TACは売られ過ぎ感、19年3月期1Q減益だが通期は増収増益・連続増配予想

 TAC<4319>(東1)は「資格の学校」を運営し、中期成長に向けて新事業領域への展開も強化している。19年3月期第1四半期は減収減益だったが、通期は各事業とも堅調に推移して増収増益・連続増配予想である。株価は急落して年初来安値を更新したが売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。

■財務・会計分野を中心に「資格の学校」を運営、新規事業領域も展開

 財務・会計分野(簿記検定・公認会計士など)、経営・税務分野(税理士・中小企業診断士など)、金融・不動産分野(宅建・不動産鑑定士・FPなど)、法律分野(司法試験・司法書士など)、公務員・労務分野(社会保険労務士・国家総合職など)、その他分野(情報・国際、医療・福祉など)といった幅広い分野で「資格の学校」を運営している。また法人研修事業、出版事業、人材事業も展開している。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、個人教育事業60%、法人研修事業21%、出版事業16%、人材事業3%だった。

 教育事業の受講者数は3.7%増の21万9578人(個人が1.4%減の13万6324人、法人が13.1%増の8万3254人)だった。分野別構成比は財務・会計分野が15.4%、経営・税務分野が12.3%、金融・不動産分野が24.5%、法律分野が6.1%、公務員・労務分野が28.3%、情報・国際/医療・福祉/その他分野が13.4%だった。

 新事業領域への展開も強化している。18年5月には千葉大学病院と連携して教育事業を開始すると発表した。病院経営の司令塔を育てる「ちば医経塾」でWeb教材などを開発する。なお子会社のTAC医療は18年3月末に全事業を休止し、子会社のTACプロフェッションバンク(TPB)がTAC医療を18年8月1日付で吸収合併した。

■四半期業績には季節変動要因

 四半期業績は資格講座の本試験実施・合格発表の時期との関係などで季節変動の特徴がある。第2四半期(7~9月)と第3四半期(10~12月)の公認会計士・税理士講座は、翌年受験のための受講申込が集中する時期となるため、現金ベース売上高が突出して多くなるとともに、翌四半期に向かって前受け金として繰り越されることから、発生ベース売上高の増加が少なくなる傾向がある。

 また第4四半期(1~3月)から第1四半期(4~6月)にかけては、夏・秋の本試験時期に向けて全コースが出揃う時期にあたり、稼働率の上昇から前受金戻入額が増加することを通じて発生ベース売上高が増加する傾向にある。こうした売上の傾向に対して、売上原価や営業費用は毎月一定額計上されるため、四半期ごとの営業利益が変動しやすい。

■19年3月期1Q減収減益だが、通期は増収増益・連続増配予想

 19年3月期の連結業績予想は、売上高が18年3月期比1.2%増の212億円で、営業利益が9.1%増の9億10百万円、経常利益が19.6%増の8億80百万円、純利益が24.2%増の5億50百万円としている。配当予想は3円増配の年間8円(第2四半期末4円、期末4円)としている。連続増配予想で予想配当性向は33.6%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比2.1%減の56億07百万円で、営業利益が21.6%減の5億61百万円、経常利益が18.6%減の5億60百万円、純利益が16.7%減の3億85百万円だった。

 教育事業で法人研修事業(現金ベース売上1.8%増収)は堅調だったが、個人教育事業(同7.9%減収)で公認会計士講座や公務員講座などが奮わず、全体として売上総利益が減少した。受講者数は1.2%増の7万9933人(個人が0.8%減の5万1015人、法人が4.8%増の2万8918人)だった。

 通期ベースでは、各事業とも堅調に推移して増収増益予想である。人材不足などで社員教育へのニーズが高く、企業向け研修が好調だ。成長戦略として、新規事業の開発およびコスト・コントロール、M&A・業務提携の推進、競合他社に対する競争優位性の確立を推進する。第2四半期以降の挽回を期待したい。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は第1四半期業績を嫌気して急落し、年初来安値を更新した。8月22日には260円まで下押した。ただし日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が10%以上に拡大して売られ過ぎ感を強めている。

 8月22日の終値は264円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS29円72銭で算出)は約9倍で、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は約3.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS285円70銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約49億円である。反発を期待したい。

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