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メディカル・データ・ビジョンは自律調整一巡して上値試す、18年12月期大幅増収増益予想
- 2018/9/21 06:52
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)は、医療分野のビッグデータ関連ビジネスを展開し、民間最大級の大規模診療データベースを活用して治験事業などにも進出している。18年12月期大幅増収増益予想である。株価は8月の戻り高値圏から反落したが、自律調整一巡して上値を試す展開を期待したい。なお9月25日に「新事業に関する説明会」をライブ配信する。
■医療分野のビッグデータ関連ビジネスを展開
医療分野のビッグデータ関連ビジネスとして、医療機関向けに医療情報システムを開発・販売するデータネットワークサービス、および製薬会社向けに各種データ分析ツール・サービスを販売するデータ利活用サービスを展開している。17年12月期の事業別売上構成比はデータネットワークサービスが49%、データ利活用サービスが51%だった。
データネットワークサービスで医療機関向けに医療情報システムを販売するとともに、2次利用許諾を得た患者の医療・健康関連情報を集積する。そして集積した各種情報を分析し、データ利活用サービスとして主に製薬会社向けに提供するビジネスモデルだ。
データネットワークサービスは営業の主軸をDPC分析「EVE」から、病院向け経営支援「Medical Code」にシフトしている。また新規分野として、病院向けデジタルソリューション「CADA-BOX」の導入を推進している。患者自身が診療情報の一部を保管・閲覧できるWEBサービス「カルテコ」と、患者が自由に支払条件を設定できる医療費後払いサービスの「CADA決済」を、電子カルテと連動させて活用するサービスだ。データ利活用サービスはオーダーメード調査・分析サービス「アドホック」を主力としている。
18年12月期第2四半期末の導入数は17年12月期末比で、EVEが3病院増加の802病院、Medical Codeが4病院増加の269病院となった。またCADA-BOXは稼働5病院、新規受注3病院だった。
また18年8月末の大規模診療データベース実患者数は17年12月末比336万人増加の2453万人となった。民間最大級の大規模診療データベースを活用してOTC医薬品・H&BC製品の製造販売、SMO事業などの新規分野への事業展開も推進している。
収益源は医療機関からのシステム利用料・メンテナンス費用、および製薬会社からのサービス対価(システム利用料含む)である。またデータ利活用サービスにおいて下期偏重の特性がある。
■成長の第4フェーズで投資回収期
中期成長戦略で、17年12月期~19年12月期を成長の第4フェーズとして投資回収期に位置付けている。患者のリアルタイムデータ、地域医療の診療データ・画像データなども統合してデータ利活用ビジネスの急拡大を図り、売上高の増加とともに投資回収を開始する方針だ。
重点取り組みとして、2次医療圏344病院へのCADA-BOX導入、データ基盤のさらなる拡大、データ利活用ビジネスの拡大、M&Aを含めた他社との協業を推進する。データ利活用の新領域では治験分野を推進する。
17年1月医師向けサービスのDoctorbookを子会社化、17年2月OTC医薬品・H&BC製品製造販売のMDVコンシューマー・ヘルスケアを設立、17年6月SMO業務のコスメックス(現MDVトライアル)を子会社化、17年11月テクマトリックス<3762>と業務提携、18年1月国内最大級の人間ドック・健診予約ポータルサイト「MRSO」を運営するマーソ社と資本業務提携した。
■18年12月期大幅増収増益予想
18年12月期連結業績予想は、売上高が17年12月期比45.7%増の47億円、営業利益が40.5%増の7億99百万円、経常利益が41.6%増の8億円、純利益が38.7%増の4億91百万円としている。データネットワークサービス、データ利活用サービスとも伸長して、大幅増収増益予想である。
第2四半期累計は、売上高が前年同期比10.4%増の14億72百万円、営業利益が40百万円の赤字(前年同期は1億44百万円の黒字)、経常利益が40百万円の赤字(同1億42百万円の黒字)、純利益が87百万円の赤字(同85百万円の黒字)だった。
売上高はアドホックを成長ドライバーとして、ほぼ計画水準の2桁増収だった。売上高の内訳はデータネットワークサービスが3.1%増の7億22百万円、データ利活用サービスが18.5%増の7億50百万円だった。営業利益と経常利益は、営業強化やM&Aに伴う人件費の増加、本社増床による地代家賃の増加などで赤字だったが、計画に対してはコストコントロールなどで、それぞれ約2億円上回った。
通期ベースでは、データネットワークサービスはCADA-BOXの24病院への導入、Medical Codeの拡大に取り組む。CADA-BOXの新規受注は計画に対して若干遅れているが、受注見込み67病院に対して下期に受注決定を推進する。データ利活用サービスはデータを活用した治験事業の本格展開、健診・検診データを活用したセカンドオピニオンサービス(Doctorbook社)開始、PMS(製造販売後調査)における医療データベース活用開始、アドホック調査サービスのさらなる拡大に取り組む。
第2四半期累計は赤字だったが、データ利活用サービスにおいて下期偏重の特性があり、通期ベースで好業績を期待したい。
■株主優待制度は毎年12月末の株主対象
株主優待制度は毎年12月31日現在の100株(1単元)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。配当は患者のリアルタイムデータ集積によるデータ利活用サービスの拡大に目途がついた段階で検討していく方針だ。
■株価は自律調整一巡して上値試す
株価は8月の戻り高値2009円から反落したが、1700円近辺から切り返している。自律調整の範囲だろう。
9月20日の終値1791円を指標面(1株当たり数値は18年5月1日付株式2分割換算後)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS12円29銭で算出)は約146倍、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS79円08銭で算出)は約23倍、時価総額は約717億円である。
週足チャートで見ると26週移動平均線を突破して先高観を強めている。自律調整一巡して上値を試す展開を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)