- Home
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
- 【アナリスト水田雅展の銘柄診断】スターティアは下値固め完了して切り返し、中期成長力を評価
【アナリスト水田雅展の銘柄診断】スターティアは下値固め完了して切り返し、中期成長力を評価
- 2015/3/26 07:17
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
電子書籍関連のスターティア<3393>(東1)の株価は、1500円近辺で下値固めが完了して切り返しの動きを強めている。25日は1626円まで上伸する場面があった。調整が一巡して強基調に転換したようだ。中期成長力を評価して出直り展開だろう。
電子ブック作成ソフト「ActiBook」やWebアプリケーションを開発・販売するウェブソリューション関連事業、ネットワークアウトソーシング環境やクラウドサービスを提供するネットワークソリューション関連事業、ビジネスホンやMFP(複合機)などOA機器を販売するビジネスソリューション関連事業を展開している。
主力の電子ブック作成ソフト「ActiBook」は、一つのソフトでマルチデバイスへの書き出しが可能な「ワンオーサリングマルチデバイス」を実現し、拠点間で利用可能なSaaS型サービスを提供している。導入実績は14年12月末現在で2365社に達している。3月18日にはKADOKAWA アスキー・メディアワークスが提供する本格派オトナ女子をターゲットとした「コミック イット」に閲覧ソフトとして採用されたと発表している。
大手との競合が少ない従業員300人未満の中堅・中小企業をターゲットとして、ITインフラのワンストップソリューションを提供するとともに、ストック型収益の向上を推進している。アジア市場へも本格的に事業展開する方針だ。無借金経営であり財務の健全性の高さも特徴だ。
業容拡大に向けてM&A・アライアンス戦略を積極推進している。14年8月にはホスティングサービス運用や独自ハードウェア開発のエーティーワークスと資本業務提携(17年3月末までに株式25%取得予定)し、個人・法人向けPCトラブル訪問サービスの日本PCサービス<6025>と業務提携した。
14年11月には回線敷設代行業務や一括請求サービスを展開する子会社クロスチェックを設立し、サービス販路開拓に向けてリボルバーと資本業務提携した。14年12月にはシステムインテグレーションのネクストイットの技術本部の一部事業(常駐派遣事業など)および技術者21名を承継した。
そして3月25日には、オウンドメディア構築事業のリボルバーとの資本業務提携の一環として、企業が低価格で簡単にオウンドメディアを発刊できる企業向けWEBマーケティング戦略支援サービスの開始を発表した。オウンドメディアは、企業自らの情報公開や大量コンテンツ配信が可能となるため、マスメディア、ソーシャルメディアに続く第三のメディアとして、企業のマーケティングやブランディングへの応用が期待されている。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月9日公表)は、売上高が前期比13.2%増の92億48百万円、営業利益が同1.3%増の8億40百万円、経常利益が同1.2%増の8億66百万円、純利益が同0.2%増の4億33百万円としている。
配当予想(10月23日に修正)は年間12円83銭(第2四半期末5円、期末7円83銭)としている。前期の年間15円(期末一括)との比較では2円17銭減配の形だが、前期は記念配当6円45銭を含んでいるため、普通配当に関しては4円28銭増配となる。
新卒採用、ホスティングサービスでのセキュリティ強化、アジア地域への事業展開など、中期成長に向けた先行投資負担で微増益にとどまる見通しだが、売上面ではウェブソリューション関連事業、ネットワークソリューション関連事業、ビジネスソリューション関連事業とも好調に推移する見通しだ。
第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比8.6%増収、18.8%営業減益、4.7%経常増益、22.9%最終増益となり、通期見通しに対する進捗率は先行投資負担も影響して売上高65.6%、営業利益35.1%、経常利益47.0%、純利益65.6%と低水準だった。ただし期初時点で下期偏重の計画であり、ストック型の収益が拡大して通期ベースで好業績が期待される。
14年8月発表の「新・中期3ヵ年利益計画」では、連結経常利益の目標値として15年3月期8億66百万円、16年3月期11億34百万円、17年3月期14億円を掲げている。初年度15年3月期は先行投資負担で小幅な伸びにとどまるが、2年目16年3月期以降は先行投資を平常に戻しつつ、成長路線を継続する。規模拡大や継続的成長に向けてM&A・アライアンス戦略も積極推進する方針だ。中期的に収益拡大基調だろう。
なお14年12月一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)に加盟した。経済界との交流や対話など積極的な活動を通じて企業価値の向上を図り、一層責任のある立場として社会的責任を担っていくとしている。
株価の動きを見ると、直近安値圏1500円近辺で下値固めが完了して切り返しの動きを強めている。3月25日には1626円まで上伸する場面があった。
3月25日の終値1613円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS85円51銭で算出)は18~19倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円83銭で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS689円67銭で算出)は2.3倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線を回復して上伸した。また週足チャートで見ると戻りを押さえていた13週移動平均線を突破した。調整が一巡して強基調に転換したようだ。中期成長力を評価して出直り展開だろう。