【アナリスト水田雅展の銘柄診断】陽光都市開発は下値切り上げて戻り歩調、財務基盤強化や中期成長に向けた積極投資を評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 陽光都市開発<8946>(JQS)(4月1日から新商号ASIAN STAR)の株価は、順調に下値を切り上げて戻り歩調の展開だ。財務基盤強化や中期成長に向けた積極投資を評価して14年11月高値291円を目指す展開だろう。

 投資用マンション「グリフィンシリーズ」の企画・販売事業を一旦縮小し、不動産管理・賃貸・仲介事業のストック型フィービジネスへの事業構造転換を推進した。13年8月にアパマンショップホールディングス<8889>の子会社アパマンショップネットワークとFC加盟契約締結、13年10月にストライダーズ<9816>と資本業務提携した。

 そして安定的で堅実な収益体系が構築できたとして、中国での不動産関連事業としてサービスアパートメント運営管理事業、ワンルームマンション賃貸事業へ進出した。

 14年2月に香港柏雅、および子会社でサービスアパートメント運営・管理コンサルティングを展開する柏雅酒店管理(上海)のベルグラビアグループを連結子会社化(上海柏雅投資管理は14年6月売却)し、7月には香港柏雅の子会社として陽光智寓(香港)を設立した。11月には15年後半に開業予定の世界有数の大型テーマパークから約5km圏内に位置する上海市周浦エリアにおいて、周浦印象春城サービスアパートメント1棟(220戸)の管理受託契約を締結した。12月には陽光智寓(香港)が中国上海市で新規事業の実務を行うため上海陽光智寓を設立した。

 さらに一層の事業規模拡大を図ることを経営課題として、一旦縮小した不動産販売事業をあらためて拡大する方針を打ち出し、2月20日に商号変更と新規事業「リゾート開発事業」の開始を発表した。

 新規事業「リゾート開発事業」については、日本国内で合計約155万㎡の土地を取得し、ログハウスを開発・建設して日本国内および海外セカンドハウス・移住者向け住宅として販売する事業、概ね10年を目途に別荘地として区画分譲する事業、開発や区画分譲を開始するまでの期間を固定資産として賃貸する事業を計画している。事業運営は連結子会社の合同会社TYインベスターズ(15年2月設立)が行う。

 なお4月1日付で予定している商号変更については、2月20日に新商号を「エイシアンスター」に変更するとしていたが、再協議の結果、3月4日に新商号を「ASIAN STAR」に変更すると発表した。

 今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月16日公表)は売上高が前期比33.2%減の14億44百万円、営業利益が同55.6%減の67百万円、経常利益が同66.2%減の59百万円、純利益が同65.4%減の47百万円としている。不動産管理事業は管理戸数が順調に増加するが、前期の収益を押し上げた不動産販売事業の大型案件が一巡したため大幅減収減益見込みとしている。

 今期は大幅減収減益見通しだが、中期的には不動産管理事業の安定収益に加えて、不動産販売事業や新規リゾート開発事業の拡大も寄与して収益改善が期待される

 財務面では、徳威企業発展有限公司(上海)とストライダーズによる当社新株予約権行使などで14年12月末の自己資本比率46.7%、1株当たり純資産(BPS)72円12銭となり、13年12月末の自己資本比率9.0%、BPS19円92銭に対して財務基盤が大幅に改善している。

 なお2月20日に第三者割当増資を発表し、徳威国際発展有限公司および香港富心国際有限公司を割当予定先として新株式287万株(徳威国際に210万株、香港富心国際に77万株)を発行する。払込期日3月27日、発行価額1株230円である。調達資金(差引手取概算額)約6億52百万円は借入金返済、新規事業用地取得後の諸費用、新規事業における開発資金に充当する。

 株価の動きを見ると、1月の直近安値200円から反発して2月の戻り高値265円まで上伸した。新規事業「リゾート開発事業」の開始や第三者割当増資に対してポジティブ反応だった。その後は利益確定売りで一旦反落したが、足元では切り返しの動きを強めている。順調に下値を切り上げて戻り歩調の展開だ。

 3月25日の終値251円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS3円60銭で算出)は70倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS72円12銭で算出)は3.5倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインとなって強基調へ転換した形だ。また週足チャートで見ると26週移動平均線を突破し、上向きに転じた13週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。財務基盤強化や中期成長に向けた積極投資を評価して14年11月高値291円を目指す展開だろう。

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