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トーセは下値固め完了して反発期待、19年8月期収益改善期待
- 2018/9/4 06:24
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
トーセ<4728>(東1)は家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手である。18年8月期は顧客要望による開発案件の中止や次期ズレ込み、受注計画見直しなどで減益予想だが、19年8月期の収益改善を期待したい。株価は下値固め完了して反発を期待したい。
■家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手
家庭用ゲームソフト開発・制作請負の専業最大手で、デジタルエンタテインメント事業(ゲームを中心とするデジタルコンテンツの企画・開発・運営などの受託)、その他事業(東南アジア向けコンテンツ配信事業、SI事業、家庭用カラオケ楽曲配信事業、パソコン向けアバター制作事業などの新規事業)を展開している。
複雑化・多様化するゲーム市場において、豊富なパイプライン展開を可能とする多彩な技術ポートフォリオ、長年の実績とノウハウに基づく信用力、開発売上と積み上げ型の運営売上を持つ安定的なビジネスモデルを特徴としている。
中期経営計画では重点施策としてサービス業務の拡大、グローバル化の推進、サービス分野の拡大、収益基盤の拡充に取組んでいる。なお8月30日には持続的成長と競争優位性確保に向けた機構改革を発表している。
収益は、開発業務の進行に合わせて受け取る開発売上、コンテンツ配信後の運営に伴う運営売上、コンテンツ販売数量に基づくロイヤリティ売上で、大型案件の開発受託の有無や開発完了・売上計上時期などによって変動しやすい特性がある。またプロジェクトの大型化に伴って開発期間が長期化する傾向を強めている。
17年8月期の開発完了タイトル数は家庭用ゲーム機向け10本、PC向け6本、パチンコ・パチスロ向け1本、アミューズメント向け2本、スマホ向け14本の合計33本だった。
■18年8月期大幅減益予想、19年8月期の収益改善期待
18年8月期の連結業績予想(4月5日に下方修正)は、売上高が17年8月期比1.7%減の46億25百万円、営業利益が46.7%減の1億64百万円、経常利益が50.0%減の2億03百万円、純利益が35.9%減の1億34百万円としている。配当予想は17年8月期と同額の年間25円(第2四半期末12円50銭、期末12円50銭)で、予想配当性向は141.1%となる。
第3四半期累計は、売上高が前年同期比4.3%増の28億92百万円、営業利益が2.1倍の84百万円、経常利益が25.7%減の96百万円、純利益が4.2倍の76百万円だった。
開発売上が19.7%減収、ロイヤリティ売上が50.0%減収だったが、運営売上が2.4倍増収と牽引した。東南アジア向けコンテンツ配信事業における先行投資費用が減少して大幅営業増益、為替差損益の悪化で経常減益、投資有価証券売却益の計上で大幅最終増益だった。開発完了タイトル数は家庭用ゲーム機向け1本、PC向け3本、スマホ向け10本、合計14本で、運営サイト数は28サイトだった。
通期ベースでは、スマホ向けゲーム開発の引き合いが堅調だが、開発期間長期化に伴う顧客要望による開発中止や開発完了の次期へのズレ込み、人材獲得競争激化に伴う受注計画の見直しなどで売上高が期初計画を下回り、これに伴って大幅減益予想としている。19年8月期の収益改善を期待したい。
■株価は下値固め完了して反発期待
株価は8月21日に年初来安値となる955円まで下押す場面があったが、その後は1000円近辺で推移して下値固め完了感を強めている。
9月3日の終値は1001円、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS17円72銭で算出)は約56倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は約2.5%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS775円79銭で算出)は約1.3倍、時価総額は約78億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、下値固め完了して反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)