【編集長の視点】トーセは8月期決算発表を先取り業績期待を高めて売られ過ぎ訂正買いが拡大し続伸

 トーセ<4728>(東1)は、前日19日に22円高の1054円と続伸して引け、前期の配当権利を落とした9月3日安値977円から出直る動きを強めた。同社株は、目下集計中の前2018年8月期業績の発表を今年10月5日に予定しており、前期業績の減益要因の一つとなった開発が遅れていた大型プロジェクト案件が、次期2019年8月期に完了することなどから、業績回復期待を強めて売られ過ぎ訂正買いが増勢となった。テクニカル的にも、5日移動平均線が、下から上に25日移動平均線を抜くゴールデン・クロスを示現しており、上昇トレンド入りを示唆したことも買い手掛かりとなっている。

■開発人員の不足を解消しずれ込んだ大型プロジェクト案件の開発も完了

 同社の前8月業績は、第2四半期(2017年9月~2018年2月期、2Q)累計業績を上方修正する一方で、8月期通期業績を下方修正する真逆の業績修正となった。2Q累計業績は、販管費抑制効果などで期初予想を上ぶれたものの、8月期通期業績は、スマートフォン向けゲーム開発の引き合いは引き続き堅調であるものの、開発期間の長期化に伴い顧客の要望により開発中止や来期に開発完了がずれ込む案件が発生し、競合他社との人材競争獲得競争の激化で、開発人員が想定以上に減少、受注計画の見直しを行ったことなどが下方修正要因となった。売り上げ46億2500万円(前期比1.7%減)、営業利益1億6400万円(同46.7%減)、経常利益2億300万円(同50.0%減)、純利益1億3400万円(同35.9%減)と見込んでいた。

 ただ、その後発表した前期第3四半期(2017年9月~2018年5月期、3Q)業績は、前年同期比4.3%増収、2.1倍営業増益、25.7%経常減益、4.2倍純益増益で着地した。経常利益は、為替変動による為替差損が想定を上回って減益転換したが、売り上げは、複数のスマートフォン向けゲームの運営を安定的に遂行したことで増収転換し、営業利益は、東南アジア向けコンテンツ配信事業の先行費用が減少して大幅増益転換、純利益は、投資有価証券売却益8500万円を計上しV字回復した。また、人材獲得競争への対応も、離職防止施策として2018年の昇給率を7.09%と前年の1.76%から大幅にアップさせ、2019年の新卒採用も70名(2018年54名)を目標にするなど開発人員の補強策を実行し、収益基盤の再構築を進め、次期2019年8月期業績への期待を高めた。

 このため次期2019年8月期業績は、ずれ込んだ大型プロジェクト案件の開発完了のほか、開発人員の人材不足も解消し増収増益転換が有力視されている。東洋経済会社四季報最近号では純利益を1億3000万円と観測しており、10月5日の決算発表が注目される。

■ダブル底形成後にゴールデン・クロスを示現し年初来調整幅の3分の1戻しへ大出直り

 株価は、今年7月の957円安値から前期3Q営業利益のV字回復に反応して1157円の戻り高値をつけ、期末の配当権利取りも意識され1100円台の高値推移が続いたが、米中貿易摩擦の激化による全般相場の混乱にツレ安して年初来安値955円へ下ぶれ、ダブル・ボトムを形成した。同ダブル底からは下げ過ぎ修正買いと期末配当の権利先取りとが相乗して1046円へリバウンドし、25日移動平均線水準での三角保ち合いが続いた。テクニカル的にも、5日線が下から上に25日線を抜くゴールデン・クロスを示現して三角保ち合いからの上放れ様相を濃くしており、決算発表を先取って一段の戻りにトライ、今年1月の年初来高値2195円から同安値への調整幅の3分の1戻しの1300円台への大出直りが見込まれる。(本紙編集長・浅妻昭治)

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