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イワキは年初来高値に接近、18年11月期営業増益・増配予想
- 2018/9/20 08:15
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
イワキ<8095>(東1)は、医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社で、メーカー機能も強化している。18年11月期は薬価改定の影響を吸収して営業増益・増配予想である。株価は1月の年初来高値に接近している。上値を試す展開が期待される。
■医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社
医薬品・医薬品原料・表面処理薬品などを主力とする専門商社で、子会社の岩城製薬(医薬品)やメルテックス(表面処理薬品)のメーカー機能も強化している。医薬品を中心としたヘルスケア・ファインケミカルの企業集団である。
事業区分は医薬・FC(Fine Chemical)事業(医薬品原料の製造・販売、医薬品の製造・販売、体外診断薬・研究用試薬・医療機器の販売)、HBC(Health & Beauty Care)事業(化粧品原料・機能性食品原料の販売、一般用医薬品・関連商品の卸売、化粧品通信販売)、化学品事業(表面処理薬品・電子工業薬品・化成品の製造・販売、表面処理設備の製造・販売)、食品事業(食品原料の製造・販売)としている。
中期的な事業基盤強化と収益拡大に向けて、医薬品事業での共同開発・受託品の拡大、ドラッグストア向けPB商品など自社企画商品の開発強化、医薬品原料事業における市場シェア拡大、海外サプライヤーとの連携強化、岩城製薬の生産能力増強と新製品開発、メルテックスの新製品拡販、海外展開強化などを推進している。18年3月には日立化成<4217>からプリント配線板用薬品事業譲受契約を締結した。
中期経営計画(ローリング方式、18年11月期~20年11月期)では目標数値に、20年11月期売上高650億円、営業利益21億円、ROIC7.0%以上を掲げている。さらにグループ中長期ビジョンとして、売上高1000億円、ROIC10.0%以上を掲げている。
■18年11月期は営業微増益・増配予想
18年11月期の連結業績予想(5月25日に利益を増額修正)は、売上高が17年11月期比2.8%増の590億円、営業利益が1.8%増の16億円、経常利益が3.3%減の17億20百万円、純利益が5.0%減の11億80百万円としている。
期初時点では薬価改定の影響で営業減益予想としていたが、岩城製薬における高薬価品の製造量増加、自社原料販売の増加、電子・機能性材料(有機EL素材)販売の拡大で営業微増益予想に転じた。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比3.5%増の290億24百万円、営業利益が3.7%増の8億57百万円、経常利益が0.3%増の9億10百万円、純利益が28.8%減の6億17百万円だった。
医薬・FC事業は0.3%増収で3.9%営業減益だった。薬価改定の影響で減益だが、医薬品分野で副腎皮質ホルモン剤などが伸長した。HBC事業は6.5%増収で5.8倍営業増益だった。一般医薬品を中心とする卸売分野が好調に推移し、通販化粧品分野における広告宣伝費・販売促進費の効率的運用も寄与した。化学品事業は海外で想定していた表面処理薬品の新規大型販売の遅延などで0.5%増収にとどまったが、営業赤字が縮小した。食品事業は新規受注などで8.8%増収だが、営業損益が悪化した。
通期ベースでは、医薬・FC事業で新分析棟・倉庫を建設し、抗がん剤領域での需要拡大が予想される高活性原薬分野に新規参入する。化学品事業ではクリーンルームを増設し、需要増加に対応して製造能力を増強するとともに、半導体デバイス製造用途向け新製品の開発も推進する。通期予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高49.2%、営業利益53.6%と順調である。収益拡大を期待したい。
なお配当方針は、従来の固定配当型から、安定的かつ業績連動性を持たせた「純資産配当率(DOE)下限1.5%で配当性向30%目途」に変更した。配当方針の変更に伴い、18年11月期の配当予想(7月12日に増額修正)は4円50銭増額して年間10円50銭(第2四半期末5円、期末5円50銭)とした。17年11月期との比較で3円増配となる。予想配当性向は28.7%である。
■株価は年初来高値に接近
株価は9月19日に518円まで上伸し、1月の年初来高値555円に接近している。
9月19日の終値は518円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS36円56銭で算出)は約14倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円50銭で算出)は約2.0%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS556円36銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約179億円である。
週足チャートで見ると13週移動平均線が接近して500円近辺でのモミ合いから上放れる形だ。上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)