。8月17日には881円まで下押した。その後は900円近辺で推移して売り一巡感を強めている。

 8月22日の終値は901円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS54円25銭で算出)は約17倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間23円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1298円88銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約527億円である。低PBRも見直して反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る