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【アナリスト水田雅展の銘柄分析】クリーク・アンド・リバー社は15年2月期決算発表に対する期待感で切り返し
- 2015/3/27 07:36
- アナリスト水田雅展の銘柄分析
エージェンシー事業のクリーク・アンド・リバー社<4763>(JQS)の株価は、2月の戻り高値から反落して調整局面だが、4月8日予定の15年2月期決算発表が接近して好業績に対する期待感が高まる。中期成長力を評価して切り返し展開だろう。
日本のクリエイティブ分野(映像・テレビ番組・ゲーム・Web・広告などの制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、ライツマネジメント(著作権管理)事業、およびプロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業を主力として、韓国のクリエイティブ分野、医療・IT・法曹・会計などの分野にも事業展開している。
日本のクリエイティブ分野では、13年8月公開のテレビ朝日開局55周年記念劇場公開映画「少年H」(モスクワ映画祭特別賞受賞)の制作を担当したことが評価され、番組制作請負事業が急拡大している。15年2月期第2四半期累計(3月~8月)の当社制作番組は、レギュラーと特番を合わせて19本となった。
なお当社が制作・配給を担当している太田市合併10周年記念映画「群青色の、とおり道」(監督:佐々部清氏)を3月28日から群馬県内4館にて先行公開し、6月下旬から全国にて順次公開する。
新規分野として電子書籍取次事業、海外版権エージェント事業、そして「作家」「オンラインクリエイター」「建築」「ファッションクリエイター」エージェンシー事業にも展開し、13年12月にはアパレル業界に特化した人材派遣会社インター・ベルを子会社化した。14年9月にはクラウド関連サービスとしてクリエイティブプラットフォーム「Creators Ship(クリエイターズ・シップ)」のサービス提供を開始した。
3月20日には、中国大陸最大の電子マンガプラットフォーム「布卡漫画」において、一迅社のコミック雑誌「コミック百合姫」の中国語電子版の配信開始を発表した。今後、一迅社が出版する人気コミック単行本の中国語電子版を制作して、同プラットフォームで順次配信する予定としている。
3月23日には、サイブリッジが運営するWebデザイナーのためのギャラリーサイト「ikesai.com」内において、Web業界に特化した「キャリア・求人情報」サービスの運営開始を発表した。デザイナー・ディレクター職に特化して日本全国の最新の求人情報がリアルタイムで得られる。
3月25日には、プロフェッショナルメディア(トータルブレーンが運営する人材紹介・派遣事業および広告業界特化型情報事業「広告転職.com」「クリエイティブ派遣.com」を新設分割して設立)の株式取得および第三者割当増資引き受け(4月1日付)で、同社を連結子会社化すると発表した。広告分野における人材事業を強化する。
前期(15年2月期)の連結業績見通し(9月25日に利益を増額)は、売上高が前々期比11.6%増の230億円、営業利益が同28.1%増の14億円、経常利益が同28.2%増の14億円、純利益が同42.5%増の7億円、配当予想(4月3日公表)が同1円増配の年間6円(期末一括)としている。
高付加価値のテレビ番組制作請負や大規模Webサイト制作請負などが増加基調のクリエイティブ分野(日本)が牽引し、全セグメントが好調に推移したようだ。新規事業も規模拡大に伴って順次収益化している。新規エージェンシー事業の需要増に対応した拡大投資、ゲーム・アプリの自社開発・制作拠点拡充などの積極投資を増収効果で吸収して大幅増益見通しだ。
第3四半期累計(3月~11月)は前年同期比13.4%増収、23.5%営業増益、25.2%経常増益、57.5%最終増益となり、通期見通しに対する進捗率は売上高75.4%、営業利益78.4%、経常利益79.7%、純利益88.4%と高水準だった。
四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)60億92百万円、第2四半期(6月~8月)56億97百万円、第3四半期(9月~11月)55億42百万円、営業利益は第1四半期5億78百万円、第2四半期3億50百万円、第3四半期1億69百万円である。なお医療分野は季節要因で第1四半期の構成比が高い。
季節要因で医療分野の第4四半期(12月~2月)が赤字となり、IT分野で売上計上の期ズレが発生する可能性なども考慮して会社見通しを据え置いたが、好業績が期待される。
中期成長戦略では既存事業で年率10~15%の成長を見込み、クラウド関連サービスを含めた新規事業分野の積み上げや収益化も寄与して、18年2月期売上高300億円、営業利益30億円をイメージしている。ロボット、バイオ、ファイナンシャル、シェフなどの分野への進出も想定しているようだ。中期的に収益拡大基調が期待される。
株価の動きを見ると、2月の戻り高値810円から利益確定売りで反落して調整局面だが、1月安値593円まで下押す動きは見られず650円近辺で調整一巡感を強めている。好業績見通しを評価する流れに変化はないだろう。
3月26日の終値670円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS33円02銭で算出)は20倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は0.9%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS185円70銭で算出)は3.6倍近辺である。
週足チャートで見ると、13週移動平均線と26週移動平均線を割り込んで調整局面だが、15年2月期決算発表が接近して好業績に対する期待感が高まる。中期成長力を評価して切り返し展開だろう。